夢小説設定
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なるほど、立場が「逆」ですね。
つまり、**「あなたが痴漢に遭っているところに、敦くんが助けに来てくれる」**というシチュエーションですね。
仕事帰りの満員電車。あなたは逃げ場のない人混みの中で、背後に感じる異質な感触に凍りついていた。
何度も執拗に、服の上から這い回る指。
(やめて……誰か……)
恐怖で声が出ない。周囲は無関心な乗客ばかり。
そんな絶望に沈みかけた時、不自然なほど近くに「彼」が滑り込んできた。
「——そこまでですよ」
聞き慣れた、けれど今まで聞いたことがないほど冷え切った声。
敦が、あなたの背後に無理やり割り込み、●●の腰をまさぐっていた男の手首を、万力のような力で掴み取った。
「な、なんだお前は! 邪魔するな……っ!?」
男の怒鳴り声が、敦の視線に触れた瞬間に消えた。
敦の瞳が、獣のように黄金色に光っている。その眼光は、獲物を仕留める直前の猛獣そのものだった。
「……僕の、大切な人に触ったんです。タダで済むと思わないでください」
敦の瞳が獣の黄金色に輝き、犯人の男を射抜く。男は悲鳴を上げて逃げ出し、車内に静寂が戻った。
敦は肩を震わせながら、あなたの肩を抱き寄せた。
「……怖かったよね。ごめん、もっと早く気づけば……」
心底申し訳なさそうに眉を下げ、あなたの顔を覗き込む敦。その指先が、まだ少しだけ白虎の鋭さを残したまま、あなたの頬に触れようとした、その時。
「おやおや、敦くん。随分と物騒な顔をしているじゃないか」
聞き慣れた、ひょうひょうとした声。
いつの間にか背後に立っていたのは、砂色のコートをなびかせた太宰治だった。
「だ、太宰さん!? どうしてここに……」
「たまたま通りかかってね。……いや、君たちの『熱い視線』が電車を突き抜けて聞こえてきたと言った方が正しいかな?」
太宰は口角を上げると、敦が●●を抱きしめていた腕を、ひょいと軽く叩いて解かせた。
そして、●●の前にすっと入り込み、あえて敦を遮るようにしての●●手を取る。
「災難だったね。こんなに綺麗な手を震わせて……。敦くん、君が守りきれなかったせいで、彼女の心が傷ついてしまったじゃないか」
「うっ……す、すみません……」
太宰の言葉に、敦が目に見えて落ち込み、耳を垂らした犬のようにシュンとする。
けれど、太宰の瞳は笑っていなかった。彼は●●の手を取り、指先にそっと触れながら、敦にだけ聞こえる低い声で告げる。
「……次は『威嚇』だけで済ませるのかい? 敦くん。君の大切なものを奪おうとする者は、もっと徹底的に叩き潰さないと。……ねぇ?」
その言葉に、敦の背筋が凍りつく。
太宰はすぐにいつものふざけた表情に戻り、「さぁ、探偵社に戻って、美味しいお茶でも淹れてあげよう。敦くんの奢りでね!」と歩き出した。
あなたの背中を優しく押す太宰の横で、敦は「えっ、僕の奢りですか!?……でも、次は絶対に、指一本触れさせませんから……!」と、今度はより強い決意を瞳に宿して、●●の隣をぴったりとキープし直すのだった。
太宰さんが「お先に失礼、若い二人の邪魔はしない主義でね」と、ひらひらと手を振って路地へ消えていく。
残されたのは、街灯が灯り始めた静かな道。
「……あの、大丈夫? 手、まだ震えてる」
敦くんが、おずおずとあなたの顔を覗き込む。
さっきまでの「白虎」の猛々しさはどこへやら、今の彼は捨てられた子犬のような、心配げな表情を浮かべていた。
「ごめんね。僕がもっと早く気づいていれば……太宰さんに言われた通りだ。君に怖い思いをさせて、守りきれなかった」
彼は自分の不甲斐なさを噛みしめるように唇を噛む。
●●が「そんなことないよ、助けてくれて嬉しかった」と伝えると、敦くんの瞳に、ふっと熱い色が灯った。
「……ねえ、もう一度、手を繋いでもいい?」
彼が差し出した手は、先ほど男の手首を掴み上げた時とは正反対の、優しくて切実な震えを帯びていた。
