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ビブリオフィリア

#7

第七章

 『320 ス 』は、法律の本だった。
「法律って……、本当に、どんな本でも読んでるんだな」
 『法律だって。すごいでしょ!』、難しい本が読めることを、うれしそうに自慢していた様子を思い出す。反応は、どれも見た目年齢のままだ。なのに、読めるなんて……、やっぱり見た目は当てにならない。
 いや、案外、文字を読むだけで、理解はしていないのかも。次会った時、聞いてみるか……?また怒られるか。少女は、一体何に怒るんだ?わからない……。
 試しに一冊、本を取り出す。分厚い……。もはや、本と呼んでもいいのかすら、僕にはわからない。法律の本なんて、普通は一生、見ることないと思うぞ……?触っても良いのか、という怖さがある。
『少女と関わったから、こんな経験ができるんだな』。
「あれ……?」
 昔も、同じようなことを思っていた気がする……。
『彼女がいるから、普段は見ないような本を見ることができる』。
『彼女がいるから、普通は知らないようなことを知ることができる』。
 そんな思いが、どんどんあふれてくる。
「なんでだ……?」
 確かに、少女と関わったから、経験できた、と思った。でも僕は、それ以上は特に思わなかったはずだ。
 今は、そんなこと考えなかった。
 じゃあ、昔は……?
 昔、そんなことを考えたんじゃないのか。それを、僕は今、思い出したんだ。
 でも、なんのことなんだ?『彼女がいるから』……、もしかして。
 僕は昔、少女と会ったことがある?
 ……わからない。思い出せない。少女に聞いたら、何かがわかる?
 とにかく、謎解きを進めよう……。
 ……そういえば、書かれていたのは『320 ス 短い』だったな。短いとは……?
 手に持っていた本を戻し、本棚を見てみる。
「……あれのことか」
 一冊、他とは明らかに違う、でも『320 ス』のシールが貼られている本があった。僕が普段読む、文庫本ほどの厚さの、他と比べて短い本だ。
 手に取る。いつもの本と似ている形なだけで、少し安心する。
 出版社によって、本の見た目が変わることは知っていたが、これほどとは。見た目って、本当に大切なんだな……。
 中を開いて見る。文字は、先程見ていた本に比べて、驚くほど少ない。そこまで詳しい訳ではないが、わかりやすい。初心者におすすめの本だろう。小学生でも理解できそうだ。とはいっても、興味を持てないぐらいには難しいのだが。
 ぱらぱらと、ページをてきとうにめくる。『短い』とわざわざ限定したぐらいだし、絵本みたいにどこかに貼ってあるというよりは、はじめの数学関係の本と同じように挟まっているのだろうと考えたからだった。
 案の定、挟まっていた。かわいらしい紙をページの間から取り出す。
『470 図鑑をみて』
『「きっとこうだろう」と考えること』
 ……また、どこかに答えのってたりしないかな?とも思ったが、目次にはなかった。やっぱり、読むしかないのか。まあ、別にこれくらいの文字量なら、読めるけども……。30分くらいかな?
 読んでみた。全部読むのを覚悟で始めたのだが、ちょうど半分ほどのところで答えを見つけた。
『「きっとこうだろう」と考えることを、『推定』というよ!』
「あった……」
 答えは、『推定』か。というか、そのまま抜き出して、問題をつくってたのか……。
 どうしよう。もう一度、少女のところに戻るか?でも、怒ってたしな……、あれはこわい。

作者メッセージ

読んでくださりありがとうございます。
女の子は、怒るとこわいですよねー。

2026/06/03 09:46

楓ひなた
ID:≫ 72f7ySuR6WeuU
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謎解き幽霊図書館少女大学生小説連載

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