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最初の方は比較的そうでもないですが、後半に死の話になってきます。
その前の話くらいで再度作者コメントでお知らせさせていただきます。
そこまで続くのか謎ですが……汗
[漢字]羽芝風花[/漢字][ふりがな]はしば ふうか[/ふりがな]は悪い夢を見た。昔の夢だ。
目覚ましを止め、伸びをする。
今日は高校2年生1日目。そんな日に悪夢を見るなんて、ちょっと縁起でもないな、と思いながら1階に下りた。
羽芝風花には、生まれつき蝶の羽と触角が生えていた。
今年から、風花の通う私立高校、[漢字]龍華[/漢字][ふりがな]りゅうが[/ふりがな]高等学校と、龍高から少し遠くにある[漢字]光陵[/漢字][ふりがな]こうりょう[/ふりがな]学園は、その中間地点にある[漢字]桜銘[/漢字][ふりがな]おうめい[/ふりがな]学園高等教育部と統合する。今日から風花は桜銘の生徒なのだ。
光陵って、確か高ちゃんが通ってたとこだよね。
そう思いながら、ふと、ある不安が頭をよぎった。
生徒数が増えたら、それだけもっとたくさんの人にイジメられるのかな。
初めて通る通学路だからなのだろうか。風花はいつも以上に周りの人の視線が痛かった。何かUMAを見るような目に感じたのだ。
「ふーちゃん?」
後ろから懐かしい声がした。
「あ、高ちゃん。久しぶり、元気してた?」
「うん。会うのは1年振り?」
「そうだね」
風花の幼馴染の[漢字]風北高大[/漢字][ふりがな]かざきた こうた[/ふりがな]は、中学校までずっと近所に住んでいた。高校進学と同時に、光陵の近くに引っ越して、それっきりだった。
高大の隣にいるだけで、さっきまでの不安はまるで綿菓子が水に溶けるみたいに消えた。同級生はみんな恋だとかなんだとかいうけれど、風花にはピンとこなかった。
風花と高大はどちらも片親家庭だ。高大のお父さんは、見た目から風花のことを毛嫌いしていたので、2人は秘密で遊んでいた。
そういえば、風花が幼いころに両親が離婚したのは、その見た目のせいだったらしい。
胸元に手を当てると、お父さんがくれたペンダントがある。
風花の記憶の中には、お父さんの声は1つだけだ。
[中央寄せ]風花のその見た目は [下線]のろい[/下線] のせいだ[/中央寄せ]
成長するにつれて、語彙が増えていくにつれて、その唯一の声は悪口にしか聞こえなくなっていった。
風花にとって、『のろい』とは、暴言で、離婚の理由で、そして現実逃避の口実だった。『のろい』なんだから、私のせいじゃないんだから……。
ない。
お父さんのペンダントがない。
風花は焦った。
休み時間の喧騒の中で、ただ一人焦っていた。
確かに、風花は自分の父親が嫌いだ。でも、お父さんのプレゼントは大好きだった。可愛いウサギのぬいぐるみ、フリルのワンピース―そして、薄紫の石でできたペンダント。どれも、お父さんのことを嫌いになっても捨てたりなんかしない。大切な宝物だ。
「お~い、妖怪女~!」
上のフロアから声がした。まさか―。風花は急いで教室のバルコニーに出た。
逆光で誰かは分からないが、男子生徒が上のバルコニーから何かを持ってこちらを見下ろしていた。
日光で光ったそれは、風花のペンダントだった。
「駄目!返して!お願い‼」
「そんなに欲しいならくれてやるっ」
その手から投げられたペンダントは、校舎の外へ空を飛んでいった。風花は必死にペンダントを目で追い、―そして彼女自身も空中に飛んだ。
え、うそ。落ちる―。
[明朝体]「[漢字]蛇呪[/漢字][ふりがな]じゃじゅ[/ふりがな] [漢字]茨舞[/漢字][ふりがな]いばらまい[/ふりがな]」[/明朝体]
風花の身体に何かが巻き付いた。
「こらガキ!お前ら2年やんな⁉悪ふざけもほどほどにせなあかんやろ‼」
女性の声がした。風花が恐る恐る目を開けると、そこにはメデューサがいた。何の冗談でもなく、蛇の髪の女子生徒がいたのだ。よく見ると、今自分を落下から守ってくれたものも蛇だった。
「ひゃぁぁぁっ⁉」
蛇がちょ~っぴり苦手な風花は悲鳴を上げた。
「あんた、大丈夫?怪我してへんか?」
女子生徒が風花に言った。
「あ、はい、ありがとうございます……」
「はい、これ……って」
女子生徒が風花にペンダントを手渡そうとした時、何かに気づいた。
「……あんた、[漢字]呪子[/漢字][ふりがな]のろいこ[/ふりがな]やないか」