●●がその手を握り返すと、彼は壊れ物を扱うように指を絡ませ、ぎゅっと力を込める。
「……さっき、太宰さんが言ったこと。……本気だから」
彼は立ち止まり、●●を自分の方へと引き寄せた。
至近距離で見つめる黄金色の瞳が、夕闇の中でわずかに潤んで見える。
「君を傷つけるものは、僕が全部、叩き潰す。……君だけは、何があっても僕が守り抜くから」
そう囁くと、彼は●●の指先にそっと唇を寄せた。
騎士(ナイト)のような、けれどどこか「自分だけのものだ」と印をつけるような、深くて甘い口づけ。
「……今日は、このまま君の家まで送らせて。……もっと、君の体温を感じていたいんだ」
顔を赤らめながらも、繋いだ手は絶対に離さない。
少しだけ強引で、でも最高に優しい。そんな敦くんの独占欲に包まれながら、二人の夜がゆっくりと更けていく。
「おはようございます……っ」
敦くんがあなたの隣で、心なしか緊張した面持ちで挨拶をする。繋いでいた手は、探偵社のビルの前で名残惜しそうに離したけれど、彼の指先はまだあなたの体温を覚えているようだった。
「おや、おはよう。二人揃っての出勤とは、仲が良いねぇ」
机に足を投げ出し、ヘッドホンを首にかけた太宰さんが、ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべてこちらを見ている。
「だ、太宰さん! 変な言い方しないでくださいよ!」
「おやおや、心当たりがあるのかい? 昨日の『白虎くん』は随分と勇ましかったからねぇ」
太宰さんの言葉に、敦くんの顔がみるみるうちに林檎のように赤くなる。
すると、その騒ぎを聞きつけたナオミさんが、兄様の腕に絡みつきながら割り込んできた。
「あら、何ですの? 敦さんと●●さん、何だか雰囲気が……昨日よりずっと『密』な感じですわね!」
「な、ナオミさんまで……!」
「ふふ、敦さん。顔に『僕の大切な人です』って書いてありますわよ」
与謝野先生までがコーヒーを片手に加わり、敦くんは完全に包囲網の中。
彼はタジタジになりながらも、チラリと●●の様子を伺う。
「……あの、皆さん! ●●さんを困らせないでください!」
敦くんは勇気を振り絞って、あなたの前に一歩踏み出し、背中で庇うように立ちふさがりました。
「昨日のことは……僕が、勝手に守りたいって思っただけですから。……茶化すなら、僕だけにしてください」
その言葉は少し震えていたけれど、声には確かな意志が宿っています。
それを見た太宰さんは「やれやれ、ご馳走様」と肩をすくめ、ナオミちゃんは「男前ですわ〜!」と拍手喝采。
「……大丈夫? 嫌じゃなかった?」
騒ぎが落ち着いた隙に、敦くんが小声であなたに囁いた。
その瞳は、周りのからかいなんてどうでもいいほど、まっすぐに●●だけを映していた。
「……今日は帰り道、誰にも邪魔されないところで、昨日の続き……ちゃんと言わせてください」
事務机の下で、彼は一瞬だけ、●●の小指に自分の指を絡めた。
探偵社の賑やかな日常の中で、二人だけの秘密の約束が、甘く静かに溶けていった。
「あーあ、敦くん。そんなに顔を真っ赤にして仕事をしていては、書類の文字まで燃えてしまいそうだねぇ」
太宰さんが大げさにため息をつきながら、ひらりと二人の間に割り込みました。
敦くんは「だ、太宰さん、仕事中ですよ!」と慌ててパソコンに向き直りますが、タイピングする指先がおぼつかないのは一目瞭然だ。
すると太宰さんは、二人の机にポン、と二枚のチケットを置いた。
「はい、これ。国木田くんから押し付けられた……いや、譲り受けた『特別任務』だ」
「任務……ですか? 遊園地の、ペアチケット……?」
敦くんが首を傾げると、太宰さんは悪戯っぽく片目を瞑る。
「そう。最近その界隈で『幸せそうなカップル』を狙う不届きな輩が出るという噂があってね。……君たち二人で、囮になって調査してきなよ。今すぐ!」
