閲覧前に必ずご確認ください
本作には暴力的な表現や15歳未満の方には不適切な言動が含まれます。苦手な方はお控え下さい
また思想を肯定する意図はありません
ふらふらと歩いていると車から声がした
「おーい」
兄だった。
手招きされて車に乗った。車買ったんだ。と言うと、無いとやっていけないよと笑われた。
移動中、兄は何か喋っている。僕は気が気じゃなくて何も理解できない。
あぁ、そう、と曖昧な返事を繰り返していると実家に着いた。
家に着くなりリビングに通され昼食を食べた。震えと動悸で味がしなかった
「さて、本題なんだけど…」
兄が急に話し始めた
「なぁ、うちに帰って来ないか?」
「…え」
「最近父さんの状態が良くなくてさ、じいちゃんばあちゃんは老人ホームだし、俺は仕事だからさ?家にいる人が必要なんだよね」
「丁度いいだろ?お前人と話すの苦手だし結婚予定もないだろうし、少しは手伝ってくれよ」
「…」
僕が何か言うのを遮る様に母が声をかけた
「帰って来たのね」
「…うん」
「ごめんね。私だけじゃ手が回らないの」
「…」
「それに、うちにいるのはあなたのためにもなると思うの。女の子1人で東京なんて危ないわ」
「…」
「ねぇ、文。」
うつむき、握りしめた手のひらに爪を立てた。
重い期待。木材と埃の匂い。逃げ出したいと思った。
母は続けた
「…あのね?私は文のことを思って言ってるの。あなたはおとなしくて流されやすいでしょ?変な人にも絡まれやすいしトラブルに遭いやすい。わかってることでしょ?あなたは大切な一人娘なの」
「うちに居れば、何かあった時も私がいるし、安全でしょ?ねぇ、文…返事をしなさい」
「まぁまぁ母さん。」
兄が母を宥める様に抑えた
「で、どうする?」
2人は僕の返事を待っている。重い沈黙。はやくうちに帰りたい
「…考えさせて」
「来月には決めろよ。な?」
兄は僕を家に戻そうとしているように見えた
「…もう帰るね」
「えぇ?折角だし…」
「いい」
「…わかったわ」
帰り際、母は僕に言った
「いつでも帰って来てね」
もし僕が帰るとしたらその頃には物体になっているだろう
帰りの新幹線、母の言葉が頭を巡る
ふみ、ふみ、大切な一人娘。
僕は文じゃない。女性でもない。
頭が痛い。
母は、僕を文としてしか愛せないのだろうな
僕はぼんやりしながら家に帰った。
母は自らの罪を覚えていないのかな?
そう思えるくらいに酷い話だ。
頭がふわふわする。
七月にしては暑すぎる天気。僕は太陽に焦がされた
その日、僕はバイトの夜勤に行った。
僕は辞めたことになっていた。
「おーい」
兄だった。
手招きされて車に乗った。車買ったんだ。と言うと、無いとやっていけないよと笑われた。
移動中、兄は何か喋っている。僕は気が気じゃなくて何も理解できない。
あぁ、そう、と曖昧な返事を繰り返していると実家に着いた。
家に着くなりリビングに通され昼食を食べた。震えと動悸で味がしなかった
「さて、本題なんだけど…」
兄が急に話し始めた
「なぁ、うちに帰って来ないか?」
「…え」
「最近父さんの状態が良くなくてさ、じいちゃんばあちゃんは老人ホームだし、俺は仕事だからさ?家にいる人が必要なんだよね」
「丁度いいだろ?お前人と話すの苦手だし結婚予定もないだろうし、少しは手伝ってくれよ」
「…」
僕が何か言うのを遮る様に母が声をかけた
「帰って来たのね」
「…うん」
「ごめんね。私だけじゃ手が回らないの」
「…」
「それに、うちにいるのはあなたのためにもなると思うの。女の子1人で東京なんて危ないわ」
「…」
「ねぇ、文。」
うつむき、握りしめた手のひらに爪を立てた。
重い期待。木材と埃の匂い。逃げ出したいと思った。
母は続けた
「…あのね?私は文のことを思って言ってるの。あなたはおとなしくて流されやすいでしょ?変な人にも絡まれやすいしトラブルに遭いやすい。わかってることでしょ?あなたは大切な一人娘なの」
「うちに居れば、何かあった時も私がいるし、安全でしょ?ねぇ、文…返事をしなさい」
「まぁまぁ母さん。」
兄が母を宥める様に抑えた
「で、どうする?」
2人は僕の返事を待っている。重い沈黙。はやくうちに帰りたい
「…考えさせて」
「来月には決めろよ。な?」
兄は僕を家に戻そうとしているように見えた
「…もう帰るね」
「えぇ?折角だし…」
「いい」
「…わかったわ」
帰り際、母は僕に言った
「いつでも帰って来てね」
もし僕が帰るとしたらその頃には物体になっているだろう
帰りの新幹線、母の言葉が頭を巡る
ふみ、ふみ、大切な一人娘。
僕は文じゃない。女性でもない。
頭が痛い。
母は、僕を文としてしか愛せないのだろうな
僕はぼんやりしながら家に帰った。
母は自らの罪を覚えていないのかな?
そう思えるくらいに酷い話だ。
頭がふわふわする。
七月にしては暑すぎる天気。僕は太陽に焦がされた
その日、僕はバイトの夜勤に行った。
僕は辞めたことになっていた。