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極夜の彷徨

#5

5日目

実家から連絡があったそうだ。
完全に殺そうとしている。1人では生きていけない様にされている。
言葉が頭を巡る。「人と話すのが苦手」「結婚予定なし」「流されやすい」「家にいるべき」…
確かに僕はその通りだ。それは1番わかっている
でも、まるで僕の全てを否定された様で胸が苦しい

誰かに話したい。でも、僕のことを知って嫌な顔をしない人はいなかった。みんな苦笑いで、可哀想だとか嘘だとか、異常だと言う。

バイト先からの帰り道。夕立が降って来た
あんなに昼は暑かったのに日が暮れればとても寒い。雨が僕を突き刺している。だけど心地よい
ずっとこうしていたい。雨に溶け込んでしまいたい
冷たくも温もりのある雨。僕は雨なんだろうな
帰りたくなくて、僕は公園に行った

いつものベンチ。だけど今日はちょっと違う。
髪がぺたんと額に張り付く。シャツが肌に張り付いてひんやりとする。
シャツのボタンを外して首元を自由にしてやった

ぼんやりと雨に打たれていると、傘がかかった
何かと上を見ると少女が立っていた
いつもの彼女だ。
「何してるの」
「雨に打たれているんだ」
気持ちいいよ。なんて言えば通報案件だろうか
じとり、と見つめてくる彼女の目には光がなかった。色素の薄い瞳は悲しみに暮れている様に見える
「…気持ちいい?」
「うん」
彼女は傘を閉じて隣に座った
「何してるんだ」
「雨に打たれてるんだよ」
「傘があるのに?」
「お兄さんは傘がないから雨に打たれてる訳?」
「…違うかもしれない」
彼女の声は繊細でひんやりしていた。硝子細工のような無機質さを含みながら低い声が安定感がある。
「水になれたら気持ちいいと思う?」
彼女は問う
「きっと気持ちいいよ」
水は自由だ。どこまでも静かに流れていける
「でも、水は形を成さない」
「…そうだね」
「でも、雨は雨の形をしているし、海は海の形をしている」
「水は水だよ。形はなく、何でもない」
少し間があって彼女が言った
「このまま雨に打たれてたら、溶けて水になってしまうかな」
「…わからない」
「お兄さん、傘ないんでしょ?水になっちゃうよ」
彼女は立ち上がった
「うちで雨宿りしてかない?」
「する」
いつのまにか返事をしていた。夕立は終わりを迎えていて、月が昇っていた。

2025/06/25 21:37

狛猫
ID:≫ 9pZu6LRhlKmoI
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