「ええっ!? 今すぐですか? でもまだ報告書が……」
「それは私が適当に……いや、完璧に片付けておくよ。さぁ、行き給え! これは社主の……というか、私の命令だ」
太宰さんは有無を言わせぬ勢いで、二人の背中をぐいぐいと出口の方へ押し出す。
ナオミさんが「あら、太宰さん、粋なことをしますわね!」とはしゃぎ、与謝野先生も「たまには羽を伸ばしてきな、敦」と不敵に笑って送り出してくれた。
結局、半分追い出されるようにしてやってきた夕暮れの遊園地。
「調査」という名目ですが、どこからどう見ても、それはただのデートだった。
アトラクションを巡り、少し落ち着いた頃。
二人はゆっくりと回る観覧車の中にいた。
「……太宰さん、あんなこと言ってたけど。本当は、僕たちのこと気遣ってくれたんですよね」
敦くんが窓の外を見つめながら、ぽつりと呟いた。
街の灯りがキラキラと彼の瞳に反射している。
「昨日、君を怖い目に遭わせちゃったから……。僕がずっと、君の隣で暗い顔をしてたから、元気づけようとしてくれたんだと思います」
彼はふっと笑うと、向かい合わせに座っていたあなたの隣に、少しだけ距離を詰めて座り直した。
「……でも、太宰さんに感謝しなきゃ。おかげで、二人きりになれたから」
観覧車が一番高いところに差し掛かった時。
敦くんは、あなたの手を昨日よりもずっと優しく、でも力強く包み込んだ。
「僕、もっと強くなるよ。君が隣で、ずっと笑っていられるくらいに。……だから、これからも僕のそばにいてくれますか?」
黄金色の瞳に宿る熱い決意。
太宰さんの粋な計らいは、二人の距離を昨日よりもずっと深く、確かなものに変えてくれたようだ。
「……ねぇ、もう一周、乗ってもいいかな? まだ、離したくないんだ」
照れくさそうに笑う敦くん。
探偵社に戻れば、きっと太宰さんに「どうだった? 任務の成果は?」と散々からかわれるでしょう。
でも、今の二人にとっては、そんな賑やかな日常も、この静かな時間も、すべてがかけがえのない宝物なのだった。
つまり、**「あなたが痴漢に遭っているところに、敦くんが助けに来てくれる」**というシチュエーションですね。
仕事帰りの満員電車。あなたは逃げ場のない人混みの中で、背後に感じる異質な感触に凍りついていた。
何度も執拗に、服の上から這い回る指。
(やめて……誰か……)
恐怖で声が出ない。周囲は無関心な乗客ばかり。
そんな絶望に沈みかけた時、不自然なほど近くに「彼」が滑り込んできた。
「——そこまでですよ」
聞き慣れた、けれど今まで聞いたことがないほど冷え切った声。
敦が、あなたの背後に無理やり割り込み、●●の腰をまさぐっていた男の手首を、万力のような力で掴み取った。
「な、なんだお前は! 邪魔するな……っ!?」
男の怒鳴り声が、敦の視線に触れた瞬間に消えた。
敦の瞳が、獣のように黄金色に光っている。その眼光は、獲物を仕留める直前の猛獣そのものだった。
「……僕の、大切な人に触ったんです。タダで済むと思わないでください」
敦の瞳が獣の黄金色に輝き、犯人の男を射抜く。男は悲鳴を上げて逃げ出し、車内に静寂が戻った。
敦は肩を震わせながら、あなたの肩を抱き寄せた。
「……怖かったよね。ごめん、もっと早く気づけば……」
心底申し訳なさそうに眉を下げ、あなたの顔を覗き込む敦。その指先が、まだ少しだけ白虎の鋭さを残したまま、あなたの頬に触れようとした、その時。
「おやおや、敦くん。随分と物騒な顔をしているじゃないか」
聞き慣れた、ひょうひょうとした声。
いつの間にか背後に立っていたのは、砂色のコートをなびかせた太宰治だった。
「だ、太宰さん!? どうしてここに……」
「たまたま通りかかってね。……いや、君たちの『熱い視線』が電車を突き抜けて聞こえてきたと言った方が正しいかな?」
太宰は口角を上げると、敦が●●を抱きしめていた腕を、ひょいと軽く叩いて解かせた。
そして、●●の前にすっと入り込み、あえて敦を遮るようにしての●●手を取る。
