ただただ、久しぶりの温かい食事に見とれていた。
上から走る音が聞こえてきた。
「今行く、先生」
そう言って、2階から仮面をつけた少年が下りてきた。
[小文字]「……仮面」[/小文字]
呟いてしまった。
どうしても、気になってしまった。
「……はは、[漢字]掟[/漢字][ふりがな]オキテ[/ふりがな]で外せないんだ」
彼の白い面に描かれた不気味な顔は、笑ったまま表情を変えない。
「僕は宙、[漢字]妖精[/漢字][ふりがな]ヨウセイ[/ふりがな]なんだ。永久に子供のままなんだよ」
「……そう、なのね」
肯定することしかできなかった。
完全に人間の見た目をした彼が、妖精だなんて思えなかった。
「じゃあ、私はアコさんにご飯を届けてくるから。2人は食べててくださいね」
先生は地下に下りていった。
「……才能がないんでしょ、君」
「……え」
「食事をそんなに珍し気に見るなんて、貧乏な家庭だったか才能がないだけ。それに前者は才能を確かめる術も少ないし」
そう言っている彼の目は、恐らく――いや、確かにこちらを見ている、はずだ。
「えぇ。いつも、才能のないお前には……って」
「……辛かったね」
年下に「辛かったね」と言われるのはとても不思議な感覚だわ。辛かったことに変わりはないけど。
「食べないの?」
「……あ。忘れてたわ」
「お腹空いてるのに目の前の食事を食べようとは思わないの……?」
「だって、こんなきれいなものが食べられるなんて、なかなか思えないでしょう?」
「んー……ちょっと僕には分かんないかな。妖精だから」
事あるごとに、宙は妖精であることを強調する。
それに……面のせいで食事も明らかに取りづらそうだ。
「……あなたの、その掟っていうのは、どんなものなの?」
「人前で面を外さない。それだけ。破ったら……」
「破ったら?」
「どうなるんだろうね。僕は[漢字]識[/漢字][ふりがな]シ[/ふりがな]らないよ」
そう言って、宙はシチューを[漢字]掬[/漢字][ふりがな]すく[/ふりがな]った。
私も、ゆっくりスプーンを持った。
木のあたたかい感じがした。
ゆっくり、シチューを同じように掬って、口に運んだ。
「……っ⁉」
[漢字]涎[/漢字][ふりがな]よだれ[/ふりがな]が溢れてむせるかと思った。
「どうしたの?」
「今まで食べてきたものと全然違うの、どう言い表せばいいのかしら……すごく幸せになれる味がしたの」
「……もしかして、『美味しい』ってこと?」
「これが、『美味しい』ってことなのね⁉」
言葉では知っていたけれど、自らの身で感じたことはなかった。
「いろいろ知ってるなんて、きっとあなたは愛されて育ったのね」
「……まぁ、僕はずっとずっと[漢字]幸福[/漢字][ふりがな]しあわせ[/ふりがな][漢字]だった[/漢字][ふりがな][小文字][小文字][小文字]・・・[/小文字][/小文字][/小文字][/ふりがな]からね」
そう言って、宙はパンに手を伸ばした。
上から走る音が聞こえてきた。
「今行く、先生」
そう言って、2階から仮面をつけた少年が下りてきた。
[小文字]「……仮面」[/小文字]
呟いてしまった。
どうしても、気になってしまった。
「……はは、[漢字]掟[/漢字][ふりがな]オキテ[/ふりがな]で外せないんだ」
彼の白い面に描かれた不気味な顔は、笑ったまま表情を変えない。
「僕は宙、[漢字]妖精[/漢字][ふりがな]ヨウセイ[/ふりがな]なんだ。永久に子供のままなんだよ」
「……そう、なのね」
肯定することしかできなかった。
完全に人間の見た目をした彼が、妖精だなんて思えなかった。
「じゃあ、私はアコさんにご飯を届けてくるから。2人は食べててくださいね」
先生は地下に下りていった。
「……才能がないんでしょ、君」
「……え」
「食事をそんなに珍し気に見るなんて、貧乏な家庭だったか才能がないだけ。それに前者は才能を確かめる術も少ないし」
そう言っている彼の目は、恐らく――いや、確かにこちらを見ている、はずだ。
「えぇ。いつも、才能のないお前には……って」
「……辛かったね」
年下に「辛かったね」と言われるのはとても不思議な感覚だわ。辛かったことに変わりはないけど。
「食べないの?」
「……あ。忘れてたわ」
「お腹空いてるのに目の前の食事を食べようとは思わないの……?」
「だって、こんなきれいなものが食べられるなんて、なかなか思えないでしょう?」
「んー……ちょっと僕には分かんないかな。妖精だから」
事あるごとに、宙は妖精であることを強調する。
それに……面のせいで食事も明らかに取りづらそうだ。
「……あなたの、その掟っていうのは、どんなものなの?」
「人前で面を外さない。それだけ。破ったら……」
「破ったら?」
「どうなるんだろうね。僕は[漢字]識[/漢字][ふりがな]シ[/ふりがな]らないよ」
そう言って、宙はシチューを[漢字]掬[/漢字][ふりがな]すく[/ふりがな]った。
私も、ゆっくりスプーンを持った。
木のあたたかい感じがした。
ゆっくり、シチューを同じように掬って、口に運んだ。
「……っ⁉」
[漢字]涎[/漢字][ふりがな]よだれ[/ふりがな]が溢れてむせるかと思った。
「どうしたの?」
「今まで食べてきたものと全然違うの、どう言い表せばいいのかしら……すごく幸せになれる味がしたの」
「……もしかして、『美味しい』ってこと?」
「これが、『美味しい』ってことなのね⁉」
言葉では知っていたけれど、自らの身で感じたことはなかった。
「いろいろ知ってるなんて、きっとあなたは愛されて育ったのね」
「……まぁ、僕はずっとずっと[漢字]幸福[/漢字][ふりがな]しあわせ[/ふりがな][漢字]だった[/漢字][ふりがな][小文字][小文字][小文字]・・・[/小文字][/小文字][/小文字][/ふりがな]からね」
そう言って、宙はパンに手を伸ばした。