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イヤホンの奥から

「ぶぅらっぱっぱぁ」

心地よい巻き舌が軽快な音を刻む。
自転車を漕ぎながら手でリズムを取る。

「んふふ〜ふふんふ〜ふ〜ちゃたちゃた〜」

春の日差しが心地よい。

こんな日は早く帰ってボーっとするのが一番…といきたいところだが課題は山積み。

お気に入りの曲のお気に入りの部分を何度も鼻歌で周回していると、既に家の前。
盛り上がるリズムに合わせてブレーキをふみ、慣れた手つきで自転車を施錠し、カバーを被せる。

「ただいま」

今日の夜ご飯なんだろ。

どうでもいいことを考えながら上着を脱ぎ、マスクを外す。
手洗いとうがいを済ませ、スマホの通知を確認する。
『あなたの投稿に…』
『新着のメッセージ…』

たまには未読スルーしたって良いじゃない。

ソファにどっかりと座り、有線のイヤホンをパソコンに挿す。
キーボードを叩く音が辺りに溶けていく。
見慣れた画面。再生ボタンを押す。

『―hey…』

何度も聞いた曲の冒頭のフレーズが始まる。
忙しいアイソレーションをしながら、爽やかな風に誘われて窓の外を覗く。
きれいな桜が大きく、でも優しく揺れている。

大好きなサビ。
タイミングを見計らったかのように一つ大きな風が吹き抜けていく。
イヤホンから流れてくる、春の匂いを包み込むように。

それだけで、今日はもう少し、頑張れるような気がした。

作者メッセージ

ショートショート的な短めのお話を書きました
久々!

読んで頂いてありがとうございます!!

2026/04/20 17:59

TAKOっち
ID:≫ 0seAHgxl/4K6Y
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TAKOっち文庫イヤホンの奥から

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