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感情を失ったとある女の子の話

#1

1話

登場人物設定

愛機(5歳)
山賊に拾われた少女。山賊達から毎日受ける暴力と暴言で、心を閉ざし感情をなくしてしまった。愛機というのは、名前をわすれてしまった彼女に実際には生きていない無機物にも愛情をもって接してやれるように、という意味で倉央が名付けた名前。因みに愛機は女であるが、伸びきってぼさぼさの髪に隠れて顔が見えず、声もほとんど出さない、さらには体つきもまだ幼い子供のそれなので男と思われている。感情がないので拾ってくれた田里弥や倉央がいくら愛機のことを世話しても、愛機はなにも感じない。暑さや寒さなども感じない。だが長い髪の中は…。

田里弥(15歳)
王翦軍の一般兵。たまたま休日でたまたま愛機を見つけ、あれよあれよという間に愛機の世話をするようになった。最初は「かわいそうだったから拾った」くらいの気持ちだったが、だんだん「本当の妹」のような存在になっていく。剣を使って戦う事より頭を使って戦うことの方が得意だが、一般兵なため剣を使って戦うことを余儀なくされている。つり目つり眉の塩顔だが、まあまあモテる。(若いというのもあるかもしれない)

倉央(17歳)
王翦軍の一般兵。田里弥と一緒に村にきて、とてもでかい出来事があったため喜んでいる(田里弥にはそんな易々と喜ぶなといって拳骨を受けた)。田里弥以上に愛機のことを可愛がっている。名前も倉央が付けた。
濃い顔のイケメンでかなりモテるが、女癖が悪い。
初陣で田里弥と出会って以来、あまり馴染めない田里弥に自分から話し掛けにいって周りから仲良いなっていわれるくらいになった。料理がめちゃうまい。

王翦(27歳)
王翦軍の一般兵ならその姿を見るだけで恐れおののく王翦軍の長。子供を拾った兵士がいると聞いて見に行った。才覚などは十二分にあるが、人間性を疑われその才覚をずっと地に埋もれさせていた。位は将軍。愛機のことはいずれ王翦軍にいれたいと思っている。

亜光・麻光(20歳)
王翦の右腕、左腕といわれる王翦軍の3000将。田里弥、倉央と同じくらい愛機のことを可愛がっている。


Side愛機
「おいてめぇ!暇なら酒買ってこい酒ぇ!」
そう言われて硬貨とお札を投げられる。この人は山賊。
ひとを襲って金品を奪って生計を立てている。この人は一つの山賊グループの頭、というものらしく、部下たちがたくさんいる。たぶんわたしはこのひとたちに拾われでもしたのだとおもう。わたしのなまえは_____
わすれた。
このひとたちには「おまえ」「てめぇ」「がき」「くそがき」とかしかよばれないから。わたしにもなまえはついていたんだろうけど、分からない。この人たちは、私に暴力をふるう。なぐる。ける。暴言をあびせる。もう、なにも感じなくなった。でも、感じる必要もない。頭が、そう判断したんだろう。わたしは、ぼろぼろの布切れのような服を着ている。防寒機能なんてない。毎日の暴力で、擦り傷だらけのガリガリの体を引きずって、わたしは町にでる。酒を買うために。逆らったらまた暴言をはかれ、暴力をふるわれる。なにも感じないが、これ以上ぼろぼろになるのはさけたい。わたしはもはや、生存本能だけで生きていた。町にでると、みんながわたしを気味悪がった。とりあえずなるべくはやく酒がうっているお店にはいろうとした。だが、わたしを呼び止める声がした。「お前、一人か?」

Side田里弥
俺は王翦軍の一般兵、田里弥だ。今日は珍しく休日だったので、とある村に来ている。…倉央と一緒に。
元々は俺一人で行く予定だったのだが、倉央が一緒に行きたいとうるさいので連れてくることにした。そんな倉央は、久々の町に子供のように目を輝かせている。
取り敢えず飯屋にでも行くかと視線を巡らせたとき、ふととあるものに目が止まった。「…なんだあれは?」
「ん?なんだ?」倉央も俺の声が気になったのか視線を巡らせている。すると…。「…あ。」倉央も見つけたようだ。俺達の視線の先にいるのは、ぼろぼろの服を纏い、少し力を入れれば折れてしまうんじゃないかと心配になるくらい細い手足、恐らく全く手入れされてないであろうぼさぼさの髪。歳はおそらく5歳くらいだろうか。そんな風貌の子供がいた。「…。」倉央ですら余りにひどい見た目に絶句している。そんな子供が店に入っていこうとしたので、俺は思わず声を掛けてしまった。「お前、一人か?」
俺の声にその子供は振り返った。改めてみてもそこら中にハエが集り、ひどい悪臭だ。こんな幼い子供を…。俺は怒りが沸いたが、今はそれどころではない。取り敢えずこの子を保護しなければ。「倉央、俺はこの子を王翦軍に連れ帰りたいが、いいか?」ときいた。「こんな状態ならダメって言うやつ居ないだろ。寧ろ速くしなきゃヤバイぞ。」と倉央も同意を示した。それから俺はなるべく急いで家に連れ帰った。そこから倉央に料理を作らせ、俺はこの子供を風呂にいれた。なにはともあれ、はやく綺麗にしてやらねば。ぼろぼろの服を脱がし、慎重に身体中を洗った。髪も洗ってやった。痛んではいるが、洗って汚れを落としたらなかなか綺麗で長い髪だった。身体は、目も当てられなかった。そこら中に痣、擦り傷。一部の傷は膿んでいて、ひどい有り様だった。洗って飯を食べさせたら医者に見て貰わねば。そう思った。慎重に洗っても泡が傷口に入りまくったが、この子は特に痛がる様子もなかった。「ごめんな…。」俺はそう呟きながら洗った。綺麗に洗い終わって流したら、大分ましになったが、痛々しい傷と痣はのこったままだ。
それからタオルで軽く拭いて、取り敢えず適当な服を着させた。俺も同年代の男よりは小さい方だが、それでも小さく、ガリガリに痩せた子供に着せるにはでかすぎる。一段落したら服を買いにいってやらねば。そう考えながら倉央のところに向かっていった。

