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大姫鎌倉日記

#3

伊豆山の女性たち

[漢字]伊豆山権現[/漢字][ふりがな]いずさんごんげん[/ふりがな]。
僧兵の力が強く、誰も手出しが出来ないために頼朝の挙兵以来北条家の女達はここに匿われている。

政子は一心に頼朝の無事を祈っていた。
(山木攻めは成功した。でもその後、私達が伊豆山へ来てからは頼朝様や父上がどうしているのか分からない…)
「また佐殿のこと考えてるの?」
政子の妹、波子だ。半分呆れ、半分心配そうな顔で床掃除をしている。
「だって何にも知らせが無いんだもの」
「いつだったか、佐殿は天に愛されてる、絶対死なないって言ったのは姉上でしょう?それに便りが無いのは良い便りと言うじゃない」
「あなたの呑気に励まされたのは初めてだわ、ありがとう」
「なにそれあんまり嬉しくない」
二人が談笑していると突然ぼろぼろになった使者がやってきた。政子は待ってましたとばかり駆け寄って問い詰めた。
「佐殿はどうしておられる?無事でおられるのか?」
「…佐殿、先の石橋山合戦にて平家方の大庭勢に敗れました…!」
「えっ」
「奥方様方はここにいるかぎり大丈夫にございますが、お味方…未だ行方知れず…」
「そ、んな、頼朝様…!父上、三郎、小四郎…ほかにも多くの家人が」
「姉上、大丈夫よ!少なくとも死んだって知らせじゃないんだから、ね!」
(そうだ…私が気を強く持たねば、幡姫を守らねばならないのだから…)
とはいえしばらくは皆、眠られぬ日々を過ごした。

しかし不安な日々は長く続かなかった。また伊豆山権現に使いが来たのである。政子は恐る恐る聞いた。
「佐殿は無事か、それとも…否か?」
「御殿は、ご無事でございます!安房国で多くの味方を集め、再び盛り返しましてござる!また、奥方様のお父上、小四郎殿両名無事です!」
「おお、それは何より!」
「味方も集まっているのね!」
政子と波子は喜びあったが、ふと気づいた。
「両名って…三郎は?…無事でしょうね?」
三郎宗時。政子の弟で、北条家の後継ぎ。政子と頼朝が出会った頃から彼らの強力な味方であった。
「宗時様…お討ち死にとの知らせが入っております…」
戦になる以上、覚悟はしていた。が、二人にあまりにも重くのしかかる死。
幼い、まだなにも分からない幡姫は政子の腕に抱かれたまま涙を流す母を見つめている。

つづく

作者メッセージ

突如志半ばで討たれる宗時くん。
まだ、始まりに過ぎないです。こんな感じで殺伐パートもあるので苦手な方お気をつけ下さい。次回も宜しくお願いします!読んでもらうだけで泣くほど嬉しいです。

2024/02/13 18:24

青葉よしまつ
ID:≫ 4eITYY1IIrji.
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歴史日本史鎌倉時代源平合戦恋愛

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