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枯れてしまった花には綺麗な花瓶を。

#1

『大人』になりたい

(あぁ、大人になりたいなぁ……)

ビールの空き缶が散乱しているリビングで、今殴られた頬を押さえながら思う。

この世にない言語で喚いている母を静かに見つめる。

母は重度のアルコール中毒者だ。しかも、酔うと手が出るタイプの。

俺自身が殴られるようなことはなにもしていない。

酔っている母に夜ご飯を渡した。本当にそれだけだ。

酔っている母に近づくと殴られるのはもう慣れた。

それでも母に近づいたのは、母がもう何日も食事をとっていないからだった。

酒は湯水のごとく飲んでいたが、料理と呼ばれる食べ物を母は三日間食べていないだろう。

母が心配だった。

このまま死んでしまうのではないかって。

父が憎かった。

不倫した癖に母の承諾も得ずに離婚して。

自分が嫌いだった。

早くお金を稼ぎたいのに子供だから。

俺がお金を稼げば、母はどんな反応をするだろうか。

褒めてくれるだろうか。労ってくれるだろうか。

否、母はそんな人ではない。

お金を稼ぐ俺に依存するだろう。もっと働けと家から追い出すだろう。

母はそんな最低な人だ。

それでも、俺が最低な母を──最低な母さんを愛する理由は、母さんが俺の〝母親〟だからなのだろう。

俺は〝母親〟に死んで欲しくない。

今は辛うじて昼に母が働いているから、生きていけるがその内母は仕事に行くことを辞めるだろう。

だから、俺がお金を稼がなければいけないのだ。

アルバイトなんかじゃ足りない。

水道代も電気代もガス代も家賃も食費もビール代もすべて、俺が払わなければいけなくなる。

現在、17歳の高校2年生。

高校卒業まで残り1年と少し。

[小文字]「早く、大人になりたい……」[/小文字]

そう呟いた俺は猛獣と化した母に殴られた。

作者メッセージ

短編集です
気まぐれ更新です

2025/04/30 18:44

終夜 夜酔
ID:≫ 3pI3ywhDu8i1Y
コメント

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短編集夜もすがら君の名前を叫ぶよ

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