~異能力学園~
時計は回り、チッ、チッ…と音を立てている。
ふと脇に置いた自分の腕時計を見ると、直せないかな。と思ったりする。
「ライムがくれた腕時計なんだけどなぁ…」
朝からそんなことを思いつつ、あの戦いで酷使し壊してしまった罪悪感が、治りきったばかりで疲れている体を、余計重くしている、朝から溜まっていた仕事を片付けていると、生徒が教師を呼ぶ声が職員室に響いた。
雪乃「リズノワール先生~、授業の予定聞きたいんですけどいいですかね」
[漢字]白恵雪乃[/漢字][ふりがな]しろえゆきの[/ふりがな]、入学初日にスキル暴走により暴れてしまった生徒。
現在ではスキルの暴走などはなく、普通の生活を送れている。
リズノ「…ええ、今行くわね」
そんなやり取りを見ているとそろそろ自分も教室に行かないとな、と思い出し扉を開け歩き出す。
しばらく歩くと靴を履き、靴紐を結んでいる生徒が目に入る。
挨拶でもしようかと声をかけようとすると
足音は聞こえていたのだろうか、
フェリュクテは顔を上げ、こちらを見たまま、まるで観察対象を値踏みするように目を細めた。
その視線は“挨拶を返す生徒”というより、“実験前の素材を確認する研究者”に近い。
フェリュクテ「先生ねぇ。……ちょうどいいや」
靴紐を軽く引っ張って締まり具合を確かめると、フェリュクテは立ち上がり、こちらに一歩近づく。
距離が近い。普通の生徒なら踏み込まない間合いだ。
フェリュクテ「ねぇ先生。人間ってさ、どこまで壊れても“元に戻ろうとする”んだよね。細胞も、精神も、社会性も。まるで……壊される前提で作られてるみたいに」
唐突な話題に眉をひそめると、彼は楽しそうに口角を上げた。
フェリュクテ「先生、最近ちょっと疲れてるでしょ。歩き方でわかるよ。筋肉の収縮リズムが乱れてる。ああいうの、すごく興味深いんだよね。
“治ったはずなのに残る歪み”って、研究対象としては最高だと思わない?」
まるで心の奥を覗き込むような声音。
こちらが何も言っていないのに、”深く”まで見透かされているような錯覚すら覚える。
フェリュクテ「……あ、安心して。別に解剖したいとか、そういう話じゃないよ。
“生きたまま観察する方がデータが多い”ってだけ」
それは安心材料にならない。
フェリュクテはポケットから小さなメモ帳を取り出し、何かを書きつけながら続けた。
フェリュクテ「先生、今日のホームルーム、楽しみにしてるから。
だって――」
彼はメモ帳を閉じ、こちらを見上げてにやりと笑う。
フェリュクテ「先生何か考えてる顔してるもんね」
その言葉を残し、彼はひらひらと手を振って教室の方へ歩いていった。
足取りは軽く、まるで実験室へ向かう研究者のように。
後姿を見つめ、話をしている間にかなり時間が過ぎていたことを確認し、教室へと急いだ。
コリィ「…暇、」
教室に着くと何人かの生徒が喋っていたが、コリィが隅で小声でボソボソと喋っていた。
しばらくしてチャイムが鳴ると、ガヤガヤとしていた教室が静かになっていた。
「今日はみんなにお知らせがある。知っている人もいると思うが、来週、」
「スキル制御、応用、強化を目的とした合宿が始まる、」
この前の襲撃を受け、今回の合宿は中止されるのかと思っていた。
おそらく”上”の方で何かの目的があるのだろう。故に生徒に疑問を持たれたとしてもどうしようもないのだ。
一之瀬「先生、一つ質問よろしいでしょうか」
[漢字]一之瀬 穂花[/漢字][ふりがな]いちのせほのか[/ふりがな]、この学園では珍しい無能力生徒。ただ成績はTOP2まで上り詰めており学問、運動共に無能力生徒の中ではトップの成績を誇っている。
一つ言えるとすれば疑問に思ったことをすぐ質問してくる熱心な生徒、と言えるだろう。賢すぎるような気もするが、
一ノ瀬「約2週間前、先生達含め生徒何人かが遭遇した襲撃があったにも関わらず、通常に行われるのはなぜでしょうか、?」
「俺にもわからないが恐らく上の人達が守る術や何かの目的があるんじゃないかな、」
自分的にもよくわかっていない物を断言するのは違うのかもしれない、まあ取りあえず俺が説明できることは、あまりない。
「あァ、苦シそうだな…、[打消し]生きたいか?[/打消し]それとも。殺してほしいのか?」
風は吹き荒れ、”ソレ”は血を求め、歩き、今にも壊れそうな錆びついたナイフを握り、その壊れた城、いや”国”の前で呟く。
「笑えるなァ、あの”アルカディア”が今ではこんな廃墟だもんなァ‼」
地面に落ちたレンガをそこら辺の元々川だった枯葉てた場所に投げ捨て、笑う。そんな事をしていると、また。一人、二人、三人の足音が聞こえる。歯を伸ばし血に飢える牙で、それらを嚙み砕く。
吹き荒れる風と共に、咀嚼音が辺りに響く。落ちている壊れた掛け時計の針は、11時で止まっている。
