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過去も現在も重いんで病んでる方は即閉じてください‼
「沙~耶っ?」
ギャルが満面の笑みで沙耶さんを覗いた。
「うわw相変わらず地味なお顔でちゅね~w」
あの時私にしたように、沙耶さんの頬をつまむ。
遠くで見ていた私は、不思議な感じがした。
どこかで見たことがある気がする。
あの日、初日に感じた既視感が、今。
もしかして、失った記憶?
でも確証はない。
それに……なんだか声が聞こえる気がしたんだ。
[太字]3人目は、絶対に出すな。[/太字]
何のことか分からなかったが、すぐ察した。
もうすでに2人――?
どちらにしろ、きっと沙耶さんと話すことには得があるはず。
私はノートを1ページ破った。
「手紙の……話したいことって、何?」
「確認したいことがあって」
私は彼女を屋上に呼び出した。
「駄目だよ、私といたらあいつらに……」
「いいよ。だから、教えて。[太字]あの人たちがいじめた人で、2人亡くなった人はいる?[/太字]」
私たちの間に、少し沈黙が流れた。
「……せりあさんが転校した後に、いじめた人は違うけど……」
「転校……?」
「え、人違いだっけ……?小3のときに転校した、菜花せりあさんだよね?」
「私……だと思うけど、実は私、その時事故に遭って記憶が消えてて」
「……そうなんだ」
空気の重さがのしかかる。
「……あ!でも、記憶がなくなったのに一緒の高校になれるなんて!」
私は必死にその空気の密度を小さくした。
「うん……そうだね」
沙耶さんは暗い笑みを浮かべた。
「で、本題なんだけど、確かに2人亡くなったよ。いじめていた人は違うけど」
「そう……なんだ」
「琉夏くんと紅葉さんは覚えてる?」
「琉夏……紅葉……?」
頭のどこかに、同じ名前がある。
思い出せそうで、思い出せない。
[明朝体][小文字]「私、琉夏君のこと好きかもしれない」
「そうなんだ。なんか、そんな感じ」
「そんな感じって、どういう感じなのぉ?」
「え?えーっと、なんていうか、紅葉って琉夏みたいな男子好きになりそうだもん」
「さすがせりあ。第6感鋭い」
「てか、そのいつも言ってる第6感って何?」
「勘」
「え、勘なの?じゃあ、『第6勘』だねっ」
「あははっ、せりあ面白い!」[/小文字][/明朝体]
頬を生温かいしずくが伝う感覚がした。
「紅葉……?」
遠くで、生徒たちの喧騒と車と飛行機の音が混ざりながら聞こえる。
「……もしかしたらさ、また紅葉さんと会えるのかもね」
沙耶さんが呟いた。
「なんで?」
「せりあさん、霊媒師の家系のはずだから。同族の気が出てる」
「……ってことは」
「うん。血を引いてる親に紅葉さんを呼んでもらえば……」
そこまで聞いて、私は被さるように言った。
「私も、霊を呼べるの?」
「そのはず。かなり血が薄くなっているから、うまくはできないはずだけど」
「あ~っ!沙耶み~っけっ!」
ギャルの声がした、2人の取り巻きを連れて。
「あっれれ~?なぁ~んでせりたんと沙耶なんかが一緒にいるのかなぁっ?」
わざとらしく下手なカワボを出して、ギャル爪で沙耶さんの額を刺す。
「痛……っ」
「せりたんも、沙耶と仲良くしないで~って言ったじゃん?」
言い返したい。でも言葉が見つからない。
「あ!無視だ!い~っけないんだぁ~」
もう話さなくてもいい。
私は駆け出した。
[大文字]「沙耶さん!ごめん!あと、ありがとうっ‼」[/大文字]
振り返らずに思いっきり叫んだ。
「へぇ、逃げるんだ。せりたんも、こんなのといてダサくなっちゃったんじゃん!」
聞かないことは出来なかったけど、聞こえてないふりをして屋上の戸を開けた。
[中央寄せ][下線]霊媒 方法 🔍[/下線][/中央寄せ]
電車の中で検索した方法を頭に叩き込み終わったころには、家の最寄り駅に着いていた。
3階分階段を上る。
「ただいま」
返事はない。
同じ場所に座り込んだ、琉夏。
そうだった。この子の名前は琉夏だ。
まだ不明瞭な記憶。
ゆっくり、息を吸う。
呪文を唱える。
視界はそのまま、身体の支配権は私じゃなくなる。
声が出る。
「琉夏君……?」
これは、私の声色をした、[太字]紅葉の声だ。[/太字]
「琉夏君なの……?」
「……なんで、せりあが僕の名前を?」
「私はせりあじゃないよ。私たち、似てるっけ?」
「……紅葉さん?」
「そうだよ……会いたかった……!」
目の前で、瞬きを繰り返す琉夏。
私の身体で紅葉が喋っていることに、やっぱり違和感があるらしい。私だって不思議な感覚だ。見えているのに、動いて喋っているのがもう会えない親友なんだから。
「琉夏君。あの時も伝えたけど――好きです」
視界がぼやける。
身体を抱きしめる感覚がした。
「紅葉さん……僕も……好き……っ!」
耳の奥に、その声が響いた。
ふっと、抱きしめられる感覚がなくなった。
身体が崩れ落ちた。
私がそっと目を開けると、部屋には誰もいなかった。
私、繋げられたかな。
頬を涙が通って、そこから熱が逃げる。
もう会えないのかな。
もう一度目を瞑る。
脳裏に、記憶の欠片で作った2人の姿が浮かぶ。
「ありがと……」
……。
立ち上がった。
顔が火照っている。
私はまだ行かなきゃいけないんだ。
ギャルが満面の笑みで沙耶さんを覗いた。
「うわw相変わらず地味なお顔でちゅね~w」
あの時私にしたように、沙耶さんの頬をつまむ。
遠くで見ていた私は、不思議な感じがした。
どこかで見たことがある気がする。
あの日、初日に感じた既視感が、今。
もしかして、失った記憶?
