大学生となり、僕は念願の一人暮らしを始めた。図書館のすぐ近く、徒歩5分の場所。本好きの僕は、そんな部屋を探していたのだ。時間がある日は、いつでも行く予定だ。
図書館に入り、一度探索するように一周する。以前行ったとは言ったが、実はまだ数回ほどしか来ていないのだ。また出入り口に戻ってくると、自分の好きな、小説のエリアへ移動する。
着いた瞬間、驚いた。小学生ほどの少女が、床に寝転がっていた。本棚で死角になっており、外からは見えない。そのため、誰にも気付かれずに居たのだろう。僕だって、さっきは気づかなかった。一瞬、無視することも考えたが、注意することにした。
「寝転がったらだめだよ」
「……」
「だめだよ?」
「……」
「えっと……、聞こえてる?」
「……私に、話しかけてるの?」
「そうだよ。他に寝転がってる人、いないと思うけど……」
むくり、と少女は体を起こした。なんだか、面倒くさそうである。普通の子ではなさそうだ。これはもしや……。いや、違っていたら、それこそ面倒くさい。特に考えないでおこう。
「親はいる?」
「ううん。居ない。一人」
一人で来たのか……。親からの注意がない訳だ。
「床に寝転がっちゃだめだよ。どうしてそんなことしたの?」
「別に……。私は、本が好きなの。さっき、本を落としちゃったんだ。落ちた本は、どんな気持ちになるんだろうって思って、それで……」
「それで、自分も体験してみようと思ったの?」
少女は、こくりとうなずいた。
本の気持ちか……。そんなこと、一度も想像したことなかったな。僕にとって、本は読書をするためのもの。僕は読書が好きなだけで、本が好きなわけではない。本は『読む』ものだ。そりゃあ、多少は思う所があるけれど……。僕が読書家なら、この少女は愛書家だな。
「ごめんなさい。さすがに、やりすぎたよね……」
「いや、反省してるならいいんだよ。そんなに落ち込まないで」
しゅんとしてしまった彼女に対して、僕は弱気になってしまう。子どもと接することなんて、ほとんどないからな……。
「ところで」
少女が、少し遠慮しながらも聞いてくる。
「なんで、私のことが見えてるの?幽霊の私を見れる人なんて、誰もいなかったのに」
どうして?というように、不思議がって聞いてくる彼女に、僕は困った。
やはり、そうだったのか……。
図書館に入り、一度探索するように一周する。以前行ったとは言ったが、実はまだ数回ほどしか来ていないのだ。また出入り口に戻ってくると、自分の好きな、小説のエリアへ移動する。
着いた瞬間、驚いた。小学生ほどの少女が、床に寝転がっていた。本棚で死角になっており、外からは見えない。そのため、誰にも気付かれずに居たのだろう。僕だって、さっきは気づかなかった。一瞬、無視することも考えたが、注意することにした。
「寝転がったらだめだよ」
「……」
「だめだよ?」
「……」
「えっと……、聞こえてる?」
「……私に、話しかけてるの?」
「そうだよ。他に寝転がってる人、いないと思うけど……」
むくり、と少女は体を起こした。なんだか、面倒くさそうである。普通の子ではなさそうだ。これはもしや……。いや、違っていたら、それこそ面倒くさい。特に考えないでおこう。
「親はいる?」
「ううん。居ない。一人」
一人で来たのか……。親からの注意がない訳だ。
「床に寝転がっちゃだめだよ。どうしてそんなことしたの?」
「別に……。私は、本が好きなの。さっき、本を落としちゃったんだ。落ちた本は、どんな気持ちになるんだろうって思って、それで……」
「それで、自分も体験してみようと思ったの?」
少女は、こくりとうなずいた。
本の気持ちか……。そんなこと、一度も想像したことなかったな。僕にとって、本は読書をするためのもの。僕は読書が好きなだけで、本が好きなわけではない。本は『読む』ものだ。そりゃあ、多少は思う所があるけれど……。僕が読書家なら、この少女は愛書家だな。
「ごめんなさい。さすがに、やりすぎたよね……」
「いや、反省してるならいいんだよ。そんなに落ち込まないで」
しゅんとしてしまった彼女に対して、僕は弱気になってしまう。子どもと接することなんて、ほとんどないからな……。
「ところで」
少女が、少し遠慮しながらも聞いてくる。
「なんで、私のことが見えてるの?幽霊の私を見れる人なんて、誰もいなかったのに」
どうして?というように、不思議がって聞いてくる彼女に、僕は困った。
やはり、そうだったのか……。