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神敵少女の冒険譚〜世界を神から救うまで〜

#3

第二話 使用人の心内

 私はムーンライト家使用人のルカ。
 先日生まれたお嬢様の専属使用人へと抜擢された。
 誇らしいばかりである。
 私はお嬢様の様子を見にお嬢様の自室へと向かった。
 私が部屋に入ろうとドアノブを回すと、中からバタバタと音が聞こえてくる。
 何かあったのかと思い、急いで扉を開けてみると、本を持ってベッドにいるお嬢様が。
 お嬢様は本を隠そうと必死になっている。
 本当に赤ちゃんなのだろうか?
 この時から私はお嬢様のことを気味悪がる様になったのだ。
 なぜかいつも理解しているかのように本を見る。
 私たち使用人にまで気を遣ってくれる。
 常に視線が彷徨っていて、夜以外はあまり寝ない。
 これだけ聞くと、良い子のように思えるが、そんなことはない。
 まだ生まれて間もないのにお嬢様はおかしい。
 そんな考えが覆されたのはある日のことだった。

 私がいつものようにお嬢様の給餌をしていると、哺乳瓶を落として割りそうになった。
「あっ!」
 その瞬間私の脳内には割れたものを掃除するという次の行動が示された。
 私が落ちてゆく哺乳瓶に目をやると、なんと哺乳瓶がゆっくりと落ちていっていたのだ。
 哺乳瓶の下から風が吹いているのを感じる。
 え?
「まさか……」
 お嬢様が魔法を使って助けてくれた?
 しかも無詠唱で?
 無詠唱で魔法が使えるなど世界にも100人くらいしか…。
 主神スキルの権能ならばおかしくはないけれど…。
 いつも魔法の本や地理の本を見ているので魔法が使えても不思議ではない。
 ただ、私はこれまで気味が悪いと思って扱っていたお嬢様に助けられたことが感動でしかなかった。
 私はお嬢様に対する考えを改めた。
「ありがとうございます」
 私はお嬢様にお礼を言う。
 お嬢様がきょとんとした顔をしているが、演技が上手いものだ。
 心の中では理解しているのだろう。
「こちらこそ」
 お嬢様はやはり理解しておられた。
 常人では聞き取られぬほどの小さな声だったが。
 専属メイドたるこの私が聞き逃すわけにはいかないのだ。
「ふふ、いいんですよ、お嬢様」
 私は、お嬢様と共に人生を生きることを心に決めた。

ルナside
 本を読んでいるところを見られてしまった。
 怪しまれてる気がする。
 というかこの国にもエルフがいたのか。
 本に書いてあったことによるとエルフはあまり外国に出たがらないらしいのだが。
 本日初エルフということで興奮しております。
 それからしばらくの時が経ち、いつものご飯の時間。
 哺乳瓶を使用人から受け取る。
 少し恥ずかしいが、これが今の私の食事だ。
 哺乳瓶を咥えてチューチューする。
 ああ、お腹いっぱい。
 私は使用人、、ルカだっけ?
 ルカに哺乳瓶を返し、眠りにつこうとした。
 その時、ルカが手を滑らせてしまい、哺乳瓶は下に落ちていった。
 危ない!
 私は
「風魔法下級[[漢字]微風[/漢字][ふりがな]そよかぜ[/ふりがな]]」
と呟いた。
 私は哺乳瓶の下から床へと、床から哺乳瓶へと風を出す。
 私は最近覚えたばっかりの気づかれにくいであろう、風魔法の中で最も弱いと言われるものを使った。
 哺乳瓶はそのままゆっくり落ちていき、床に静止した。
「ありがとうございます」
と言われ、私はきょとんとした顔をした。
 なぜお礼を言われるのだろう。
 そんなに大層なことをしただろうか。
 大袈裟だなあ。
 でも、もらえる感謝は受け取っておこう。
 バレないように、それでいて勘付きやすいレベルで。
「ありがと」
 傍から見たら変な言葉で、変な光景だろう。
 でも、私たちはこの時つながり合っていた。
 この事件を機に、ルカのそっけなさもなくなった気がする。
 幸せじゃ〜。

メイド長エルナside
 ルカが最近お嬢様と打ち解けてらっしゃる。
 良いことだ。
 良いことなのだが…どうしても堪えきれない。
 私はエルナ。
 ムーンライト侯爵家に使えるメイド、その長であるメイド長である。
 お嬢様と呼ぶのが嫌になっているのはおそらく私だけだろう。
 できるならば…。
 いや、今そんなことを考えても仕方ない。
 私にできるのはルナ様…いえ、お嬢様を見守り、支えることだ。
 陰ながら支えられれば、と願いこうしてメイド長に就任し嬉しく思うと共に、責任重大なのも重々承知だ。
 微力ながら力になれているだろうか。
 ちゃんと私に懐いてくれているのだろうか。
 親のような……親が感じるような疑問が私の胸を不安にさせる。
 私は今日何回目かわからないため息をついた。
「エルナ様」
 後ろから呼ばれ、私はしまった、と思った。
 人がいることに気づかなかったのだ。
 私は後ろを振り向き、
「なんですか?」
とさも何でも無さそうな口調でそう言った。
 平常心、平常心。
「いえ、エルナ様が疲れてらっしゃるように感じたのでで」
 私が振り向いた先にいたのはメイドのルカだった。
「疲れてはいないのですが…ただ」
 私は努めて平常に聞こえるように言った。
「ただ?」
 ルカが深掘りしてくる。
 エルフは好奇心旺盛なのだ。
 いきなり私の中にある何かが決壊しそうになる。
 私は、その日、罪を犯した。
 約束を破るという大罪を。
 ムーンライト家を裏切るようなことを。
 神様がいるのなら許してくれる。
 私はそう願い、信じていた。
 ルカにはしっかりと口止めしておいた。
 エルフは口が堅いのでも有名だ。
 誰かに話したことでスッキリしたな。
「さて、仕事頑張りますか」
 エルナは今日もメイド長として、ムーンライト家をまとめる。
 今日も、明日も、その先も。
 そう信じて疑わなかった。
 お嬢様の成長を…この目で見れるのだと。
 ルナ様の成長を…見続けられるのだと__
__________________________________
〈ステータス〉
個体名:ルナ・ムーンライト
二つ名:無し
年齢 :0
種族 :転生者
職業 :無職
レベル:1
筋力 :1
敏捷力:1
精神力:943
体力 :1
魔力 :2943
耐性 :無し
加護 :転生者の加護
[漢字]技能[/漢字][ふりがな]アーツ[/ふりがな] :無し
称号 :無し
使用可能魔法:無し
主神スキル :[陰影]Level1
主神権能  :[[漢字]影纏[/漢字][ふりがな]シャドウウェア[/ふりがな]][[漢字]影縫[/漢字][ふりがな]シャドウソーイング[/ふりがな]]
保持スキル :[全言語理解][能力奪取][経験値増]Level1[思考加速]Level1[鑑定]Level1[食事]Level1[魔力感知]Level1[魔力操作]Level1
保持タイトル:無し

作者メッセージ

十五話程度のストックがあるので全部放出しちゃいます…

2025/08/06 23:52

魁夜流星
ID:≫ 6yTgHEMno8sog
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