“見た目アウト”なポーションを飲んだら転生したので、この世界で最強になろうと思います。

天城レンは、深夜のオフィス街をふらふら歩いていた。
 残業続きで脳が半分死んでいる。
 唯一の救いは、自販機のホットコーヒーだった。

「……これ飲んだら帰って寝よ」

いつもの青い自販機。
 いつものブラックコーヒーのボタン。
 レンは小銭を入れ、ボタンを押した。

ガコン。

落ちてきた缶を拾い上げた瞬間、レンは固まった。

「……缶が、光ってる、、、、、?」

缶の中で揺れている液体は、
 どう見てもコーヒーではなかった。

黒でも茶色でもない。
 金属光沢を帯びた、ドロッとした“見た目アウトなポーション”。

「絶対飲んじゃダメなやつだろ……」

そう思いながらも、疲労で判断力が死んでいたレンは、
 プルタブを開けてしまった。

ゴクッ

――甘い香り。
 ――光る液体。
 ――コーヒーの味ゼロ。

「……これ、コーヒーじゃないよな」

そう呟いた瞬間、視界が白く弾けた。

次に目を開けたとき、レンは草原の上に倒れていた。

「……は? ここどこ?」

空には太陽が二つ。
 周囲には巨大な花。
 スーツ姿の自分だけが異様に浮いている。

そして目の前には、見知らぬ少女が立っていた。

白い髪、淡い青の瞳。
 軽装の冒険者のような格好で、腰には短剣。

「……あなた、空から落ちてきた人?」

「いや、落ちてきた覚えはないんだけど……」

少女は首をかしげた。

「私は水無瀬リオ。あなたは?」

「名前、、、、?天城レン、、、、、です。
 ていうかここ、どこ?」

「エルシア王国の外れ。
 ……ってことは、やっぱり“転生者”?」

「いやいやいや、そんな簡単に転生しないですよね?」

「でも、空から光って落ちてきたよ?」

「それは……自販機のせいで……」

レンは頭を抱えた。
 リオは興味深そうにレンを見つめる。

「ねえレンさん。
 その匂い……“ポーション”の気配がする」

「いや、コーヒー買ったんだけど」

「それ、絶対コーヒーじゃないよ」

「俺もそう思う」

リオはレンの手を取り、真剣な顔で言った。

「転生ポーションを飲んだ人はね――
 この世界で最強になるんだよ。」

「……は?」

「だからレンさんは、もう“最強”なんだよ」

「いやいやいや、そんなRPGみたいに――」

そのとき、森の奥から巨大な影が現れた。
 牙をむき、地面を揺らしながら突進してくる魔獣。

「ちょ、待て待て待て!!」

「魔獣です!私の短剣を使ってください!」

「いや、俺まだ状況理解してないんだけど!?」

魔獣が咆哮し、レンに飛びかかる。

反射的に短剣を突き出した。

――次の瞬間、魔獣は光の粒になって消えた。

「…………え?」

「ほらね。最強でしょ?」

「いや、俺じゃなくて君の短剣で倒せたよね!?
 物理法則どうなってんの!?」

リオは笑った。

「ようこそ、異世界へ。
 天城レンさん。」

レンは空を見上げた。

二つの太陽が眩しい。
 もう帰れないかもしれない。
 でも――

「ここで冒険するか、、、、」

こうしてレンは、異世界で最強を目指すことになった。

自販機のコーヒーを買っただけなのに。

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