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大姫鎌倉日記

#8

福始

「待ってください母上、婿殿ってどういうこと?」
「あら父上から聞いてないの?」
(初耳ですが!)
幡姫は衝撃を受けた。話は少し前に遡る。
・・・
「政子よ、義高を幡姫の[漢字]許婚[/漢字][ふりがな]いいなずけ[/ふりがな]にするで良いか?」
「ええ、聡明な方と聞きましたし、祝言(結婚式)を行った暁には頼朝様のお役に立ちましょう」
許婚とは婚約者のこと。
実は義高は名目上では「幡姫の婿」ということで鎌倉にやってきたのである。
・・・
衝撃を受けすぎてもうよくわからない。
「義高様は知っていたの?」
「あ…ええ、聞いていました」
義高ははにかみながらうなずいた。
政子は少し真面目な顔で幡姫に告げた。
「幡姫、父上は木曽と戦をしようとしていましたが、仲直りのしるしに義仲殿から義高殿を頂いたのです。つまりは義高殿は木曽からの人質ということになります」
「人質?大丈夫なの?」
「それは心配しないで、父上は源氏同士で戦をする気はありませんから」
義高は今度はにこりと笑って言った。

その後、幡姫は義高と二人で過ごす時間を得た。またあの庭の隅。
「驚かせてしまってすみません。あのとき知ってはいたのですが…」
「大丈夫です、それより義高様とずっと一緒にいられることが嬉しいです!」
本心から出た言葉だった。
幡姫にとっては義高は初めての友達だったのだ。
「…っ、ありがとうございます」
義高は少し恥ずかしそうに目を伏せたが、嬉しさは隠しきれていなかった。
「私は義高様のこともっと知りたいです!何が好きかとか」
「えっと…信濃では木登りとか魚を捕まえたりとかして遊んでいました」
幡姫は義高が思ったよりも野性的な遊びをしていて戸惑った。しかしそれも始めのうちだけだった。
「えーと…じゃあ、これで遊びましょう。この葉っぱでお舟が作れるのですよ」
「一枚だけ?」
「ええ、幡姫様も私の真似をしてください」
と、義高は笹舟の作り方を教えてくれた。
幡姫はそれを御所の中の池に浮かべるのが面白くて、その日は日が暮れるまで二人で笹舟を作っては浮かべた。
翌日、義時が大量の笹が浮かんだ池を見て不思議に思ったのはまた別の話だが。
ともかく、小さな婚約者達は鎌倉で幸せな時間を過ごすこととなった。その幸せは生涯約束されたものであると、鎌倉の誰もが思っていた。

つづく

作者メッセージ

今回も読んでいただきありがとうございます!
次回から幡姫と義高の「幸せ&ひとつまみの殺伐」パートが続きます。
キラキラ義経、ほんわか範頼も登場。
また、活動報告の方で主人公リクエスト募集中です。

2024/02/25 16:30

青葉よしまつ
ID:≫ 4eITYY1IIrji.
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歴史日本史鎌倉時代源平合戦恋愛

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