でも確証はない。
それに……なんだか声が聞こえる気がしたんだ。
[太字]3人目は、絶対に出すな。[/太字]
何のことか分からなかったが、すぐ察した。
もうすでに2人――?
どちらにしろ、きっと沙耶さんと話すことには得があるはず。
私はノートを1ページ破った。
「手紙の……話したいことって、何?」
「確認したいことがあって」
私は彼女を屋上に呼び出した。
「駄目だよ、私といたらあいつらに……」
「いいよ。だから、教えて。[太字]あの人たちがいじめた人で、2人亡くなった人はいる?[/太字]」
私たちの間に、少し沈黙が流れた。
「……せりあさんが転校した後に、いじめた人は違うけど……」
「転校……?」
「え、人違いだっけ……?小3のときに転校した、菜花せりあさんだよね?」
「私……だと思うけど、実は私、その時事故に遭って記憶が消えてて」
「……そうなんだ」
空気の重さがのしかかる。
「……あ!でも、記憶がなくなったのに一緒の高校になれるなんて!」
私は必死にその空気の密度を小さくした。
「うん……そうだね」
沙耶さんは暗い笑みを浮かべた。
「で、本題なんだけど、確かに2人亡くなったよ。いじめていた人は違うけど」
「そう……なんだ」
「琉夏くんと紅葉さんは覚えてる?」
「琉夏……紅葉……?」
頭のどこかに、同じ名前がある。
思い出せそうで、思い出せない。
[明朝体][小文字]「私、琉夏君のこと好きかもしれない」
「そうなんだ。なんか、そんな感じ」
「そんな感じって、どういう感じなのぉ?」
「え?えーっと、なんていうか、紅葉って琉夏みたいな男子好きになりそうだもん」
「さすがせりあ。第6感鋭い」
「てか、そのいつも言ってる第6感って何?」
「勘」
「え、勘なの?じゃあ、『第6勘』だねっ」
「あははっ、せりあ面白い!」[/小文字][/明朝体]
頬を生温かいしずくが伝う感覚がした。
「紅葉……?」
遠くで、生徒たちの喧騒と車と飛行機の音が混ざりながら聞こえる。
「……もしかしたらさ、また紅葉さんと会えるのかもね」
沙耶さんが呟いた。
「なんで?」
「せりあさん、霊媒師の家系のはずだから。同族の気が出てる」
「……ってことは」
「うん。血を引いてる親に紅葉さんを呼んでもらえば……」
そこまで聞いて、私は被さるように言った。
「私も、霊を呼べるの?」
「そのはず。かなり血が薄くなっているから、うまくはできないはずだけど」
「あ~っ!沙耶み~っけっ!」
ギャルの声がした、2人の取り巻きを連れて。
「あっれれ~?なぁ~んでせりたんと沙耶なんかが一緒にいるのかなぁっ?」
わざとらしく下手なカワボを出して、ギャル爪で沙耶さんの額を刺す。
「痛……っ」
「せりたんも、沙耶と仲良くしないで~って言ったじゃん?」
言い返したい。でも言葉が見つからない。
「あ!無視だ!い~っけないんだぁ~」
もう話さなくてもいい。
私は駆け出した。
[大文字]「沙耶さん!ごめん!あと、ありがとうっ‼」[/大文字]
振り返らずに思いっきり叫んだ。
「へぇ、逃げるんだ。せりたんも、こんなのといてダサくなっちゃったんじゃん!」
聞かないことは出来なかったけど、聞こえてないふりをして屋上の戸を開けた。
[中央寄せ][下線]霊媒 方法 🔍[/下線][/中央寄せ]
電車の中で検索した方法を頭に叩き込み終わったころには、家の最寄り駅に着いていた。
3階分階段を上る。
「ただいま」
返事はない。
同じ場所に座り込んだ、琉夏。
そうだった。この子の名前は琉夏だ。
まだ不明瞭な記憶。
ゆっくり、息を吸う。
呪文を唱える。
視界はそのまま、身体の支配権は私じゃなくなる。
声が出る。
「琉夏君……?」
これは、私の声色をした、[太字]紅葉の声だ。[/太字]
「琉夏君なの……?」
「……なんで、せりあが僕の名前を?」
「私はせりあじゃないよ。私たち、似てるっけ?」
「……紅葉さん?」
「そうだよ……会いたかった……!」
目の前で、瞬きを繰り返す琉夏。
私の身体で紅葉が喋っていることに、やっぱり違和感があるらしい。私だって不思議な感覚だ。見えているのに、動いて喋っているのがもう会えない親友なんだから。
「琉夏君。あの時も伝えたけど――好きです」
視界がぼやける。
身体を抱きしめる感覚がした。
「紅葉さん……僕も……好き……っ!」
耳の奥に、その声が響いた。
ふっと、抱きしめられる感覚がなくなった。
身体が崩れ落ちた。
私がそっと目を開けると、部屋には誰もいなかった。
私、繋げられたかな。
頬を涙が通って、そこから熱が逃げる。
もう会えないのかな。
もう一度目を瞑る。
脳裏に、記憶の欠片で作った2人の姿が浮かぶ。
「ありがと……」
……。
立ち上がった。
顔が火照っている。
私はまだ行かなきゃいけないんだ。