絆の奇跡〜宇宙の果てまで〜
#1
第一話 出発の日
僕はミナス。
月への着陸を仕事としている。
と言うか今日からその仕事に就くのだ。
不安は大きいものの、重要な役目、仕事を任されたことに対する満足感は不安よりも大きく、僕の心を波立たせていた。
初の試みではない。
月への着陸は人類が長年挑戦し続け、全て失敗したのだから。
国民、いや、支配域全ての人々の期待を背負い、僕の先輩も宇宙で散った。
僕、ミナスは飛行船長時間宇宙戦闘型である。
中身は宇宙船と変わりないが、その機能に大きく差があった。
もちろんロケットのように火を吹いて加速することもできる。
しかし、それには莫大な燃料を消費するためなかなか頻度をあげて月への着陸に挑戦することができなかったのだ。
そこで開発されたのは、真空状態であっても浮かぶ、いわゆる「無」よりも軽い気体。
それによって飛躍的に月への着陸に挑戦できる頻度が上がった中、長年にわたり人類が月に着陸できていないのには理由がある。
一つは難易度が高いこと。
月と僕が住んでいる星、カルメニアと月の間には隕石群があるのだ。
そこを抜けられず大破する宇宙船やロケットが多い。
そしてもう一つの理由は、隕石群や小惑星、惑星など、他の星に住んでいる生物から妨害が入るからだ。
月には未知なる資源や生物が眠っているとされており、どの星も月の所有権を得たいのである。
小さい星なら軍事力もないので簡単に突破できるのだが、惑星や小惑星となると話が違う。
特に危険で強力な八つの星はこう呼ばれている。
八大災厄、と。
それに名を連ねるのが僕を作った比較的小さめの星、小惑星カルメニア。
みんなご存知の太陽系とやらもこの中にあるんだよ。
他の七つの星はどれも大きいものの、カルメニアは他の惑星よりも小さい。
支配域も小惑星が少しと他は小さい村がある星がたくさんあるだけだ。
カルメニアにこれといった強さもないものの、他の星を凌駕していることがただ一点だけあった。
製造技術?
二番目だ。
魔法?
使えない。
科学?
三番目だ。
では何か?
それは…
「よし!よろしくな、ミナス!」
大柄な男が、僕にそう声を掛けた。
今日は、記念すべき出発の日。
この男は、機械AIである僕に話しかけるのか。
絆。
小惑星カルメニアの得意分野は、絆だ。
優しさなどと言う甘ったるい物などではなく、お互いに対等であり、強固なもの。
その絆は、時に奇跡を呼ぶ。
その奇跡によってかはわからないが、他の星はカルメニアのことをこう呼ぶ。
奇跡惑星カルメニア、と。
『よろしくお願いします』
僕は大柄な男に返事をした。
カルメニアは、たとえ無機物であろうと心の底で深く絆が繋がっている、と信じているためだろう。
メンバーがまだ集まっていないようなので説明を継続させてもらうと、
軍事惑星ルシアタドン。
質も量もトップの軍事力を持つ。
神聖惑星エリヌフロシア。
天使や神が住まう惑星。
絶対的な統治権を持ち、個々の強さではルシアタドンを上回る。
魔界惑星ジーローラ。
悪魔や魔族の住まう惑星。
エリヌフロシアと長年戦争を続けているが、気持ち押され気味であり、個々の強さではルシアタドンを上回る。
科学惑星ダルゼンテ。
とにかく機械兵や兵器が強く、科学力において他を圧倒する。
超越惑星ラーマデュラ。
生物が生まれつきスキルや魔法という特殊な能力を扱える。
統率力がないものの、個々の強さでは他の惑星よりも上だ。
しかし最近ダルゼンテからの侵略を受けていて、その力は拮抗状態だとか。
科学が勝つか、力が勝つか。
天空惑星シーフレア。
昔は天使だったが、方針に反抗したもの。
悪魔にならずに残っている。
平和な星で、永久中立を宣言している。
ただし、攻め込まれたら本気で殺しにかかるという残酷な一面も持ち合わせている。
刀剣惑星レルガリア。
鍛治の面では群を抜いている。
刀剣に不思議な力がこもっていて、それを誇りとしている民族が住む惑星。
強い刀の使い手が多いらしい。
身長が少し低く、黒髪黒目がほとんどだという。
少し前まで外界との関係を絶っていた。
そして鍛治の素材もたくさん眠っているとされている。
それにカルメニアを合わせた八つの惑星が、「八大厄災」。
月までの距離はカルメニアが一番遠く、たどり着くにはレルガリア以外の七つの惑星の支配域を通らねばならない。
レルガリアは月に一番近いが、直線距離で行くと全く当たらないのだ。
しかしレルガリアが一番月への道のりが進んでいると言われているので月の近くでぶつかってもおかしくはないだろう。
永久中立国のエリヌフロシアでさえ月への調査の時はバンバン攻撃してくるのだ。
基本的に僕たちは月への宇宙航海中だというのを隠さねばならないのだ。
お、メンバーが揃ったかな?
