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ビブリオフィリア

#6

第六章

「あれ?!もしかして、もう終わっちゃった?」
「いや、まだ。会いに来ただけ」
「そっか、よく考えたら、終わったらなにかしらの反応があるか」
「僕が反応するぐらいの謎なの?」
「たぶんね。覚えてたら、の話だけど。お楽しみにー」
 覚えてたら?何をだろう。僕が思い出せないことに、関係があるのだろうか。
 それに、僕が反応するような謎。どんなものなのだろう。今のところ、特に反応はしない気がするのだが。少しだけだが、楽しみだ。
「それで、あおくんは、なにしにきたの?」
「……?」
 あれ……、なんだろう。今、少女が言った、『あおくん』という言い方。昔、聞いたことがあるような……?
「あおくん?どーしたの?だいじょーぶ?」
「ん……、うん、大丈夫。ちょっとぼーっとしただけだよ。それで、何だっけ?」
「えっと、なにしにきたの?って聞いたんだよ。」
「ああ、謎解きの答えが合ってるか、聞きに来たんだ。まだ途中だけど」
「わ、わたし、なんにも言わないからね!答え合わせも、ヒントも、なんにもだよ?」
 少女は、少しむきになったように、早口で言う。子どものこういう姿は、からかいたくなるのが普通だと思う。
「えー、なんにもないの?厳しくない?」
「あおくんなら、きっと答え合わせしなくてもできるよ!」
「もうちょっと、緩くても良いと思うけど?」
「だめなの!謎解きは、あおくん一人で解くものなの!そうしないと……」
「そうしないと?」
 少女が、とても小さな声でつぶやいた。
「思い出せないかもしれないでしょ……」
「ん?今、なんて言ったの?」
「なんにも言ってないよ」
「そう?」
 どうやら、これ以上話す気はないようだ。あきらめよう。これで嫌われても、嫌だからな。
 表情の変化で、答え合わせをしようかな?
「じゃあ、これは僕のひとりごとね。1問目が『ダランベール』で、2問目が『いただきます』」
 少女が、こちらをすごくにらんでいる。少女は、問題を簡単に解かれると怒るようなので、にらまれたり、不機嫌な顔になったりしたら、正解ということになる。
 だが、僕が少女をからかって怒らせたせいで、変化がわからなかった。
 これじゃあ、本当にひとりごとになってしまったじゃないか……。少しかなしい。
「あと2問で、終わりだよ」
 一応聞き取れる、小さな声でつぶやいた。
「あと2問で?」
「わたし、なにも言ってないけど」
 いや、明らかに言っていた。まあ、少女の最大限の優しさと捉えておこう。少女はどうしても、僕が1人で謎を解いた、ということにしたいらしい。
「じゃあ、何も教えてくれないらしいし。続き、がんばって解いてくるよ」
「うん、じゃあわたしはなにも手伝えないから、がんばって待ってるね。いってらっしゃーい」
 どうやら少女は、待つことはがんばらないとできないらしい。
「……今、なんでがんばらないと待てないのか、って思ったでしょ!」
 バレていた。なんなら、さっきより怒っている。
「待つのだって、大変なんだよ!特に、わたしみたいに、なん年も待ってる人はね!早く解いて!」
 うわあ、本気で怒っている。なにがそんなに気にくわないのか……。とにかく、これ以上は怒られなくない。こういう時は、逃げるに限る。
「じゃあ、できるだけ早く解いて戻って来まーす……」
 こわかった。
 『320 ス』の本を、探しに行こう。

作者メッセージ

読んでくださりありがとうございます。
少女がかわいい回です。うれしい。
やっぱ、子どもらしさって重要ですよね!
見た目も大事ですけど。

2026/05/16 21:10

楓ひなた
ID:≫ 72f7ySuR6WeuU
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謎解き幽霊図書館少女大学生小説連載

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