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親の支配より友の友情

「……ごめんなさい、もう遊べません」
 春休み明けの、学校終わり。
 今まで通り、親友と遊ぼうと思っていた。保育園の頃からずっと仲の良かった、大親友。中学に上がっても、関係は変わらなかった。
 なのに。今年に入ってから、なぜか話してくれない。話したとしても、敬語だ。
 そんなあいつの様子に、俺はいらついていた。
 絶対、理由を聞き出す。そんな思いで、また今日もあいつの教室に向かった。

 俺は、帰る準備をしているあいつに話しかけた。
「一緒に遊ぼうぜ」
 あいつは、俺の方を向きもせずに話す。
「……無理です。遊ばないって、言いましたよね?もう、関わらないでください」
「……なんでだよ。理由を聞くまで、俺はお前にからみ続けるぞ」
 だんだん、教室から人がいなくなっていく。
「もう、遊びたくなくなった。それだけの理由です」
「……本当に?」
 肩が、少しだけ反応した。
「本当です」
「嘘だな」
「……。じゃあ、なんでだと思いますか?」
 教室には、もう俺たちしかいない。無音の時間が流れる。
「そうだな。とりあえず、お前の意思じゃない」
 また、肩が動いた。嘘に気づかれた時の癖だ。つまり、
「あたりだな?」
「違うし……」
 小さな声で言い返してきた。もう、敬語ではなくなっている。
「お前じゃないとすると、……親だな?」
「っ……!」
勢いよく、俺の方を向いた。
「お、正解」
「……」
 苦しそうな、おびえているような顔で、こちらを見た。目が合う。
「どうだ?俺は、ここまでしかわかんねぇ。本当の理由、詳しく教えてくれねぇか?」
「……。……お母さんが、君とは関わるなって、言って。でも、無視はできないから、最低限のことを、敬語で話そうと思って。そうしたら、君、つまんなくなって、話さなくなるでしょ?」
「……母親が、話すなって言った、理由は?」
「わかんないけど、たぶん、言葉遣いが悪いから、じゃないかな。僕に、悪影響を及ぼすって、考えたんじゃない?」
「……いままで、大丈夫だったのは?」
「僕が、君のことをお母さんに教えなかったから。お母さんは、少し厳しいんだ。きっと、こうなるだろうなと思ってた」
 結果、バレちゃったんだけどね、と諦めたような顔で笑った。
「でもお前は、今まで親に隠し通してきたんだろ?なら、これからも隠せばいいじゃねぇか。もしまたバレたら、俺が言い返す。お前は、親の言いなりにはならねぇって」
「……なんで、そこまでしてくれるの?確かに、昔から仲良かったけど、君は友達、たくさんいるじゃん。僕に構わず、別の人と遊べば良いのに」
「なにいってるんだよ。俺は、お前と遊ぶのが一番なんだよ。さっきお前は、俺がつまんなくなったら、話さなくなるって言ったな?確かに、友達には、そうなるのかもしんねぇ。でもな、お前は違うんだ。大親友とは、なにをしてでも、遊ぼうとするぜ?お前は、親と友情、どっちを大事にするんだよ」
「……ありがとう。僕、これからも君と、遊びたいな。もしバレたら、一緒に話してくれる?」
「もちろん!それでこその、親友だろ?」

 あいつは、俺とは違って、優秀だ。だから、人の言うことを真面目に聞く。
 親の言うことを聞く。
 でも、親友の言うことは、もっと聞いてくれる。
 俺は、あいつと友だちでよかった。

作者メッセージ

練習として書きました。
はじめと終わりがもうちょっとするっとさせたかったです。
アドバイスをくださると嬉しいです。
読んでくださりありがとうございました。

2026/03/16 18:06

楓ひなた
ID:≫ 72f7ySuR6WeuU
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