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奇怪な生物や狂気的な奴が出てきたり、殺人の描写がちょっとだけあります。

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Requiem for His Spirit.

#9

Ninth

 それは、山の5分目で起こった。



「ごめん、ちょっと休憩させて」



 顔が火照って汗だくになった夜空が疲れを訴えた。



 夜空は元から運動が得意でなく、逆に半分まで耐えたのが奇跡である。

 日花も、運動部とはいえど、新幹線の中で半分ほど体力を削っていたので、彼の誘いには賛成だった。



「ここは他に人がいないから、結界を張るミコ!安心して休憩していいミコ!」



 そう言って、「あ!ちょうちょミコ~!」と、御狛は少し遠くに走って行った。



 夜空は日花と座り込んで話をし始めた。



「……ふぅ」

「疲れたね」

「はい……登山なんて初めてで」

「だよね、僕も。それにしても日花ちゃん、優しいよね。お茶なんて」

「妹にも、よくそうしてたんで」

「そっか……。僕も、弟にそうしてたんだよね」

「……」

「病気で死んじゃったけど。……母さんは父さんに殺されて、僕も死にかけた」

「――!」

「もう、1人だからさ、せっかくなら寮で暮らした方がいいかなって」



 聞いたこともない、真っ暗な話で、日花は何も喋れなくなった。



「――あ、ごめんね。こんな話」

「あ!いや、そうじゃ……!」



 必死に取り繕おうと努める日花の隣で、頭部に手をやる夜空。



「大丈夫……傷は治ってるから」



 ――見た感じ、身体に怪我はない。

 けど……。



(心の傷は――?)



 そんなネガティブな感情に巻き込まれそうになって、(あ、いけないいけない)と、必死に話題を探す。



「あ、そうだ。そういえば先輩、喉乾いてませんか?」

「……さひ……」



 明らかに不自然な返答に、日花は戸惑った。



「先輩……?」



 すると突然、夜空が弱々しい力で、震えながら日花を抱きしめた。



「せ、先輩⁉何――⁉」

「あさひ……あさひ……ごめんねぇ……っ」



 夜空は狂ったように、震えた声で「あさひ」と繰り返し始めた。



 その時になって、日花はやっと気づいた。

 夜空の顔が、異様に熱く赤くなっていたのだ。



 体温の上昇、錯乱、震え、異常な汗の量――。



(熱中症――⁉)



 日花は焦った。

 どうしよう。長いこと水を飲んでいないから、かなり脱水が進行してるはず……。



 そういう時に、無性に心の拠り所を求めてしまうのが人間だった。

 日花にとって、この状況で近くにある拠り所は、――鞄の中に忍ばせてあった。



(助けてレミたん……天国から私に力を貸して……!)



 鞄を、ぎゅっと抱き締め、思いと願いを、その鞄の中にある縫いぐるみに託した。

作者メッセージ

急に!重い‼昨日までのラブコメはどこ行った‼

2025/04/27 22:23

◇Alice◇
ID:≫ 6.HwTpWbghe22
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