もし、もっと正直になれたなら。本当のことが話せたなら。
自分を、探せたなら。今は、変わっていただろうか。逃げていないだろうか。
私が今欲しいものは、馬鹿になれる勇気。
カラッと晴れた日曜日、と言いたいところだが今日は生憎の小雨。せっかくの入学式だっていうのに何も今日降らなくたっていいじゃないか。頑張って受験して、合格して、勝ち取った中高一貫校。もともとここに通う予定ではなかった。うちは、さして裕福でもない。だから自分から私立なんか通うほどのお金はない。一般的に私立中、国立中、都立中、公立中の順で学費が高い。なのに私が今日から通うのは私立中だ。
私の両親は子供の頃家が貧しく、塾も行けずに自力で勉強をしていたらしい。だから少なからず勉強には後悔があるらしい。私にはそんな思いはさせたくないのだろう。
私の第一志望校は都立中だった。今日入学するこの学校は、受験まであと一ヶ月という時に急遽決まった滑り止めだ。受験は2月1日から3日で、最初の2日で、ここを受けた。初日は舐めてかかっていたので余裕で落ちた。だがそれが案外応えた。結果は当日の22時に発表されるが、絶対受かると思っていたのに悲しくはなく、驚いただけだと思っていたのに涙が出た。しかも一度流れるととまらなかった。そんなにこの学校に通いたいわけではない。学校説明会も行っていないし、なんなら受験当日にこの学校を初めて見たような感じだった。家からは電車で二駅だが通う予定もない学校についてのんびり調べるほど私の受験生活に余裕はなかった。私は第一志望校に落ちたら公立中に行く予定だった。だからこれは滑り止めという名の受験の雰囲気を知ろうとした程度の試験。なのに2日目に本気で受けた。私史上一番集中した試験ではないだろうか。たかが滑り止めなのに。通わない学校なのに。
2日目は受かった。嬉しかった。両親も褒めてくれて、ただただ嬉しかった。3日目が第一志望校なのに、気が緩んでいた。私がこの学校に通う時点でわかるかもしれない。私は3日目に落ちた。気が緩んでいたから。いや、言い訳だ。私の実力が足りなかった。2日目ほどではないが集中もしていた。私は公立中に行くと思っていた。だが両親は私が頑張ったからと私立中に通わせることにしてくれた。ここで冒頭に戻る。
今日は入学式、私の楽しい中学生ライフが始まる。1年A組。右隣の席は男の子だった。苗字がや行のため、左隣の席はなく、窓があった。担任は男の先生、副担任も男の先生。私立だからなのか中学校だからなのか副担任がいた。制服も副担任もクラスの表記がアルファベットということも、初めてのことだらけでワクワクした。少し大きく、ちょっと違和感のあるブレザーも身長が伸びてこの学校に馴染んで、後輩ができたら、私にしかわからない着心地のいいものになっているのだろうか。右隣の男の子は霧海(むかい)君だ。A組が始まって3日目、委員会や係を決めることになった。私は図書委員に立候補した。小学校で図書委員会委員長をやっていたから。立候補したのは6人だが二枠しかなく、じゃんけんで勝った2人が図書委員をやるということになった。反対に一番人気がなかった、というかやりたがる人がいなかった委員会は風紀委員会だ。だから勝った2人は図書委員、逆に負けた人の中でまたじゃんけんをし、ワースト1、2の人が風紀委員会に入るということになった。私は負け続けた。ワースト1だ。結局風紀委員会に入ることになったが、風紀委員会は男女一人ずつということで、男子の方はもうすでに決まっていた。霧海君だった。お隣さんだったから、友達を増やす感じで「よろしくね」と言った。
自分を、探せたなら。今は、変わっていただろうか。逃げていないだろうか。
私が今欲しいものは、馬鹿になれる勇気。
カラッと晴れた日曜日、と言いたいところだが今日は生憎の小雨。せっかくの入学式だっていうのに何も今日降らなくたっていいじゃないか。頑張って受験して、合格して、勝ち取った中高一貫校。もともとここに通う予定ではなかった。うちは、さして裕福でもない。だから自分から私立なんか通うほどのお金はない。一般的に私立中、国立中、都立中、公立中の順で学費が高い。なのに私が今日から通うのは私立中だ。
私の両親は子供の頃家が貧しく、塾も行けずに自力で勉強をしていたらしい。だから少なからず勉強には後悔があるらしい。私にはそんな思いはさせたくないのだろう。
私の第一志望校は都立中だった。今日入学するこの学校は、受験まであと一ヶ月という時に急遽決まった滑り止めだ。受験は2月1日から3日で、最初の2日で、ここを受けた。初日は舐めてかかっていたので余裕で落ちた。だがそれが案外応えた。結果は当日の22時に発表されるが、絶対受かると思っていたのに悲しくはなく、驚いただけだと思っていたのに涙が出た。しかも一度流れるととまらなかった。そんなにこの学校に通いたいわけではない。学校説明会も行っていないし、なんなら受験当日にこの学校を初めて見たような感じだった。家からは電車で二駅だが通う予定もない学校についてのんびり調べるほど私の受験生活に余裕はなかった。私は第一志望校に落ちたら公立中に行く予定だった。だからこれは滑り止めという名の受験の雰囲気を知ろうとした程度の試験。なのに2日目に本気で受けた。私史上一番集中した試験ではないだろうか。たかが滑り止めなのに。通わない学校なのに。
2日目は受かった。嬉しかった。両親も褒めてくれて、ただただ嬉しかった。3日目が第一志望校なのに、気が緩んでいた。私がこの学校に通う時点でわかるかもしれない。私は3日目に落ちた。気が緩んでいたから。いや、言い訳だ。私の実力が足りなかった。2日目ほどではないが集中もしていた。私は公立中に行くと思っていた。だが両親は私が頑張ったからと私立中に通わせることにしてくれた。ここで冒頭に戻る。
今日は入学式、私の楽しい中学生ライフが始まる。1年A組。右隣の席は男の子だった。苗字がや行のため、左隣の席はなく、窓があった。担任は男の先生、副担任も男の先生。私立だからなのか中学校だからなのか副担任がいた。制服も副担任もクラスの表記がアルファベットということも、初めてのことだらけでワクワクした。少し大きく、ちょっと違和感のあるブレザーも身長が伸びてこの学校に馴染んで、後輩ができたら、私にしかわからない着心地のいいものになっているのだろうか。右隣の男の子は霧海(むかい)君だ。A組が始まって3日目、委員会や係を決めることになった。私は図書委員に立候補した。小学校で図書委員会委員長をやっていたから。立候補したのは6人だが二枠しかなく、じゃんけんで勝った2人が図書委員をやるということになった。反対に一番人気がなかった、というかやりたがる人がいなかった委員会は風紀委員会だ。だから勝った2人は図書委員、逆に負けた人の中でまたじゃんけんをし、ワースト1、2の人が風紀委員会に入るということになった。私は負け続けた。ワースト1だ。結局風紀委員会に入ることになったが、風紀委員会は男女一人ずつということで、男子の方はもうすでに決まっていた。霧海君だった。お隣さんだったから、友達を増やす感じで「よろしくね」と言った。