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星 と 羽 ໒꒱ 𓏸*˚

#4

破天荒生

案内してもらってから、数日後。美羽は正式に皇学園に転校した。

─────────────────────────



重厚な扉が、ゆっくりと開く。


担任の教師に促され、美羽は深呼吸をして教室へと足を踏み入れた。


​その瞬間、数十人分の視線が突き刺さる。


そこに並ぶのは、誰もが知る企業の令嬢、代々続く名家の跡取り、そして芸能活動をしているような少年少女たち。


漂ってくるのは、高価な香水と「余裕」の匂いだった。


​(……大丈夫。バイトの面接だと思えばなんてことない。笑顔、笑顔!)




​美羽は背筋をピンと伸ばし、黒板の前に立った。

[大文字]
​「春川高校から転校してきました、成宮美羽です」
[/大文字]


​その声は、意外なほど凛として教室に響いた。



途端、教室のあちこちから、ひそひそとした私語が漏れ聞こえてくる。



​「春川……? どこそれ、公立校?」
「特待生って噂よ。でも、あんな普通の……」
「ねえ、彼女が蒼空様の……」



​美羽はそれらの視線を真っ向から受け止める。



​「前の学校では、[大文字]バイトを5つ掛け持ち[/大文字]しながら学年1位を守っていました。こちらでも、皆さんに負けないように努力します。よろしくお願いします!」



​「……バイト、5つ?」
「学年1位……?」



​どよめきが広がる。この学園で「バイト」なんて言葉が出るのは、きっと創立以来初めてのことだった。



教室の最奥、窓際の席で、蒼空が退屈そうに肘をつきながら、口角をわずかに上げた。


​(あいつ、マジで言ったよ。……バイト5つなんて、ここじゃ宇宙語だろ)



​蒼空は、わずかに拳を握りしめている美羽の姿を、じっと冷たい目で見ていた。


すると、一人の男子生徒がニヤニヤしながら手を挙げる。


​「成宮さーん質問。バイト5つって、そんなに家が貧乏なの? 咲城くんの婚約者なら、そんなことしなくていいのにね」



​教室に失礼な笑いが広がる。美羽の眉がピクリと動いた。


言い返そうとした瞬間、それよりも早く、椅子がガタンと鳴る音が響いた。


​「おい、そこまでにしておけよ」


​蒼空が、静かに、けれど有無を言わさない威圧感を纏って立ち上がった。


騒ついていた教室が、一瞬で静まり返る。



​「彼女は俺の婚約者。……それと、お前らが親の金で遊んでる間に、自分の力で生きてるやつのほうが、よっぽどかっこいいと思わない?」



​蒼空は美羽の方へ歩み寄り、美羽の肩にポンと手を置いた。


美羽は驚いて蒼空を見上げる。


​「蒼空くん……」

​「……何、アホ面してんの。ほら、お前の席は俺の隣。成宮美羽」



​蒼空は美羽にだけ見える角度で、いたずらっぽく片目を瞑ってみせた。


[小文字]「アホ面はいらない…!」[/小文字]



美羽は小声で怒りつつも、その影の優しさに、少しだけ胸の奥が暖かくなった。

作者メッセージ

美羽ちゃんすごくないか…?


前回の投稿から1ヶ月ほど空いてしまってすみません!!

2026/03/27 18:05

ゆぅり
ID:≫ 6iv2mqA2kvwoA
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