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文スト短編集

#43

落下 太宰

薄暗い廃倉庫に、火薬の匂いと重苦しい沈黙が立ち込めていた。
武装探偵社の調査任務。太宰と●●は、組織の残党を追い詰めていたが、窮地に陥った敵は「自爆」という最悪の選択肢を選んだ。

崩落する天井。そして、爆炎の中から飛び出した最後の一人が、毒を塗った凶刃を手に●●へと肉薄する。

太宰「危ない!」

太宰の思考は、その瞬間、一秒を千に刻んだ。
彼は即座に足を動かした。いつもは飄々と死を口にする彼が、喉を焼くような必死さで●●の前に割り込もうとする。

間に合え……!


太宰の指先が、●●の服の裾に触れた。
引き寄せようとしたその刹那、逆に強い力が太宰の胸を押し返した。

●●は、自分を庇おうとした太宰の「命」を優先したのだ。

太宰「……っ、よせ!!」

太宰の叫びも虚しく、銀光が●●の胸元を深く貫いた。
鮮血が舞い、太宰の白いシャツと砂色のコートを赤く汚していく。

崩れ落ちる●●を、太宰は膝をついて抱きとめた。
傷は深く、毒はすでにその鼓動を蝕み始めている。

太宰「……あぁ、なんてことだ。君は……君まで、私を置いていくのか」

太宰の声は震えていた。かつての友を失ったあの日と同じ、空っぽで、痛いくらいに切実な拒絶。

●●は、震える手で太宰の腕を弱々しく掴んだ。
次第に光を失っていく瞳で、それでも確かに太宰を見つめ、最期の力を振り絞って微笑む。

●●「……太宰さん。あなたは……光の中に、いてください……」

掴んでいた手が、力なく地面に落ちた。
●●の身体から、急速に生温かい体温が失われていく。

太宰「…………」

太宰は何も答えず、ただ動かなくなった●●の額に自分の額を預けた。
「人を救う側」になれば、もう誰も失わずに済むのではないか。そんな淡い期待は、冷たくなった●●の重みによって無残に打ち砕かれた。

外では、何も知らない入道雲が青空に高く聳えている。
太宰治は、静まり返った倉庫の中で、ただ独り、光を失った瞳を閉じた。

作者メッセージ

最近あんまり投稿できてへんくてすんません!

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