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ようこそ、才能主義の世界に飽き飽きした皆さん。

#2

才能って、

 ただただ、久しぶりの温かい食事に見とれていた。

 上から走る音が聞こえてきた。

「今行く、先生」

 そう言って、2階から仮面をつけた少年が下りてきた。

[小文字]「……仮面」[/小文字]

 呟いてしまった。

 どうしても、気になってしまった。

「……はは、[漢字]掟[/漢字][ふりがな]オキテ[/ふりがな]で外せないんだ」

 彼の白い面に描かれた不気味な顔は、笑ったまま表情を変えない。

「僕は宙、[漢字]妖精[/漢字][ふりがな]ヨウセイ[/ふりがな]なんだ。永久に子供のままなんだよ」

「……そう、なのね」

 肯定することしかできなかった。

 完全に人間の見た目をした彼が、妖精だなんて思えなかった。

「じゃあ、私はアコさんにご飯を届けてくるから。2人は食べててくださいね」

 先生は地下に下りていった。

「……才能がないんでしょ、君」

「……え」

「食事をそんなに珍し気に見るなんて、貧乏な家庭だったか才能がないだけ。それに前者は才能を確かめる術も少ないし」

 そう言っている彼の目は、恐らく――いや、確かにこちらを見ている、はずだ。

「えぇ。いつも、才能のないお前には……って」

「……辛かったね」

 年下に「辛かったね」と言われるのはとても不思議な感覚だわ。辛かったことに変わりはないけど。

「食べないの?」

「……あ。忘れてたわ」

「お腹空いてるのに目の前の食事を食べようとは思わないの……?」

「だって、こんなきれいなものが食べられるなんて、なかなか思えないでしょう?」

「んー……ちょっと僕には分かんないかな。妖精だから」

 事あるごとに、宙は妖精であることを強調する。

 それに……面のせいで食事も明らかに取りづらそうだ。

「……あなたの、その掟っていうのは、どんなものなの?」

「人前で面を外さない。それだけ。破ったら……」

「破ったら?」

「どうなるんだろうね。僕は[漢字]識[/漢字][ふりがな]シ[/ふりがな]らないよ」

 そう言って、宙はシチューを[漢字]掬[/漢字][ふりがな]すく[/ふりがな]った。

 私も、ゆっくりスプーンを持った。

 木のあたたかい感じがした。

 ゆっくり、シチューを同じように掬って、口に運んだ。

「……っ⁉」

 [漢字]涎[/漢字][ふりがな]よだれ[/ふりがな]が溢れてむせるかと思った。

「どうしたの?」

「今まで食べてきたものと全然違うの、どう言い表せばいいのかしら……すごく幸せになれる味がしたの」

「……もしかして、『美味しい』ってこと?」

「これが、『美味しい』ってことなのね⁉」

 言葉では知っていたけれど、自らの身で感じたことはなかった。

「いろいろ知ってるなんて、きっとあなたは愛されて育ったのね」

「……まぁ、僕はずっとずっと[漢字]幸福[/漢字][ふりがな]しあわせ[/ふりがな][漢字]だった[/漢字][ふりがな][小文字][小文字][小文字]・・・[/小文字][/小文字][/小文字][/ふりがな]からね」

 そう言って、宙はパンに手を伸ばした。

作者メッセージ

いくつかのふりがなには共通の意味があります。(逆翻訳みたいになっちゃった)
なんか、偶然1000文字ジャスト。

2025/01/29 07:34

◇Alice◇
ID:≫ 6.HwTpWbghe22
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