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国内旅行に行きたい人へ

#10

リクエスト:埼玉は、デカいんだゾ! 1

[太字][大文字]第一章 大宮駅と鉄道博物館、「究極の無」がもたらす摩擦の消失[/大文字][/太字]

大宮駅の改札を出た瞬間、五右衛門はガクガクと膝を震わせ、その場にへたり込んだ。
「な、何これ……! 大阪であれほど強固になった私の摩擦グリップが、面白いように空回りしていくわ……!」
[太字]埼玉県。そこは東京のベッドタウンとして、あらゆる個性をあえて削ぎ落とし、平穏を追求した聖地。[/太字]人と人との心理的距離は[太字]「つかず離れずの絶妙なソーシャルディスタンス」[/太字]に保たれ、街の空気からは一切のトゲが排除されている。
「滑る……! 街全体の摩擦係数が限りなくゼロに近いのよ……! このままだと私、ただの『ものすごくよく滑る女の子』になっちゃう……!」
危機感を覚えた一行は、失われゆく摩擦を求めて[太字]『鉄道博物館(鉄博)』[/太字]へと駆け込んだ。展示された巨大な蒸気機関車や新幹線の厳めしい車輪。それらを見た五右衛門の目が、再び怪しく光る。
「これよ……! 鉄と鉄が噛み合う、極限の線路摩擦……! そして、定刻通りに1秒の狂いもなく運行されるという、規則正しさ(ダイヤ)が放つ、目に見えない強烈な制動摩擦……っ!」
五右衛門は展示されたレールの模型にそっと触れた。その瞬間、彼女の身体から[太字]「キィィィィィン!」[/太字]と新幹線の緊急停止時のような超高周波の摩擦音が鳴り響く。
埼玉の[太字]「何もなさ(=完全なる滑らかさ)」[/太字]と、鉄道の[太字]「精密な摩擦」[/太字]が彼女の中で美しく融合した。いまや彼女は、どんなに滑りやすい氷の上でも、時速300kmで急ブレーキをかけてピタッと止まれる『絶対制動の摩擦の女王』へと覚醒を遂げたのだ。
[太字]「バブッ! 領収書! バブ!」[/太字][明朝体][斜体][太字](この鉄の塊は…天の領収書の価値に匹敵する…)[/太字][/斜体][/明朝体]
車輪の美しさに感動した近所の犬(神、兼・経費の神)が、大宮駅の入場券の領収書を咥えて嬉しそうに尾を振った。

作者メッセージ

いや〜埼玉は自分、結構好きなんですよね〜。

2026/07/05 18:56

木綿豆腐
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