「自己紹介をしよう。今回の遠征メンバーは十人だ。まずは俺から。俺の名前はゼフィロス。二十八歳で戦闘も得意だ。アタッカーだな。カルメニア星軍軍長をやっていた。一応船長としてみんなを指揮する。こいつ、ミナスと協力しながらな」
黒髪黒目で顔に傷がある大男が自己紹介をした。
なるほど、背中に大剣を背負っている。
ゼフィロスが僕をポンポンと撫でた。
「僕の名前はアルム!気軽に声をかけてね十八歳で、戦闘もできるよ!シーフみたいな感じで素早く動くかな。カルメニア星軍の隊長をやってたらスカウトされたよ。僕の役割は操縦士!ミナスと協力しながら頑張る!よろしくね」
『よろしくお願いします』
「畏まらなくても良いのに〜」
金髪碧眼マッシュの少し小さめの男がはぶてたようすで僕を見る。
「レイと言います。十六歳です。機関士として頑張ります。戦闘は…嫌いですが得意です。刀を使います。攻撃が得意です。一応レルガリア出身ですよろしくお願いします」
黒髪黒目の可愛らしい整った顔立ちの少し小さめの女子が紹介を終える。
「俺はギド。二十五歳だ。医者をやってる。ダルゼンテ生まれカルメニア育ちだ。戦闘は…治すか強化するか相手を弱体化させるくらいしかできねぇ。怪我したら俺に言えよな」
長い茶髪を後ろで無造作に束ねて、少し柄の悪そうな目つきをした男がタバコを吸いながら紹介を終えた。
「私はラキ。十七歳で技術士を務める。戦闘は得意だよ。このでかい武器をぶん回して敵を殺すのが得意だね。カルメニア出身だ。よろしく」
美しい茶髪を後ろで結っているポニーテールの少女が紹介を終えた。
「わ、私はミリアですわ。十八歳ですわ。そ、狙撃手を務めさせていただきますの。せ、戦闘はできますが、援護くらいしかできませんわ。ダルゼンテ出身カルメニア育ちですわ」
金髪を縦ロールにしたお嬢様風の少女が緊張しながらも紹介を終えた。
「僕はプリム。エリヌフロシア出身カルメニア育ち。十六歳外の技術士。戦えるけど、空中戦の方が有利かな。槍を使うよ。よろしく」
金髪を無造作に撫でつけたようなマッシュ風の男が気怠げにそう言った。
「俺ァサリオン。二十七歳だ。衛生士、つまりコックだな。うめぇ飯を作る事にかんしゃ一級品よぉ。戦闘はあまりできない。回復や強化くらいならいくらでもしてやるぞ。よろしくな」
チョビ髭を生やしたコック帽を被った茶髪の男がそう言い、次の人へと促した。
「レイン。十八。戦闘要員。魔法。ラーマデュラ出身。よろしく」
言葉少なげな黒髪片目を長い前髪で隠している男がそう言った。
「さ、十人目は…」
僕に一斉に視線が注がれる。
僕?
嬉しいけど。
『よろしくお願いします。精一杯サポートさせていただきます。ミナス、と申します』
僕がそう言うとアルムが
「笑顔笑顔〜スマイルスマイル〜」
と言って僕を懐柔しようとしてきた。
結局ゼフィロスが
「そろそろ出発だぞー」
と言うまで僕喋りかけていた。
わああぁあああああぁあぁぁぁ!!!!
国民?達の歓声を受け、僕たちは空へと旅立つ。
「頑張ってくださいね〜ゼフィロス軍長、アルム隊長!!」
と若い兵士。
「体調に気をつけてください!ギド院長!」
と若い女の看護師。
他にもたくさんの人が見送りに来て、僕たちは旅立った。
月の所有権を得るため、僕たちの長い、長い旅が今、始まったのだ__!!
