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極夜の彷徨

#4

4日目

ふらふらと歩いていると車から声がした
「おーい」
兄だった。
手招きされて車に乗った。車買ったんだ。と言うと、無いとやっていけないよと笑われた。

移動中、兄は何か喋っている。僕は気が気じゃなくて何も理解できない。
あぁ、そう、と曖昧な返事を繰り返していると実家に着いた。
家に着くなりリビングに通され昼食を食べた。震えと動悸で味がしなかった
「さて、本題なんだけど…」
兄が急に話し始めた
「なぁ、うちに帰って来ないか?」
「…え」
「最近父さんの状態が良くなくてさ、じいちゃんばあちゃんは老人ホームだし、俺は仕事だからさ?家にいる人が必要なんだよね」
「丁度いいだろ?お前人と話すの苦手だし結婚予定もないだろうし、少しは手伝ってくれよ」
「…」
僕が何か言うのを遮る様に母が声をかけた
「帰って来たのね」
「…うん」
「ごめんね。私だけじゃ手が回らないの」
「…」
「それに、うちにいるのはあなたのためにもなると思うの。女の子1人で東京なんて危ないわ」
「…」
「ねぇ、文。」
うつむき、握りしめた手のひらに爪を立てた。
重い期待。木材と埃の匂い。逃げ出したいと思った。
母は続けた
「…あのね?私は文のことを思って言ってるの。あなたはおとなしくて流されやすいでしょ?変な人にも絡まれやすいしトラブルに遭いやすい。わかってることでしょ?あなたは大切な一人娘なの」
「うちに居れば、何かあった時も私がいるし、安全でしょ?ねぇ、文…返事をしなさい」
「まぁまぁ母さん。」
兄が母を宥める様に抑えた
「で、どうする?」
2人は僕の返事を待っている。重い沈黙。はやくうちに帰りたい
「…考えさせて」
「来月には決めろよ。な?」
兄は僕を家に戻そうとしているように見えた
「…もう帰るね」
「えぇ?折角だし…」
「いい」
「…わかったわ」
帰り際、母は僕に言った
「いつでも帰って来てね」
もし僕が帰るとしたらその頃には物体になっているだろう

帰りの新幹線、母の言葉が頭を巡る
ふみ、ふみ、大切な一人娘。
僕は文じゃない。女性でもない。
頭が痛い。
母は、僕を文としてしか愛せないのだろうな

僕はぼんやりしながら家に帰った。
母は自らの罪を覚えていないのかな?
そう思えるくらいに酷い話だ。

頭がふわふわする。
七月にしては暑すぎる天気。僕は太陽に焦がされた

その日、僕はバイトの夜勤に行った。

僕は辞めたことになっていた。

2025/06/23 17:39

狛猫
ID:≫ 9pZu6LRhlKmoI
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