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『まともを追求し、光り輝く勇者一行の最後尾で泥にまみれた荷物持ちと一羽のハシブトガラスが共謀して作り上げた、誰も死なず誰も救われない、しかし極めて合理的で「まとも」な世界の終わり方についての冒険記』

#5

第五章:異種の冷徹な共鳴

勇者一行が次に足を踏み入れたのは、霧深い「嘆きの湿地」でした。 そこには魔王軍の斥候、古強者のスケルトン「骨(ボーン)」が潜んでいました。
1. 「物言わぬ」者同士の邂逅
勇者たちが沼に潜む魔物を派手な魔法で焼き払っている最中、クロは戦域から少し離れた枯れ木に止まりました。そこには、既に先客がいました。 錆びた剣を杖代わりにし、微動だにせず戦場を眺める骸骨騎士、ボーンです。
普通なら逃げ出す場面ですが、クロは逃げません。 なぜなら、ボーンからは「殺意」も「空腹」も感じられないからです。彼はただ、そこに「在る」だけでした。
2. 観察者のダイアローグ
ボーンは、カタカタと顎を鳴らしました。それは人間には聞こえない、魔力の振動による意思表示です。カラスの鋭い感覚だけが、その「感想」を受信します。
・ボーン(骸骨): (……また、派手に燃やしているな。あの沼の藻は、冬の間、我々の食糧貯蔵庫になるはずだった。あいつらは、生態系の循環を壊すのが得意らしい)
・クロ(カラス): (カァ。あいつらは食うためじゃなく、『気分』で壊す。前の村でもそうだった。効率が悪すぎる群れだ)
ボーンは、中身のない眼窩をクロに向けました。 彼は、魔王のために忠誠を誓っているわけではありません。ただ、死んで肉を失った結果、人間特有の「熱情」や「偏見」から解き放たれ、世界をあるがままに見るようになった「極めてまともな死者」でした。
3. エリオンという「例外」
そこへ、はぐれた荷物を探しにエリオンがやってきます。 骸骨とカラスが並んで座っている異様な光景を見て、エリオンは足を止めました。普通なら悲鳴を上げるところですが、彼はそっと日記帳を取り出しました。
「……君も、彼(クロ)と同じ目で見ているんだね」
エリオンはボーンの隣に腰を下ろし、泥で汚れた地図を広げました。 ボーンは、骨だけの指先で、地図の一点を指し示します。そこは、勇者たちが目指す聖域ではなく、「この戦乱を生き延びるための、最も安全な避難路」でした。

作者メッセージ

次はいよいよ最終章です!

2026/03/31 12:43

木綿豆腐
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暴力表現連載小説カラス冒険記

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