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魔王になったらいつの間にか魔界を救ってました

#5

3話

[美音視点]


あれ、と僕は思う。


「その話が本当なら、美咲。今、零魔法使えないよね?」


美咲は表情を変えず、こう言う。


「あぁ、バレちゃったか。」



つまり、本当なのだろう。



これなら、僕にも勝ち目がある。



「『究極複合魔法 喧嘩するほど仲が良い』」


赤い竜と青い竜を召喚する技。


美咲の中でも、少ない魔力で攻撃できる技だ。

しかも火と水が複合する属性だから属性制限があっても使える。


でも―――。


今の僕の前では無力だ。


「『上級聖魔法 光と言う名の免罪符』、『能力発動 変化を操る程度の能力』」


保険として、周りの攻撃を吸収する。


さっきの技と違うのが、吸収専用だということ。


その証拠に、僕の周りには膜はなく、足元に渦が見える。



そして、僕の能力『変化を操る程度の能力』で、美咲の竜と攻撃の動きを止めた。



「―――ここからは、僕のターンだ。」



ウオォォォォォォォ!!!!


観客の声が聞こえる。


「観客の皆さん、僕の勝利を拝む準備はできましたか〜?」



僕は、できる限り大きな声で叫ぶ。



この声は止まってしまった美咲には聞こえていない。



ガッシャーーン





―――一体何事だろうか、何が落ちた。



[大文字]シーーーーーン[/大文字]




周りが静かになった。



いや、静かすぎる。



子どもの声も聞こえない、もちろん大人の声も。




シュンッ

風を切るような音と同時に、この辺り一帯に光が降りかかる。



「―――眩しっ。」



・・・・っ。



「え・・・・、どういうことですか――」



今、僕の目の前には美咲ではなく。




先程まで楽しそうに観戦していた観客の姿があった。


先程の明るい雰囲気はどこへ行ったのか、全員無表情。


まるで、何かに操られているかのように。


何かに導かれるかのように、うっすらと笑みを浮かべた観客たちには。



どこか不吉なものを感じさせる不気味さがあった。




「『標的変更』」



急いで、美咲を避難させる。


能力の標的を観客に変えているから、観客はピタリとも動かない。



「え、美音!?一体どういう状況なの!?」



「突然何かが落ちた音がしたんだけど、その後に観客の人たちがここに・・・・。」


美咲は少し考えた後、こう言った。


「シャルム。」



スタッ


「何の御用でしょうか、お嬢様。」


「美和さんたちは?」



「普段通りです、私も美和さんたちも。」


それを聞いた美咲はさらに質問をする。



「うーんと、関係がなさそうなことでもいい、何か知っていることは?」


なるほど、自分の知らないことを他人の知識で補うと。 考えたね、美咲。




「あ、そういえば美和さんが――」


シャルムさんの話によると、美和さんは美咲の火力に変化に気づいたらしい。


それが意図的なものでないなら、[太字]何者かの妨害[/太字]かも知れない、とも。



「シャルム、美和さんを呼んで。すぐに。」


「承知しました。『中級植物魔法 花粉よ届け』」


シャルムさんの足元から、青々と生い茂った植物が広がる。


「美和さんの元へ向かってください、急いで。」



[太字]ギリア[/太字]という名の花だったはず。



たしか、花言葉は。



「[太字]ここに来て[/太字]」



花言葉でメッセージを送ることが出来るみたい、汎用性が高くていいな。




「何事だ!? 我の近くに観客が攻めてきていたのだが・・・・・。」


美和さんが20秒ほどで到着した。



「怖かったよぉ、お兄ちゃん〜。」


朱里も近くにいたのか、怪我していないかな。


「朱里、怪我はない?」



「うん、大丈夫!」


かわいい、いやそんなことは置いといて。



美和さんの方にも・・・・!?  一体誰の仕業なんだ・・・・。



「まずは、観客の人たちの対処をしないとね。『能力補強』、『能力全解除』」


そう言った美咲は、先程までの冷静さとは打って変わって。


慈悲に満ち溢れた目をしていた。


[水平線]
[美咲視点]


『能力補強』は、私の能力の一つである『能力全解除』を無効化する。

そして、『能力全解除』は対象の能力の効果をすべて無くす。


対象が私の場合は少し内容が変化するのだが、それはまた今度で。


『能力補強』で美音の能力を解除しないようにする。


もし今、観客が動き出したら面倒なことになる――。


そんな気がした。


その後、能力を全解除。  これで、洗脳系の能力なら効果が切れたはず。


「美音、そこの人たちがかかってる能力を調べてほしい。」


これでダメなら、次はどうすれば良いんだ・・・?


「分かった。―――特にかかってる能力はないみたい。」


「まずは、これで洗脳状態を解除っと。」


でも、ますます意味がわからない。


一体誰が、何のために?




「少し話したいのだが、良いか?」


そういったのは、美和さん。



そういえば、意味深発言をしていたらしい。





[太字][大文字]「少し、その力に心当たりがある。」[/大文字][/太字]


そのときのあなたは、少し寂しげで。


それでいて、どこか強い決意のこもった目をしていた。


[水平線]

[美和視点]


この観客たちを見て、すぐに[太字]あの伝説[/太字]が浮かぶのはなぜだろうか。


これすらも、何者かに導かれているのだろうか。


そう思いながら、我は語り聞かされた伝説を思い出す。



今日は満月、そしてあの伝説も・・・・・。


満月には不思議な力が宿っていて、その力は生物の力を増幅させる。


昔から聞かされてきた、伝説の数々。


実際にそれを目撃した人もいた、我の友達なども見たそうだ。



「[太字]満月の日、魔族が突如暴走し、自分を見失ってしまう。[/太字]」 そんな内容だったはず―――。



―――まさか。


これなら、今の観客たちの状況に説明がつく。


・・・・そういえば。


我の頭の中にうっすらと、自らの思想を語ってくれた[太字]あの人[/太字]が浮かぶ。



[大文字]―――あなたなんですか、犯人は。[/大文字]



いや、そんなはずはない。



そう思っているのに、我の中にある妙な引っ掛かりは消えることはなかった。

2024/12/26 07:08

みかん@活休中
ID:≫ 78UZVo6DJIHP2
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魔救能力魔法最強ただの無双物語

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