「災難だったね。こんなに綺麗な手を震わせて……。敦くん、君が守りきれなかったせいで、彼女の心が傷ついてしまったじゃないか」
「うっ……す、すみません……」
太宰の言葉に、敦が目に見えて落ち込み、耳を垂らした犬のようにシュンとする。
けれど、太宰の瞳は笑っていなかった。彼は●●の手を取り、指先にそっと触れながら、敦にだけ聞こえる低い声で告げる。
「……次は『威嚇』だけで済ませるのかい? 敦くん。君の大切なものを奪おうとする者は、もっと徹底的に叩き潰さないと。……ねぇ?」
その言葉に、敦の背筋が凍りつく。
太宰はすぐにいつものふざけた表情に戻り、「さぁ、探偵社に戻って、美味しいお茶でも淹れてあげよう。敦くんの奢りでね!」と歩き出した。
あなたの背中を優しく押す太宰の横で、敦は「えっ、僕の奢りですか!?……でも、次は絶対に、指一本触れさせませんから……!」と、今度はより強い決意を瞳に宿して、●●の隣をぴったりとキープし直すのだった。
太宰さんが「お先に失礼、若い二人の邪魔はしない主義でね」と、ひらひらと手を振って路地へ消えていく。
残されたのは、街灯が灯り始めた静かな道。
「……あの、大丈夫? 手、まだ震えてる」
敦くんが、おずおずとあなたの顔を覗き込む。
さっきまでの「白虎」の猛々しさはどこへやら、今の彼は捨てられた子犬のような、心配げな表情を浮かべていた。
「ごめんね。僕がもっと早く気づいていれば……太宰さんに言われた通りだ。君に怖い思いをさせて、守りきれなかった」
彼は自分の不甲斐なさを噛みしめるように唇を噛む。
●●が「そんなことないよ、助けてくれて嬉しかった」と伝えると、敦くんの瞳に、ふっと熱い色が灯った。
「……ねえ、もう一度、手を繋いでもいい?」
彼が差し出した手は、先ほど男の手首を掴み上げた時とは正反対の、優しくて切実な震えを帯びていた。
●●がその手を握り返すと、彼は壊れ物を扱うように指を絡ませ、ぎゅっと力を込める。
「……さっき、太宰さんが言ったこと。……本気だから」
彼は立ち止まり、●●を自分の方へと引き寄せた。
至近距離で見つめる黄金色の瞳が、夕闇の中でわずかに潤んで見える。
「君を傷つけるものは、僕が全部、叩き潰す。……君だけは、何があっても僕が守り抜くから」
そう囁くと、彼は●●の指先にそっと唇を寄せた。
騎士(ナイト)のような、けれどどこか「自分だけのものだ」と印をつけるような、深くて甘い口づけ。
「……今日は、このまま君の家まで送らせて。……もっと、君の体温を感じていたいんだ」
顔を赤らめながらも、繋いだ手は絶対に離さない。
少しだけ強引で、でも最高に優しい。そんな敦くんの独占欲に包まれながら、二人の夜がゆっくりと更けていく。
「おはようございます……っ」
敦くんがあなたの隣で、心なしか緊張した面持ちで挨拶をする。繋いでいた手は、探偵社のビルの前で名残惜しそうに離したけれど、彼の指先はまだあなたの体温を覚えているようだった。
「おや、おはよう。二人揃っての出勤とは、仲が良いねぇ」
机に足を投げ出し、ヘッドホンを首にかけた太宰さんが、ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべてこちらを見ている。
「だ、太宰さん! 変な言い方しないでくださいよ!」
「おやおや、心当たりがあるのかい? 昨日の『白虎くん』は随分と勇ましかったからねぇ」
太宰さんの言葉に、敦くんの顔がみるみるうちに林檎のように赤くなる。
すると、その騒ぎを聞きつけたナオミさんが、兄様の腕に絡みつきながら割り込んできた。
「あら、何ですの? 敦さんと●●さん、何だか雰囲気が……昨日よりずっと『密』な感じですわね!」
「な、ナオミさんまで……!」
「ふふ、敦さん。顔に『僕の大切な人です』って書いてありますわよ」
与謝野先生までがコーヒーを片手に加わり、敦くんは完全に包囲網の中。
彼はタジタジになりながらも、チラリと●●の様子を伺う。
