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コトノハ

子供みたい?確かにそうかもな。
時が止まったように、
のうのうと生きてたい、のうのうと生きていく。
ハハッ、笑えるな。

―こんな、夢物語のコトバたち。
とめどなく並べられる羅列の真意。
呑気に暮らしていたあの頃と、
破滅への道のりのお話―。

殺してやりたい。
と、思ったのがすべてのきっかけだった。
濃密でも希薄でもないありふれた日常。
はっきりと、世界は一変した。

恋も勉強も仕事も何もかも下手。
とろい、のろい、おそい。
望んだ結果は得られない。
ハナから俺は、間違っていたのかもしれない。

転けて躓き続けた人生を、
踏破するのは無理ゲー。
のっそりと、少しずつ、だが確実に。
這うようにしながらも、変えていく。

こんな目に合うことになった元凶。
とばっちり?違う。
呑み込んだ事実と、身勝手な言い訳。
跳ねる心臓を抑える。

この世に、オマエは必要ない。
陶犬瓦鶏はオマエの方だ。
呪いを噛み砕いたその衝動は、
波濤のように押し寄せる。

コントロールできなかった殺意は、
とどめなく溢れ出す。
NOで埋め尽くされた理不尽な人生。
波乱に満ちた不条理な人生。

こき使ってきたオマエ。
ときに理不尽、いや、常に理不尽な社会。
脳を灼くつらい記憶。
はぁ……。

この世は所詮綺麗事。
遠い幸せを願っただけなのに、
ノイズにまみれた人生を歩んだ。
掃き溜めのように罵声を浴びせられた。

「言葉」
というもの。
ノリ?イジり?悪口?
吐かれた側の心はズタズタだ。

「殺す」。
闘争してきたはずの俺も、
能天気だったはずの俺も、
吐く側に立っていた。

こんなときになって気づいた。
遠く懐かしいあの頃、
のうのうと生きていた子供の頃。
歯と歯の間に挟まっていたような切望が漏れる。

コトノハに思いを乗せて―、
とっくのとうに忘れたモノを思い出して―。
呑み込んでいた感情に声を上げる。
拝啓、子供の頃の俺へ。敬具、死刑後の俺より。

作者メッセージ

皆さんお疲れ様です、たこっちです。
社会に揉まれた死刑囚のお話でした。
「言葉」という発明は便利さと共に、現代社会に陰口という形の闇を落としました。
誹謗中傷、軽いノリが高じたイジりや悪口。
言葉が持つ意味というのは捉えよう。
過去の自分が落とした一言。
言った側からすると些細な一言。
でも、言われた側は重く受け止めているかも。

人間という生き物は脆く、矮小な存在。
1人では心細く、集団行動を好む。
少しでは淋しく、多くを望む。
他者との関わりが何より重要な人間は言葉を編み出し、現代へと受け継いできました。
それなのに、「言葉」という「有り難さ」を「当たり前」に履き違える人間。
「言葉」の持つ意味、雄大な「コトノハ」を、見誤る人間。
驕る人間が社会に溢れ、その餌食となった人々は孤立する。
悲しく、淋しく、辛い思いをした、その人々も、いつか気づけば逆の立場に。
人間は愚かで、酷いから。

社会を知らず、毎日の暇を持て余していた幼い自分。
その頃の自分の心はこんなに汚れてはいなかったはずなのに。
格段楽しいこともないが、悲しい思いもない。
そんな自分を羨む自分にまた腹が立つ。

人間というのは過ちを繰り返すもの。
人にけなされた挙句、人を恨んで殺しに手を染めてしまった死刑囚のお話です。
繰り返す過ちは「言葉」から。

過ちが輪廻するのをイメージして作ったんですが…
本文それぞれの文の最初の文字が「コトノハ」で周期していることに気づいたでしょうか?
ぜひ読み返してみて下さい。

2025/09/06 14:37

TAKOっち
ID:≫ 0seAHgxl/4K6Y
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