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プロローグ
自分が、大嫌いだ。
個性を無くして、私には、何もないから。
個性を色で表すなら、みんなは鮮やかな色で、私は白。
でも、彼が私を変えてくれた。

第一章
「転校生を紹介します。では、自己紹介して下さい。」
どうやら、転校生が来るようだ。周りは騒がしいが、私には関係のないことだろう。
「〇〇県から転校してきました、藍川彩斗です。」
きゃあ、と女子の黄色い声が上がった。それもそのはず、彼はイケメンだったのだ。
「席は〜…あっ!」
先生と目が合った。嫌な予感…
「あそこの空いている席ね。」
私の隣だ。一番後ろは私しかいないから気に入っていたのだが…
「やあ。君、名前は?」
「……花」
「花、ね。よろしく。」
急に呼び捨て。距離感おかしいだろう。
私たちの様子を、先生が見守っている。先生は私に友達がいないことを勝手に心配し、よく世話を焼いてくるのだ。
その後も彼は、教科書が無いから見せてと机をくっつけてきたり、休み時間に他の人たちを差し置いてまで私に話しかけてきた。
さすがに我慢の限界だ。
「ねえ」
私が声を掛けると、満面の笑みで振り向いた。
「どうしたの?」
「なんでそんなに私にばっか話しかけるの?私なんかじゃなくて、他の人と話せばいいのに。」
言葉が、止まらない。
「やめてよ」
私の言葉に、彼は傷ついた顔を一瞬したが、それをすぐに取り繕って、
「そっ、か。ごめん、ごめんね。」
と謝る。
違う。そこまで言う気は無かったのに。
いつにも無く、感情的になってしまう。が、言葉は出ない。
「花さん、そこまで言う必要は無いんじゃないの。ほら、謝ってよ。」
女子たちのグループのリーダーのような子が、威圧的な態度で言ってくる。
そうだ、そうだ、と、クラス中に彼女に対する同意と、私に対する敵意が広まっていく。
私だって、そうしたい。なのに、言葉が、出ない。
つい縋るようにさっき拒絶したはずの彼を見てしまう。
「ねえ、このことは僕が悪いんだから、花が怒るのは当然だよ?」
なぜ?なぜさっき拒絶したのに、私を助けるの?
「で、でも、あんな言い方は無いじゃない。」
「だったら、君も優しく花に、謝って、って伝えたらいいんじゃないかな?さっきの態度は可哀想だよ。」
彼に優しく言いくるめられた彼女は、私を一瞬睨んで、そして友達の輪のなかに戻っていった。

放課後、家が隣だということが判明してしまい、私達はいっしょに帰っていた。
良いタイミングだったので、今日感じた疑問をぶつける。
「ねえ、なんで私に話しかけるの?それに、あんな酷いことを言ったのに、どうしてかばってくれたの?」
一瞬驚いた顔をし、答えてくれた。
「君が、つらそうな顔をしていたからだよ。」
「…ほんとうにそれだけ?」
絶対に違う。他に理由があるはずだ。
「君は鋭いね。」
苦笑しながらそう返す。やはり別の理由があるようだ。
「この後、僕の家に来れる?今は親がいないから、ゆっくり話せると思うんだけど。」
「いいけど…?」
第二章
彼の家は、清潔感のある綺麗な家だ。
「さあ、遠慮せずに上がってね。」
彼の部屋に行き、勧められたので、いすに座る。
「あのね。僕は、人の記憶と、細かい感情が分かるんだ。」
……ん?
そういえば、彼に対して何故か懐かしいという感情を抱いていた。それに、私は…
「君に昔一度、相談したんだけどね。」
そうだ。彼――彩斗とは、昔会っている。
幼稚園生のとき彩斗は、人の記憶や感情を読み取れる能力のせいで気味悪がられ、いじめられていた。そして、私に相談してきたのだ。
「教室に来たとき、君がいてびっくりしたよ。けど、君は僕のことを忘れていた。それに、あの時の君はあんなに堂々としていたのに、しんどそうな表情をしていた。だから、能力を使ったんだ。」
そうだったのか。なら、私は最低だ。かつての友達を、あんな風に傷つけてしまっていたのだ。
私は、罵られると思い、身構えた。が。
「つらかったんだね。転校したから僕はいなかったのに、僕の悪口を言った子に怒って、それでいじめられて、しんどさのあまりに自分を封じ込んで。」
気づけば、私は彩斗に抱きしめられ、泣いていた。
「あや、と…」
「大丈夫だよ。傷つくのがこわいなら、僕が守る。個性が無くなったなら、これからまた作っていけばいい。それに、白はどんな色とも合うし、強い色も、白と混ざれば優しい色に変わる。だから、大丈夫だよ。」
ばっと目の前が開けた気がした。世界が、色づいていく。
「ありがとぉ…」
彩斗は、私が落ち着くまで、優しく背中をさすってくれた。
「そうそう、もう一つ、花を庇った理由があるんだけど…」
彩斗はぐっと顔を私の耳元に寄せ、優しくささやいた。
「君が、好きだから。」
私は硬直する。
「周りの目を気にせず、僕のことを助けてくれたからね。ほんとうに、ありがとう。
って、今告白する気はなかったんだけどなぁ。…花?どうしたの?」
溢れる気持ちが抑えきれない。
「彩斗、私も、彩斗のこと、好きだよ。」
彩斗は驚いた顔をして、そして懐かしい満面の笑みをみせる。
「ありがとう、花!」

エピローグ
あの日を境に、私は変わった。毎日がとても楽しい。新しく出来た友達と遊んだり、彩斗と毎日のようにお話をしたり。
そう、私は気づいたんだ。
個性なんか無くったって、認めてくれる人がいるし、悲しんだり、自暴自棄になる必要なんてない。だから、私は。
自分が、大好きだ。

作者メッセージ

どりーむです。
今回はちゃんと真面目なお話を書いてみました。
いつものより長めですが、今の私ではこれが限界です。
これ以上長くすると、お話と私の精神が崩壊します。
では、まだまだ色々なお話を書くので、今後も引き続きよろしくお願いします。

2026/01/14 20:17

どりーむ
ID:≫ 26a0UP4RanvbA
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