美羽が転校してきてから数日だったある日のこと。
クラスの人々は美羽を物珍しい目で見ていて、なんとなく避けられていた。
今日からその1人を覗いて。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
特Aクラスの廊下。
美羽が次の授業の教科書を持って歩いていると、ふわっと
フローラルなシャンプーの香りが漂った。
腰まで伸びたツヤツヤのサラサラ黒髪ロングに、吸い込まれそうな大きな栗色の瞳。
「可愛い」というより「美しい」という言葉が実体化したような女子が、美羽の目の前でぴたりと足を止めた。
「……あなたが成宮美羽さんね?」
凛とした、透明感のある澄んだ声。
美羽は思わず背筋を伸ばした。
「え、あ、はい! 成宮美羽です」
「私は[漢字]渡瀬 有愛[/漢字][ふりがな]わたせ ありあ[/ふりがな]。……一言、あなたに忠告しに来たの」
有愛は美羽をじっと見つめプライドの高さが伺える美しい眉をひそめた。
「あなた、咲城蒼空の婚約者なんですってね」
「 今すぐあの男と婚約破棄することをお勧めする」
「えっ……!?」
唐突すぎる「婚約破棄のススメ」に、美羽は目を丸くした。
有愛は腕を組み、不機嫌そうに言葉を続ける。
「咲城家と我が家はビジネス上の取引があるから、あまり言ってはいけないのだけれど…」
「あいつの性根の腐りようは嫌というほど知っているの。顔と要領がいいだけで、中身はテキトーで最悪な男なの…!」
有愛はぐっと拳を握り、キリッとした目で
「あなたみたいな真面目そうな子が、あんな男に騙されて人生を狂わされるなんて見たくないの…!」
「あ、あの……渡瀬さん? 蒼空くんのこと、すごく嫌いなんですね……?」
「嫌いなんてレベルじゃない。存在自体なくなって欲しい!」
有愛はプイッと横を向いた。
プライドが高くてツンとしているけれど、美羽を本気で心配してくれている優しさが、その瞳の奥から滲み出ている。
(……あ、この人、言い方はキツイけど……根はすごく良い人だ!)
美羽がフフッと笑ってしまうと、有愛は頬をほんのり赤くして怒った。
「な、何笑ってんの! 私は真剣に……」
「ううん、ありがとう、渡瀬さん。でもね、蒼空くん……確かにちょーっとクズだし、テキトーだけど……案外、良いところもあるんだよ?」
「……はぁ? どこがよ。あいつのどこにそんな要素があるっていうのよ!」
「お、なんだ。俺の悪口で盛り上がってんの?」
「げ……出たわね咲城蒼空!!!」
有愛はビシッと蒼空に、向けて指をさした。
クラスの人々は美羽を物珍しい目で見ていて、なんとなく避けられていた。
今日からその1人を覗いて。
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特Aクラスの廊下。
美羽が次の授業の教科書を持って歩いていると、ふわっと
フローラルなシャンプーの香りが漂った。
腰まで伸びたツヤツヤのサラサラ黒髪ロングに、吸い込まれそうな大きな栗色の瞳。
「可愛い」というより「美しい」という言葉が実体化したような女子が、美羽の目の前でぴたりと足を止めた。
「……あなたが成宮美羽さんね?」
凛とした、透明感のある澄んだ声。
美羽は思わず背筋を伸ばした。
「え、あ、はい! 成宮美羽です」
「私は[漢字]渡瀬 有愛[/漢字][ふりがな]わたせ ありあ[/ふりがな]。……一言、あなたに忠告しに来たの」
有愛は美羽をじっと見つめプライドの高さが伺える美しい眉をひそめた。
「あなた、咲城蒼空の婚約者なんですってね」
「 今すぐあの男と婚約破棄することをお勧めする」
「えっ……!?」
唐突すぎる「婚約破棄のススメ」に、美羽は目を丸くした。
有愛は腕を組み、不機嫌そうに言葉を続ける。
「咲城家と我が家はビジネス上の取引があるから、あまり言ってはいけないのだけれど…」
「あいつの性根の腐りようは嫌というほど知っているの。顔と要領がいいだけで、中身はテキトーで最悪な男なの…!」
有愛はぐっと拳を握り、キリッとした目で
「あなたみたいな真面目そうな子が、あんな男に騙されて人生を狂わされるなんて見たくないの…!」
「あ、あの……渡瀬さん? 蒼空くんのこと、すごく嫌いなんですね……?」
「嫌いなんてレベルじゃない。存在自体なくなって欲しい!」
有愛はプイッと横を向いた。
プライドが高くてツンとしているけれど、美羽を本気で心配してくれている優しさが、その瞳の奥から滲み出ている。
(……あ、この人、言い方はキツイけど……根はすごく良い人だ!)
美羽がフフッと笑ってしまうと、有愛は頬をほんのり赤くして怒った。
「な、何笑ってんの! 私は真剣に……」
「ううん、ありがとう、渡瀬さん。でもね、蒼空くん……確かにちょーっとクズだし、テキトーだけど……案外、良いところもあるんだよ?」
「……はぁ? どこがよ。あいつのどこにそんな要素があるっていうのよ!」
「お、なんだ。俺の悪口で盛り上がってんの?」
「げ……出たわね咲城蒼空!!!」
有愛はビシッと蒼空に、向けて指をさした。