月への着陸を仕事としている。
と言うか今日からその仕事に就くのだ。
不安は大きいものの、重要な役目、仕事を任されたことに対する満足感は不安よりも大きく、僕の心を波立たせていた。
初の試みではない。
月への着陸は人類が長年挑戦し続け、全て失敗したのだから。
国民、いや、支配域全ての人々の期待を背負い、僕の先輩も宇宙で散った。
僕、ミナスは飛行船長時間宇宙戦闘型である。
中身は宇宙船と変わりないが、その機能に大きく差があった。
もちろんロケットのように火を吹いて加速することもできる。
しかし、それには莫大な燃料を消費するためなかなか頻度をあげて月への着陸に挑戦することができなかったのだ。
そこで開発されたのは、真空状態であっても浮かぶ、いわゆる「無」よりも軽い気体。
それによって飛躍的に月への着陸に挑戦できる頻度が上がった中、長年にわたり人類が月に着陸できていないのには理由がある。
一つは難易度が高いこと。
月と僕が住んでいる星、カルメニアと月の間には隕石群があるのだ。
そこを抜けられず大破する宇宙船やロケットが多い。
そしてもう一つの理由は、隕石群や小惑星、惑星など、他の星に住んでいる生物から妨害が入るからだ。
月には未知なる資源や生物が眠っているとされており、どの星も月の所有権を得たいのである。
小さい星なら軍事力もないので簡単に突破できるのだが、惑星や小惑星となると話が違う。
特に危険で強力な八つの星はこう呼ばれている。
八大災厄、と。
それに名を連ねるのが僕を作った比較的小さめの星、小惑星カルメニア。
みんなご存知の太陽系とやらもこの中にあるんだよ。
他の七つの星はどれも大きいものの、カルメニアは他の惑星よりも小さい。
支配域も小惑星が少しと他は小さい村がある星がたくさんあるだけだ。
カルメニアにこれといった強さもないものの、他の星を凌駕していることがただ一点だけあった。
製造技術?
二番目だ。
魔法?
使えない。
科学?
三番目だ。
では何か?
それは…
「よし!よろしくな、ミナス!」
大柄な男が、僕にそう声を掛けた。
今日は、記念すべき出発の日。
この男は、機械AIである僕に話しかけるのか。
絆。
小惑星カルメニアの得意分野は、絆だ。
優しさなどと言う甘ったるい物などではなく、お互いに対等であり、強固なもの。
その絆は、時に奇跡を呼ぶ。
その奇跡によってかはわからないが、他の星はカルメニアのことをこう呼ぶ。
奇跡惑星カルメニア、と。
『よろしくお願いします』
僕は大柄な男に返事をした。
カルメニアは、たとえ無機物であろうと心の底で深く絆が繋がっている、と信じているためだろう。
メンバーがまだ集まっていないようなので説明を継続させてもらうと、
軍事惑星ルシアタドン。
質も量もトップの軍事力を持つ。
神聖惑星エリヌフロシア。
天使や神が住まう惑星。
絶対的な統治権を持ち、個々の強さではルシアタドンを上回る。
魔界惑星ジーローラ。
悪魔や魔族の住まう惑星。
エリヌフロシアと長年戦争を続けているが、気持ち押され気味であり、個々の強さではルシアタドンを上回る。
科学惑星ダルゼンテ。
とにかく機械兵や兵器が強く、科学力において他を圧倒する。
超越惑星ラーマデュラ。
生物が生まれつきスキルや魔法という特殊な能力を扱える。
統率力がないものの、個々の強さでは他の惑星よりも上だ。
しかし最近ダルゼンテからの侵略を受けていて、その力は拮抗状態だとか。
科学が勝つか、力が勝つか。
天空惑星シーフレア。
昔は天使だったが、方針に反抗したもの。
悪魔にならずに残っている。
平和な星で、永久中立を宣言している。
ただし、攻め込まれたら本気で殺しにかかるという残酷な一面も持ち合わせている。
刀剣惑星レルガリア。
鍛治の面では群を抜いている。
刀剣に不思議な力がこもっていて、それを誇りとしている民族が住む惑星。
強い刀の使い手が多いらしい。
身長が少し低く、黒髪黒目がほとんどだという。
少し前まで外界との関係を絶っていた。
そして鍛治の素材もたくさん眠っているとされている。
それにカルメニアを合わせた八つの惑星が、「八大厄災」。
月までの距離はカルメニアが一番遠く、たどり着くにはレルガリア以外の七つの惑星の支配域を通らねばならない。
レルガリアは月に一番近いが、直線距離で行くと全く当たらないのだ。
しかしレルガリアが一番月への道のりが進んでいると言われているので月の近くでぶつかってもおかしくはないだろう。
永久中立国のエリヌフロシアでさえ月への調査の時はバンバン攻撃してくるのだ。
基本的に僕たちは月への宇宙航海中だというのを隠さねばならないのだ。
お、メンバーが揃ったかな?
