『緑の街』
俺達がこれから対戦するマップだ。
街とは言っても、ざっくりとした構造物がいくつかあるだけで、家などがあるわけではない。
簡単な作りで開けた場所が多いそのマップでは、敵を逃がしにくいが逃げにくいという一面を持つ。いくつかの構造物をうまく活用して生き残りをかけ戦う。それがこのマップでの勝ち筋だ。
マップを上から写したマップ紹介の映像が5秒ほど流れると、プレイヤーはチームごとに別の場所に配置される。
「GO!」
「GO!」
「GO!」
大戦中は自由にチャットができないため、定型文チャットで開戦の気合を入れ合う。
このゲームはスキン固有の能力と、エリアに散らばる物資から出る武器を使って戦う。
スタートしたら物資を回収しなければいけない。
スタートするまであと3秒。できるだけ散らばるように動く。
ここで出遅れたら勝敗がその時決するようなものである。
スポーン場所から、俺は前方、かなりは右、ねむりは左へと走っていく。
『START!!』
始まった――!
エリアに点在する物資を開けて武器を入手していく。
無威力の爆風を巻き上げる、移動や撹乱用の「インパルス」
放射後数秒後に爆発する中威力の爆弾「グレネード」
威力の弱いライフル銃のようなイメージの、高速で低威力の空気弾丸を飛ばす「空気砲」
味方の傍へ瞬間移動できる「テレフォン」
パンチの上位互換、近接攻撃用の「棍棒」
設置時間を要するが、設置場所を通った相手を数秒間拘束する「トラップ」
ごく低威力だが火傷状態にし、瞬間的に移動速度を低下させる「火炎放射」
これらの武器を散らばっている物資から入手する。
このゲームにおいて重要なのは離脱用の武器と近接武器。
的に囲まれた時、いかにそこから早く移動できるか。
味方のもとに、いかに早く到着できるか。
また、近接武器は弾数など限りがないためずっと使い続けられる。
インパルスやテレフォン、棍棒は否が応でも入手したい。
物資を開ける。
『空気砲×6』
『トラップ×2』
『グレネード×2』
『空気砲×6』
いや確かに空気砲はすごい速度で消費していくタイプの武器だからたくさんあって良いんだけどさ…?
棍棒もインパルスもテレフォンも出ねえ……
運悪すぎんだろ、まじで。
次の物資を探す。
早くしなければ他チームに取られてしまう。
そう思いながらダッシュで物資のある場所へ向かう。
何度も戦ってきたこのマップ。物資のある場所はすべて把握している。
よし、取られてない。
向かった先には、まだ開けられてない物資があった。
頼む…!出てくれ…!
『空気砲×6』
『インパルス×2』
『火炎放射×3』
『火炎放射×3』
よしよしとりあえずインパは出てくれたし、瞬間的な足止めに使える火炎放射もでた。
もう物資ないか…?
淡い期待をもち、いつも終盤まであまり開けられてない物資がある場所へ足を運ぶ。
最短距離で向かう―。
よかった!まだあけられてない!
『棍棒』
『グレネード×2』
『インパルス×2』
『空気砲×6』
よし、テレフォンは出なかったけど棍棒が出てくれた。
「nice!」
「nice!」
かなりとねむりが定型文チャットを流してくる。
二人も準備ができたようだ。
俺も「nice!」と応じ、敵と遭遇する前に二人の下へ走る。
「集合!」
かなりが集合の合図を出す。
二人は強大な敵を一旦静観するため、マップの端っこの方の構造物の影にいる。
敵の姿は見えないが、油断していると一瞬で殺られることもある。
油断は禁物だ。
二人の近くまで走って、もうすぐ合流するというその時―。
ドォォン!
二人の方から、爆発音が聞こえた。