文字サイズ変更

『名を呼ぶな、夜が来る』

#5

五話 『夜との対話』

 闇の中で、声がした。

 姿はない。
 境目だけが、揺れている。

『名を知ったな』

 低く、静かな声。

 私は答えなかった。
 答えなくても、声は続けた。

『名を持つ者は、あちら側だ』

 怒りも、優しさもなかった。
 事実を述べる声だった。

『おまえは、長く逃げた』

 逃げていたのかもしれない。
 選ばずに、立ち止まっていただけかもしれない。

『どうする』

 選択肢は、言われなくてもわかっていた。

 名を呼ばせれば、夜に行く。
 名を捨てれば、また境に戻る。
 あるいは——

 私は一歩、夜に近づいた。

『おまえがこちら側にも、あちら側にも属さぬ者になることは』

 声が、少しだけ間を置いた。

『——できる』

 それだけだった。

作者メッセージ

読んでくれてありがとうございます!
次で最終回です!

2026/01/03 23:27

わたあめのべとべと
ID:≫ 8i2mOjc170zx2
コメント

この小説につけられたタグ

和風因習シリアス

通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

どういった部分が元作品と類似しているかを具体的に記入して下さい。

※できるだけ具体的に記入してください。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
タイトル
URL

この小説の著作権はわたあめのべとべとさんに帰属します

TOP