「自己紹介をしよう。今回の遠征メンバーは十人だ。まずは俺から。俺の名前はゼフィロス。二十八歳で戦闘も得意だ。アタッカーだな。カルメニア星軍軍長をやっていた。一応船長としてみんなを指揮する。こいつ、ミナスと協力しながらな」
黒髪黒目で顔に傷がある大男が自己紹介をした。
なるほど、背中に大剣を背負っている。
ゼフィロスが僕をポンポンと撫でた。
「僕の名前はアルム!気軽に声をかけてね十八歳で、戦闘もできるよ!シーフみたいな感じで素早く動くかな。カルメニア星軍の隊長をやってたらスカウトされたよ。僕の役割は操縦士!ミナスと協力しながら頑張る!よろしくね」
『よろしくお願いします』
「畏まらなくても良いのに〜」
金髪碧眼マッシュの少し小さめの男がはぶてたようすで僕を見る。
「レイと言います。十六歳です。機関士として頑張ります。戦闘は…嫌いですが得意です。刀を使います。攻撃が得意です。一応レルガリア出身ですよろしくお願いします」
黒髪黒目の可愛らしい整った顔立ちの少し小さめの女子が紹介を終える。
「俺はギド。二十五歳だ。医者をやってる。ダルゼンテ生まれカルメニア育ちだ。戦闘は…治すか強化するか相手を弱体化させるくらいしかできねぇ。怪我したら俺に言えよな」
長い茶髪を後ろで無造作に束ねて、少し柄の悪そうな目つきをした男がタバコを吸いながら紹介を終えた。
「私はラキ。十七歳で技術士を務める。戦闘は得意だよ。このでかい武器をぶん回して敵を殺すのが得意だね。カルメニア出身だ。よろしく」
美しい茶髪を後ろで結っているポニーテールの少女が紹介を終えた。
「わ、私はミリアですわ。十八歳ですわ。そ、狙撃手を務めさせていただきますの。せ、戦闘はできますが、援護くらいしかできませんわ。ダルゼンテ出身カルメニア育ちですわ」
金髪を縦ロールにしたお嬢様風の少女が緊張しながらも紹介を終えた。
「僕はプリム。エリヌフロシア出身カルメニア育ち。十六歳外の技術士。戦えるけど、空中戦の方が有利かな。槍を使うよ。よろしく」
金髪を無造作に撫でつけたようなマッシュ風の男が気怠げにそう言った。
「俺ァサリオン。二十七歳だ。衛生士、つまりコックだな。うめぇ飯を作る事にかんしゃ一級品よぉ。戦闘はあまりできない。回復や強化くらいならいくらでもしてやるぞ。よろしくな」
チョビ髭を生やしたコック帽を被った茶髪の男がそう言い、次の人へと促した。
「レイン。十八。戦闘要員。魔法。ラーマデュラ出身。よろしく」
言葉少なげな黒髪片目を長い前髪で隠している男がそう言った。
「さ、十人目は…」
僕に一斉に視線が注がれる。
僕?
嬉しいけど。
『よろしくお願いします。精一杯サポートさせていただきます。ミナス、と申します』
僕がそう言うとアルムが
「笑顔笑顔〜スマイルスマイル〜」
と言って僕を懐柔しようとしてきた。
結局ゼフィロスが
「そろそろ出発だぞー」
と言うまで僕喋りかけていた。
わああぁあああああぁあぁぁぁ!!!!
国民?達の歓声を受け、僕たちは空へと旅立つ。
「頑張ってくださいね〜ゼフィロス軍長、アルム隊長!!」
と若い兵士。
「体調に気をつけてください!ギド院長!」
と若い女の看護師。
他にもたくさんの人が見送りに来て、僕たちは旅立った。
月の所有権を得るため、僕たちの長い、長い旅が今、始まったのだ__!!