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四季を編む円卓

街の喧騒が届かない、クリスタルの[漢字]東屋[/漢字][ふりがな]あずまや[/ふりがな]

そこには、一脚の椅子に座るだけで一年の旅ができる、不思議な円卓がある

円卓は四つの扇形に分かれ、それぞれが独自の「旬」を呼吸している

銀のティーポットを傾けるたび、カップの中には季節の精霊が舞い降りる。

『[漢字]桜雨[/漢字][ふりがな]さくらあめ[/ふりがな]のプレリュード』

春の席に座れば、足元には淡い桃色の芝生が広がる

運ばれてきたのは、「摘みたての朝露と若葉の緑茶」

透明な耐熱ガラスのカップの中で、桜の花びらがゆっくりとほどけ、

ひと口啜れば、舌の上で冬の凍てつきが春の抱擁へと溶けていく 甘くまろやかな若草の香りが口に広がる


サイドボードには、「雲を練り込んだ苺のシフォンケーキ」

フォークを入れるたび、サクッ、ふわっと、綿あめのような食感

新しい命が芽吹く時の、小さくて力強い音が聞こえるはずだ  澄んだ透明感のある香りが心を満たす

デセールは「春菊のなめらか草原プリン」

春菊の爽やかな香りとまるで草原を吸い込んだかのような ほろ苦い味

一口食べると、まるで草原に倒れ込んだかのように 優しく包みこまれる


『[漢字]向日葵[/漢字][ふりがな]ひまわり[/ふりがな]のロンド』

二歩、右へ席を詰めれば、そこは眩しい光に満ちた真夏のテラス

差し出されたのは、「太陽の雫を絞ったアイスティー」

カラりと鳴る氷の音は、遠い海岸線で弾ける波の拍手

まるで、果実を丸ごと食べたかのような ジューシーな苦みが口いっぱいに広がる


ここでは、「完熟したマンゴーと情熱のタルト」が主役。

トロピカルな甘みが喉を駆け抜けるたび、

背中には見えない羽が生え、入道雲の峰まで飛んでいけそうな心地がする

デセールは「月光を宿したクリスタルジュレ」

透明なバタフライピーとジャスミンの 花の香りが口の中でほどける

爽やかなアロエとライムの鋭い清涼感を閉じ込める まるで初夏の朝の涼しい風のようだ


ジャムの代わりに添えられたのは、「夕立のあとの虹の輝き」だ。

『[漢字]琥珀[/漢字][ふりがな]こはく[/ふりがな]のノクターン』

さらに席を移せば、空気はひんやりと、そして甘く重く沈殿し始める。

秋の席には、「スパイスをたっぷり効かせたロイヤルミルクティー」

シナモンとクローブの香りが、読書灯のような温もりで心を包み込む。

金木犀の深いミルキーさと 少しフルーティーな気分

テーブルを彩るのは、「森の恵みを詰め込んだモンブラン」

ただ甘いだけでなく、ローストしたヘーゼルナッツや少量のブランデーを効かせた

まるで大地の力強さをそのまま形にしたような、深いコクが広がる。

デセールは「落ち葉の形をした焦がしバターのマドレーヌ」

焼き加減は、少しエッジが立つようにカリッと

外側は落ち葉が乾燥したような軽やかな食感で、噛むとホロリと口の中で溶けるよう

カサカサと鳴る落ち葉の音をBGMに、

昨日までの忙しさを、琥珀色の液体の底へ静かに沈めてしまおう


『銀世界(ぎんせかい)のワルツ』

最後の一席、そこは静寂が支配する、雪の女王のティールーム

立ち上る湯気さえも、一瞬で雪の結晶へと変わる極寒の地

けれど、手元にあるのは「カカオの魔法をかけたホットチョコレート」

マシュマロの小舟がゆっくりと溶けていく様は、

凍えた心を温める、暖炉の火よりも優しい灯火。

深く、時にはハーブのような香りと複雑な苦味が際立ちが包み込む。

真っ白な「粉雪を纏ったシュトーレン」を切り分ければ、

中からは、ひと夏をかけて熟成されたドライフルーツの記憶が溢れ出す

デセールは「氷の下の春を待つ、白いスフレ・グラッセ」

「氷」のような冷たさと「雪」の口溶け まるで新雪が溶けるようにフワっと消え 冷たい幸福感が残る

トッピングには雪の結晶のような パリパリとした 結晶が割れるような繊細な音が奥深くまで残る




「さあ、あなたなら、どの季節のティーカップを手に取りますか?」

この円卓は、四人が揃った時にだけ、

中心にある「永遠」という名のホールケーキを切り分けることができる。

春の息吹

夏の情熱

秋の思索

冬の静寂

すべての季節が混ざり合った時 私たちの物語は、世界で一番豊かな味わいになる


どうか、お好きな席にお座りください

あなたの言葉という「隠し味」が加わるのを この四季の円卓は、ずっと待ち侘びているのですから

2026/02/08 15:15

片思いちゃーん
ID:≫ .1Whwe83R4HO.
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ポエム四季の茶会招待状幻想的言葉の魔法

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