Side倉央
田里弥についていって町にいったらぼろぼろの子供を拾うことになって今現在料理を作らされている。「なーに作ろっかなぁ…。料理は得意だが肉料理以外あまり出来ねぇんだけどなぁ…。子供相手となると、あいつここしばらくちゃんとした飯食ってなさそうだったから粥でも作るか…。」そういって俺は粥を作ることにした。湯を沸かして…。「米ないじゃん。」先に米を炊くことにした。それから食べやすくて栄養満点にするにはなにを入れればいいかなどを考えていたら田里弥がほかほかになった子供を連れて帰ってきた。「よう。結構綺麗になったな。」俺は子供に目線を向けながらも田里弥にむかってそういった。「ああ。飯は出来たか?」と田里弥がいってきた。「いや、粥を作ろうかと思ったんだけど米がなくて今炊いてる。」と返した。「ああ、そうか。ではその間にこの子に聞けることは聞いてしまおう。」といって田里弥が子供に向き合った。「俺は田里弥だ。自分の名前言えるか?」と、何時もよりゆっくりいった。だが、子供からの返事はない。「…もしかしたら、言葉の発し方分からないんじゃないの?」と言った。「…分からない。」大分掠れているうえに小声だったのでだいぶ聞き取りずらかったが、どうやら自分の名前が分からないらしい。こいつの親はなにしてんだ。そう思った。それから、ぽつり、ぽつりと今までのことを話し始めた。気がついた頃には山賊に拾われていて、飯はごみ同様のものしか食べさせられなかったこと。暇さえあれば山賊達から殴る蹴るの暴力、暴言を受けていたこと。壮絶な自分の環境を話す声こそ幼い女子供のそれだったが、声に感情が全く感じられなくてゾッとした。この子は、感情を失うほど辛いことをされてきたのだろう。そう思うと同時に、守ってやりたいという気持ちが自分のなかで急速に膨れ上がった。こいつは俺が絶対に守る。もう二度と辛い思いはさせない。そう思った。そんなことを人に思うのは初めてだった。それは田里弥も同じだったようで、その夜はその子供を寝かせたあとこの子に酷いことをした山賊達のグループをどうやって壊滅させるか話し合った。

Side 愛機
酒を買うためにお店にはいろうとしたら、とつぜん知らない男の人達に声をかけられて家に連れていかれた。それからとくちょうてきな眉をしている人に体をあらわれ、体を拭かれて、きれいなぶかぶかの服を着させられた。それからその人に連れられて、もう一人のこい顔をしている人のところに行った。それからなんか話したあと、眉の人がこっちにむきあって名前を田里弥と名乗った。それからこい顔の人は倉央と言った。自分の名前をいえるかときかれたが、わたしはわからないといった。それからぽつり、ぽつりと自分の今までのことをはなした。2人ともしんけんなかおをしてきいている。それから、とりあえず今日は休めといわれて、わたしはふかふかの布団にねかされた。

Side 田里弥
それからつぎの日、倉央があいつに名前をつけようといった。「名前?」俺が驚いて聞いた。「ああ。いつまでもあいつとか子供呼びじゃ不便だろ。」倉央が頭をポリポリ掻きながらいった。「…名前か…。いいの思い付いているのか?」人に名前をつけるなんてことを経験したことがない俺は、そう、倉央に尋ねた。すると顔の前に人差し指をだしながら、「ああ、実はこの事は昨日の夜から考えててな、い~い名前思い付いたんだ。」と笑みをたたえながらいった。「あいつは感情がないだろ?だけどいつかは実際には生きていない植物とかそういう無機物のようなやつにも愛情を注げるようにって、愛機ってのはどうだ?」
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作者メッセージ

新しいシリーズ、第1話公開します。終わり方とか中途半端に感じたらすいません。
前々からこういうのかいてみたいなって思ってたんです。
これから3人はどうなっていくのか?よければ楽しみにしていて下さい。

2025/09/16 07:56

りーか
ID:≫ 6.HoR4v8S2hQk
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