「の、のろいこ……?」
「呪子、知らん?」
「はい……」
「詳しい説明は、ちょっと来てもらわな」
「え……え?」
頭の中に無数のハテナが浮かんだまま、風花は女子生徒に連れられて行った。
目覚ましを止め、伸びをする。
今日は高校2年生1日目。そんな日に悪夢を見るなんて、ちょっと縁起でもないな、と思いながら1階に下りた。
羽芝風花には、生まれつき蝶の羽と触角が生えていた。
今年から、風花の通う私立高校、[漢字]龍華[/漢字][ふりがな]りゅうが[/ふりがな]高等学校と、龍高から少し遠くにある[漢字]光陵[/漢字][ふりがな]こうりょう[/ふりがな]学園は、その中間地点にある[漢字]桜銘[/漢字][ふりがな]おうめい[/ふりがな]学園高等教育部と統合する。今日から風花は桜銘の生徒なのだ。
光陵って、確か高ちゃんが通ってたとこだよね。
そう思いながら、ふと、ある不安が頭をよぎった。
生徒数が増えたら、それだけもっとたくさんの人にイジメられるのかな。
初めて通る通学路だからなのだろうか。風花はいつも以上に周りの人の視線が痛かった。何かUMAを見るような目に感じたのだ。
「ふーちゃん?」
後ろから懐かしい声がした。
「あ、高ちゃん。久しぶり、元気してた?」
「うん。会うのは1年振り?」
「そうだね」
風花の幼馴染の[漢字]風北高大[/漢字][ふりがな]かざきた こうた[/ふりがな]は、中学校までずっと近所に住んでいた。高校進学と同時に、光陵の近くに引っ越して、それっきりだった。
高大の隣にいるだけで、さっきまでの不安はまるで綿菓子が水に溶けるみたいに消えた。同級生はみんな恋だとかなんだとかいうけれど、風花にはピンとこなかった。
風花と高大はどちらも片親家庭だ。高大のお父さんは、見た目から風花のことを毛嫌いしていたので、2人は秘密で遊んでいた。
そういえば、風花が幼いころに両親が離婚したのは、その見た目のせいだったらしい。
胸元に手を当てると、お父さんがくれたペンダントがある。
風花の記憶の中には、お父さんの声は1つだけだ。
[中央寄せ]風花のその見た目は [下線]のろい[/下線] のせいだ[/中央寄せ]
成長するにつれて、語彙が増えていくにつれて、その唯一の声は悪口にしか聞こえなくなっていった。
風花にとって、『のろい』とは、暴言で、離婚の理由で、そして現実逃避の口実だった。『のろい』なんだから、私のせいじゃないんだから……。
ない。
お父さんのペンダントがない。
風花は焦った。
休み時間の喧騒の中で、ただ一人焦っていた。
確かに、風花は自分の父親が嫌いだ。でも、お父さんのプレゼントは大好きだった。可愛いウサギのぬいぐるみ、フリルのワンピース―そして、薄紫の石でできたペンダント。どれも、お父さんのことを嫌いになっても捨てたりなんかしない。大切な宝物だ。
「お~い、妖怪女~!」
上のフロアから声がした。まさか―。風花は急いで教室のバルコニーに出た。
逆光で誰かは分からないが、男子生徒が上のバルコニーから何かを持ってこちらを見下ろしていた。
日光で光ったそれは、風花のペンダントだった。
「駄目!返して!お願い‼」
「そんなに欲しいならくれてやるっ」
その手から投げられたペンダントは、校舎の外へ空を飛んでいった。風花は必死にペンダントを目で追い、―そして彼女自身も空中に飛んだ。
え、うそ。落ちる―。
[明朝体]「[漢字]蛇呪[/漢字][ふりがな]じゃじゅ[/ふりがな] [漢字]茨舞[/漢字][ふりがな]いばらまい[/ふりがな]」[/明朝体]
風花の身体に何かが巻き付いた。
「こらガキ!お前ら2年やんな⁉悪ふざけもほどほどにせなあかんやろ‼」
女性の声がした。風花が恐る恐る目を開けると、そこにはメデューサがいた。何の冗談でもなく、蛇の髪の女子生徒がいたのだ。よく見ると、今自分を落下から守ってくれたものも蛇だった。
「ひゃぁぁぁっ⁉」
蛇がちょ~っぴり苦手な風花は悲鳴を上げた。
「あんた、大丈夫?怪我してへんか?」
女子生徒が風花に言った。
「あ、はい、ありがとうございます……」
「はい、これ……って」
女子生徒が風花にペンダントを手渡そうとした時、何かに気づいた。
「……あんた、[漢字]呪子[/漢字][ふりがな]のろいこ[/ふりがな]やないか」
「の、のろいこ……?」
「呪子、知らん?」
「はい……」
「詳しい説明は、ちょっと来てもらわな」
「え……え?」
頭の中に無数のハテナが浮かんだまま、風花は女子生徒に連れられて行った。