『忘れられるはずだったモノ』
僕は、この世の誰にも覚えられていないモノ、すなわち
『忘れられたモノ』を見送る仕事をしている。
この仕事は忘れられるはずのモノを見送るため、
そのモノを覚えてはならない。
覚えてはならないのだ。
今まで誰が来たのかも覚えていない。
「あの、」
早速、人が来た。
「ここはどこですか。」
「ここは、、どこだろうね、名前もつけられていないところだよ。」
「ぼくはこれからどうしたらいいんですか。」
「君は今からーーーへ行ってもらうよ。」
「、、、、?なんて仰いましたか。」
質問に答えてあげたいが、規則違反だから答えられない。
規則違反をしたら、ーーーへ送られてしまう。
そんなの最悪だ。
「、、、、ーーーは、誰からも覚えられていないモノが行くところさ。」
「、、、、、、、、そうですか。」
「では、こちらへ。」
マニュアル通りな回答。これでいいのだ。
「あのっ!あなたは、ぼくのことを覚えていてくれますかっ?」
「それは、、、、ええ、もちろん。さあ、着きましたよ。このドアから出ればそこは何もない、あなたの居場所です。」
「そうですか。ぼくにも居場所ができたんですね。」
「、、、、そうですね」
「では、行ってきます。」
「ええ、行ってらっしゃい。」
「ぼくのこと、ぜーったいに覚えていてくださいね!」
ガチャ
、、、なぜ、覚えなくてはならないのだ。
そんなこと覚えたくない。
あんなところもう二度と行きたくない。
、、、、次のモノがやってきたようだ。
会話が頭に入ってこない。
いつもなら、もう前のモノを忘れているはずだ。
なのに、なんで。
あの子だけは、忘れられない。
あんなこと言うモノは、初めてだったからだろうか。
わからない。
いつもは覚えていないんだもの。
会話が頭に入ってこない。
マニュアルは口が覚えているから言葉は出る。
でも、会話している感覚がない。
ずっとあの子しか頭にない。
「、、、、では、行ってらっしゃい」
今日の業務、終わりか。
はやく家に戻って晩御飯を——・・・
なんで、あのドアがここにあるの、、?
僕はまだ、誰かに覚えられているはずなのに。
——そうか、僕はまだあの子を覚えているのか。
それは規約違反だ。
僕も反省しないな、、。
同じ過ちを繰り返すなんて。
あーあ、なんで今更思い出してんだよ、僕。
みんなみんな、覚えられなくなって、挙句にはあんなところまで行かされて、
ざわざわ
、、、、?人の声、?
ここには、誰もいないはずじゃ、、
ドアから、人、、、?
なんで、、、、?
ああ、あぁ、そっか。みんなはもう誰かに覚えられているんだね。
いいなあ。僕もここでみんなと、ずっと一緒にいたかったなあ。
僕は行かなくちゃ。
「ねぇねぇ、さっきは覚えてくれてありがとうね!」
「うん!私からもありがとう!」
「さっきまでこわかったんだあ、、」
「でも、君が覚えていてくれたからここにこれた」
「本当にありがとうね!」
みんな、優しいなあ。
「どういたしまして。じゃあね、行ってくる。」
「向こうに行くの?」
「一人で大丈夫?」
「、、、、すぐ戻ってくるよ。」
「そう!なら僕たちがその間、覚えていてあげるね!」
「うんうん、あの子の言うとおりだよ!」
「覚えていたら僕たち一人じゃないからね!」
それでも、覚えられていても、行かなくちゃいけないのかな、
「、、、そう。ありがとう。じゃあね。」
がちゃ
「ここは、ーーーか。」
「とても、暗くて、静かで、何もなくて、とても、とても、怖いなあ。」
「僕も、みんなのこと、ずーっと、、永遠に、覚えているからね」
「変な感じだな、」
“ーーー”は、空っぽのはずなのに、そこにはみんながいる気がした。
『忘れられたモノ』を見送る仕事をしている。
この仕事は忘れられるはずのモノを見送るため、
そのモノを覚えてはならない。
覚えてはならないのだ。
今まで誰が来たのかも覚えていない。
「あの、」
早速、人が来た。
「ここはどこですか。」
「ここは、、どこだろうね、名前もつけられていないところだよ。」
「ぼくはこれからどうしたらいいんですか。」
「君は今からーーーへ行ってもらうよ。」
「、、、、?なんて仰いましたか。」
質問に答えてあげたいが、規則違反だから答えられない。
規則違反をしたら、ーーーへ送られてしまう。
そんなの最悪だ。
「、、、、ーーーは、誰からも覚えられていないモノが行くところさ。」
「、、、、、、、、そうですか。」
「では、こちらへ。」
マニュアル通りな回答。これでいいのだ。
「あのっ!あなたは、ぼくのことを覚えていてくれますかっ?」
「それは、、、、ええ、もちろん。さあ、着きましたよ。このドアから出ればそこは何もない、あなたの居場所です。」
「そうですか。ぼくにも居場所ができたんですね。」
「、、、、そうですね」
「では、行ってきます。」
「ええ、行ってらっしゃい。」
「ぼくのこと、ぜーったいに覚えていてくださいね!」
ガチャ
、、、なぜ、覚えなくてはならないのだ。
そんなこと覚えたくない。
あんなところもう二度と行きたくない。
、、、、次のモノがやってきたようだ。
会話が頭に入ってこない。
いつもなら、もう前のモノを忘れているはずだ。
なのに、なんで。
あの子だけは、忘れられない。
あんなこと言うモノは、初めてだったからだろうか。
わからない。
いつもは覚えていないんだもの。
会話が頭に入ってこない。
マニュアルは口が覚えているから言葉は出る。
でも、会話している感覚がない。
ずっとあの子しか頭にない。
「、、、、では、行ってらっしゃい」
今日の業務、終わりか。
はやく家に戻って晩御飯を——・・・
なんで、あのドアがここにあるの、、?
僕はまだ、誰かに覚えられているはずなのに。
——そうか、僕はまだあの子を覚えているのか。
それは規約違反だ。
僕も反省しないな、、。
同じ過ちを繰り返すなんて。
あーあ、なんで今更思い出してんだよ、僕。
みんなみんな、覚えられなくなって、挙句にはあんなところまで行かされて、
ざわざわ
、、、、?人の声、?
ここには、誰もいないはずじゃ、、
ドアから、人、、、?
なんで、、、、?
ああ、あぁ、そっか。みんなはもう誰かに覚えられているんだね。
いいなあ。僕もここでみんなと、ずっと一緒にいたかったなあ。
僕は行かなくちゃ。
「ねぇねぇ、さっきは覚えてくれてありがとうね!」
「うん!私からもありがとう!」
「さっきまでこわかったんだあ、、」
「でも、君が覚えていてくれたからここにこれた」
「本当にありがとうね!」
みんな、優しいなあ。
「どういたしまして。じゃあね、行ってくる。」
「向こうに行くの?」
「一人で大丈夫?」
「、、、、すぐ戻ってくるよ。」
「そう!なら僕たちがその間、覚えていてあげるね!」
「うんうん、あの子の言うとおりだよ!」
「覚えていたら僕たち一人じゃないからね!」
それでも、覚えられていても、行かなくちゃいけないのかな、
「、、、そう。ありがとう。じゃあね。」
がちゃ
「ここは、ーーーか。」
「とても、暗くて、静かで、何もなくて、とても、とても、怖いなあ。」
「僕も、みんなのこと、ずーっと、、永遠に、覚えているからね」
「変な感じだな、」
“ーーー”は、空っぽのはずなのに、そこにはみんながいる気がした。
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