時計は回り、チッ、チッ…と音を立てている。
ふと脇に置いた自分の腕時計を見ると、直せないかな。と思ったりする。
「ライムがくれた腕時計なんだけどなぁ…」
朝からそんなことを思いつつ、あの戦いで酷使し壊してしまった罪悪感が、治りきったばかりで疲れている体を、余計重くしている、朝から溜まっていた仕事を片付けていると、生徒が教師を呼ぶ声が職員室に響いた。
雪乃「リズノワール先生~、授業の予定聞きたいんですけどいいですかね」
[漢字]白恵雪乃[/漢字][ふりがな]しろえゆきの[/ふりがな]、入学初日にスキル暴走により暴れてしまった生徒。
現在ではスキルの暴走などはなく、普通の生活を送れている。
リズノ「…ええ、今行くわね」
そんなやり取りを見ているとそろそろ自分も教室に行かないとな、と思い出し扉を開け歩き出す。
しばらく歩くと靴を履き、靴紐を結んでいる生徒が目に入る。
挨拶でもしようかと声をかけようとすると
足音は聞こえていたのだろうか、
フェリュクテは顔を上げ、こちらを見たまま、まるで観察対象を値踏みするように目を細めた。
その視線は“挨拶を返す生徒”というより、“実験前の素材を確認する研究者”に近い。
フェリュクテ「先生ねぇ。……ちょうどいいや」
靴紐を軽く引っ張って締まり具合を確かめると、フェリュクテは立ち上がり、こちらに一歩近づく。
距離が近い。普通の生徒なら踏み込まない間合いだ。
フェリュクテ「ねぇ先生。人間ってさ、どこまで壊れても“元に戻ろうとする”んだよね。細胞も、精神も、社会性も。まるで……壊される前提で作られてるみたいに」
唐突な話題に眉をひそめると、彼は楽しそうに口角を上げた。
フェリュクテ「先生、最近ちょっと疲れてるでしょ。歩き方でわかるよ。筋肉の収縮リズムが乱れてる。ああいうの、すごく興味深いんだよね。
“治ったはずなのに残る歪み”って、研究対象としては最高だと思わない?」
まるで心の奥を覗き込むような声音。
こちらが何も言っていないのに、”深く”まで見透かされているような錯覚すら覚える。
フェリュクテ「……あ、安心して。別に解剖したいとか、そういう話じゃないよ。
“生きたまま観察する方がデータが多い”ってだけ」
それは安心材料にならない。
フェリュクテはポケットから小さなメモ帳を取り出し、何かを書きつけながら続けた。
フェリュクテ「先生、今日のホームルーム、楽しみにしてるから。
だって――」
彼はメモ帳を閉じ、こちらを見上げてにやりと笑う。
フェリュクテ「先生何か考えてる顔してるもんね」
その言葉を残し、彼はひらひらと手を振って教室の方へ歩いていった。
足取りは軽く、まるで実験室へ向かう研究者のように。
後姿を見つめ、話をしている間にかなり時間が過ぎていたことを確認し、教室へと急いだ。
コリィ「…暇、」
教室に着くと何人かの生徒が喋っていたが、コリィが隅で小声でボソボソと喋っていた。
しばらくしてチャイムが鳴ると、ガヤガヤとしていた教室が静かになっていた。
「今日はみんなにお知らせがある。知っている人もいると思うが、来週、」
「スキル制御、応用、強化を目的とした合宿が始まる、」
この前の襲撃を受け、今回の合宿は中止されるのかと思っていた。
おそらく”上”の方で何かの目的があるのだろう。故に生徒に疑問を持たれたとしてもどうしようもないのだ。
一之瀬「先生、一つ質問よろしいでしょうか」
[漢字]一之瀬 穂花[/漢字][ふりがな]いちのせほのか[/ふりがな]、この学園では珍しい無能力生徒。ただ成績はTOP2まで上り詰めており学問、運動共に無能力生徒の中ではトップの成績を誇っている。
一つ言えるとすれば疑問に思ったことをすぐ質問してくる熱心な生徒、と言えるだろう。賢すぎるような気もするが、
一ノ瀬「約2週間前、先生達含め生徒何人かが遭遇した襲撃があったにも関わらず、通常に行われるのはなぜでしょうか、?」
「俺にもわからないが恐らく上の人達が守る術や何かの目的があるんじゃないかな、」
自分的にもよくわかっていない物を断言するのは違うのかもしれない、まあ取りあえず俺が説明できることは、あまりない。
「あァ、苦シそうだな…、[打消し]生きたいか?[/打消し]それとも。殺してほしいのか?」
風は吹き荒れ、”ソレ”は血を求め、歩き、今にも壊れそうな錆びついたナイフを握り、その壊れた城、いや”国”の前で呟く。
「笑えるなァ、あの”アルカディア”が今ではこんな廃墟だもんなァ‼」
地面に落ちたレンガをそこら辺の元々川だった枯葉てた場所に投げ捨て、笑う。そんな事をしていると、また。一人、二人、三人の足音が聞こえる。歯を伸ばし血に飢える牙で、それらを嚙み砕く。
吹き荒れる風と共に、咀嚼音が辺りに響く。落ちている壊れた掛け時計の針は、11時で止まっている。