「……あの、皆さん! ●●さんを困らせないでください!」
敦くんは勇気を振り絞って、あなたの前に一歩踏み出し、背中で庇うように立ちふさがりました。
「昨日のことは……僕が、勝手に守りたいって思っただけですから。……茶化すなら、僕だけにしてください」
その言葉は少し震えていたけれど、声には確かな意志が宿っています。
それを見た太宰さんは「やれやれ、ご馳走様」と肩をすくめ、ナオミちゃんは「男前ですわ〜!」と拍手喝采。
「……大丈夫? 嫌じゃなかった?」
騒ぎが落ち着いた隙に、敦くんが小声であなたに囁いた。
その瞳は、周りのからかいなんてどうでもいいほど、まっすぐに●●だけを映していた。
「……今日は帰り道、誰にも邪魔されないところで、昨日の続き……ちゃんと言わせてください」
事務机の下で、彼は一瞬だけ、●●の小指に自分の指を絡めた。
探偵社の賑やかな日常の中で、二人だけの秘密の約束が、甘く静かに溶けていった。
「あーあ、敦くん。そんなに顔を真っ赤にして仕事をしていては、書類の文字まで燃えてしまいそうだねぇ」
太宰さんが大げさにため息をつきながら、ひらりと二人の間に割り込みました。
敦くんは「だ、太宰さん、仕事中ですよ!」と慌ててパソコンに向き直りますが、タイピングする指先がおぼつかないのは一目瞭然だ。
すると太宰さんは、二人の机にポン、と二枚のチケットを置いた。
「はい、これ。国木田くんから押し付けられた……いや、譲り受けた『特別任務』だ」
「任務……ですか? 遊園地の、ペアチケット……?」
敦くんが首を傾げると、太宰さんは悪戯っぽく片目を瞑る。
「そう。最近その界隈で『幸せそうなカップル』を狙う不届きな輩が出るという噂があってね。……君たち二人で、囮になって調査してきなよ。今すぐ!」
「ええっ!? 今すぐですか? でもまだ報告書が……」
「それは私が適当に……いや、完璧に片付けておくよ。さぁ、行き給え! これは社主の……というか、私の命令だ」
太宰さんは有無を言わせぬ勢いで、二人の背中をぐいぐいと出口の方へ押し出す。
ナオミさんが「あら、太宰さん、粋なことをしますわね!」とはしゃぎ、与謝野先生も「たまには羽を伸ばしてきな、敦」と不敵に笑って送り出してくれた。
結局、半分追い出されるようにしてやってきた夕暮れの遊園地。
「調査」という名目ですが、どこからどう見ても、それはただのデートだった。
アトラクションを巡り、少し落ち着いた頃。
二人はゆっくりと回る観覧車の中にいた。
「……太宰さん、あんなこと言ってたけど。本当は、僕たちのこと気遣ってくれたんですよね」
敦くんが窓の外を見つめながら、ぽつりと呟いた。
街の灯りがキラキラと彼の瞳に反射している。
「昨日、君を怖い目に遭わせちゃったから……。僕がずっと、君の隣で暗い顔をしてたから、元気づけようとしてくれたんだと思います」
彼はふっと笑うと、向かい合わせに座っていたあなたの隣に、少しだけ距離を詰めて座り直した。
「……でも、太宰さんに感謝しなきゃ。おかげで、二人きりになれたから」
観覧車が一番高いところに差し掛かった時。
敦くんは、あなたの手を昨日よりもずっと優しく、でも力強く包み込んだ。
「僕、もっと強くなるよ。君が隣で、ずっと笑っていられるくらいに。……だから、これからも僕のそばにいてくれますか?」
黄金色の瞳に宿る熱い決意。
太宰さんの粋な計らいは、二人の距離を昨日よりもずっと深く、確かなものに変えてくれたようだ。
「……ねぇ、もう一周、乗ってもいいかな? まだ、離したくないんだ」
照れくさそうに笑う敦くん。
探偵社に戻れば、きっと太宰さんに「どうだった? 任務の成果は?」と散々からかわれるでしょう。
でも、今の二人にとっては、そんな賑やかな日常も、この静かな時間も、すべてがかけがえのない宝物なのだった。
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