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【大型参加型】何でも屋Absolute Vanta残り7枠

#36

零とネム

薄暗い廊下を、物音ひとつ立てずに進む小さな影があった。
長いダークグレーの髪を揺らし、パジャマ姿のネムは、目的の部屋の前で足を止める。

時刻は午前2時。
いつもなら誰もが深く眠りについている時間だ。ネムは小さく息を吐き、幼い、どこかふわふわとした作られた声で、目の前の重厚な扉をノックした。

ネム「……れーさん。おきて、れーさん」

返事はない。ネムは躊躇うことなく、ゆっくりとドアノブを回した。鍵はかかっていない。
部屋の中に入ると、大きなベッドに規格外の巨体が横たわっていた。零は、普段の漆黒のロングコートを脱ぎ捨て、珍しく髪の三つ編みもほどいた状態で眠っている。

ネムはベッドの脇に近づき、布団の上から零の肩をぽんぽんと叩いた。

ネム「れーさん。あさだよ。うそ、よるだよ……。おきて」
零「……んぅ? ああ、ネムちゃん……?」

長い睫毛が震え、群青色の片目が薄すらと開く。零は大きな身体をのそりと起こすと、寝起きの少し掠れた声で、いつもの優しい笑みを浮かべた。

零「どうしたの、こんな夜中に。怖い夢でも見ちゃった?」
ネム「ちがう。……おなかすいた。クリームソーダ、のみたい。……深夜のコンビニ、いきたい」

じっとハイライトのない水色のタレ目で見つめられ、零は「あはは」と小さく笑った。

零「そっかそっか。ネムちゃん、僕が一緒に行ってあげる。ちょっと待っててね」

面倒くさがりな彼だったが、大切な「家族」の頼み、それもこんな可愛らしいおねだりを断るはずがなかった。零はベッドから出ると、適当な上着を羽織り、乱れた茶髪をパパッと手櫛で整える。

零「お待たせ。じゃあ、行こうか」

零の大きな手が、ネムの小さな頭を優しく撫でる。
その瞬間、ネムの肩からすっと余計な力が抜けた。零は、ネムが「作られた可愛い声」で喋っていても、それを面白がったり、逆に無理に詮索したりしない。何より、普段はサイコパスな一面を持つ彼だが、今はとても穏やかで、ネムが嫌う「うるさい感情」を押し付けてこない。

(……落ち着く)

ネムは小さく息を漏らし、零の服の裾をぎゅっと掴んだ。

静まり返った深夜の街を、二人は並んで歩く。
2メートルある零と、160センチのネムの身長差は凄まじく、遠目から見れば完全に兄妹、あるいは親子だ。

時折、遠くで車の走る音が聞こえるだけで、周囲はネムの好きな静寂に包まれている。

零「ネムちゃん、寒くない? 僕のコート、貸そうか?」
ネム「だいじょうぶ。あたし、もともと体温ひくいから」
零「そっか。あ、見てネムちゃん、コンビニの明かりが見えてきたよ」

暗闇の中に浮かび上がるコンビニの白い光。ネムは少しだけ足取りを速めた。
自動ドアが開き、涼しい店内に入る。深夜のコンビニ独特の静けさと、独特の匂い。ネムはさっそく、お目当てのドリンクコーナーへと向かった。

零はその後ろを、のんびりとついていく。

ネム「あ、これ。メロンクリームソーダ……」

ネムが嬉しそうに缶を手に取る。ハイライトのない瞳が、ほんの少しだけ輝いたように見えた。

零「いいねぇ。あ、僕はこれにしようかな。新作の特大プリン!」

零は楽しそうにスイーツコーナーから甘いものをカゴに入れていく。その様子を、ネムは静かに見上げていた。
首領である零は、仲間を「家族」と呼び、怪我をすればその痛みを自分の身体に引き受けてしまうような人だ。執行人として数々の死体を見てきたネムにとって、零のその「歪んだ優しさ」は、危うくて、どこか放っておけないものだった。

ネム「……れーさん」
零「ん? なあに?」
ネム「……勝手に、死んじゃだめだよ」

ぽつりと、ネムは呟いた。

ネム「みんな、れーさんのこと、心配してる。あたしも……泣く人が増えるのは、好きじゃないから」

それは、いつもの作られた幼い声ではあったけれど、ネムの本心だった。
零は一瞬だけ群青色の目を丸くしたが、すぐにいつもの、全てを包み込むような笑顔に戻った。

零「ありがとう、ネムちゃん。大丈夫だよ、僕が糸を引いている限り、誰も死なせないし、僕も死なない。みんなでずーっと、美味しいものを食べて笑い合うんだから。ねぇ、約束だよ?」

零はしゃがみ込み、ネムと目線を合わせると、そっと彼女の頬についた小さな髪の毛を払ってやった。

ネム「よし、お会計しちゃおうか。あ、ネムちゃん、他にも欲しいものあったら何でも言ってね? 遠慮はいらないよ」
零「ううん、これだけでいい。……ありがと、れーさん」

会計を済ませ、二人はまた静かな夜道を歩き始める。
ネムは缶のクリームソーダを大切そうに抱え、零は買ってもらったばかりのプリンの袋を揺らしている。

ネム「ねぇ、れーさん」
零「なーに?」
ネム「……かえったら、少しだけ、撫でてくれない?」

無理に声を偽る必要のない、静かな隣人に向けて、ネムは小さく甘えるように言った。
零は嬉しそうに微笑み、再び大きな手でネムの頭をポンポンと叩く。

零「もちろん。部屋に戻ったら、ネムちゃんが眠くなるまで、いくらでも撫でてあげるよ」

「子供の顔した死神」と「糸を操るサイコパスな首領」。
世間から見れば恐ろしいはずの二人の影は、深夜の街灯の下で、どこまでも穏やかに重なっていた。

作者メッセージ

何文字やと思います?
正解は2100文字です。
2000文字のやつ書いたんですけどAIに色々修正してもらってます。

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