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月の守護者

#9

7話

第11章 月の力

「ドラァァァァァァァ!!」
「うおおおおおおおおお!!」
ガガガガガガガガガガ!!
ロキとエルが、ルアートの作った[漢字]戦闘領域[/漢字][ふりがな]バトルフィールド[/ふりがな]で激しい打ち合いをしている。
この戦闘領域は特別で、誰がどんなに強い攻撃をしても崩れないようにルアートが魔力を込めた氷でできている。それ故、心置きなく戦闘訓練ができるのだ。
雷と風の力がぶつかり合い、辺りには轟音が響いている。
ザザァ!
暫くして、打ち合う音が消えた。
「ゼェ…ハァ…!」
「フーッ、フーッ…」
「…まだまだぁ…!」
「…こい!ロキ!何が来ても受け流してやるよ!!」
「「うおおおおおおおおお!!」」
ドガガガガガガガガガガ!!!
2人が打ち合いを再開すると、さっきにも増して激しい音が響く。
それを、ルアートは見ていた。
氷のような、冷たい瞳で。
「…よくもまぁあんなに長い時間打ち合えるものだ…」
ルアートはそういって目を細めた。
「…さて、今日の予定は…」
「…ん?」
ルアートが端末を開くと、一件のメールが来ていた。
王のフェイニからだった。
内容は、「話があるので、城に来てほしい」というものだった。
「…仕方ない、行くか」
そういうと、ルアートはヘレンを呼びに行った。
「ん?どうした?ルアート」
「王から城にこいと言われた。お前とアルタはいいが、あそこで打ち合いをしている2人は戦いに熱中していて私が戦闘領域を解除しても気付かないだろう。それで周りが傷ついては困るのでな。私が合図したら2人をお前の水で包んでほしい。」
「…わかった」
ルアートは頷き、タイミングを見計らって「…今だ」
と言った。
それと同時に、ヘレンは魔法を放ってロキとエルを包み込んだ。「うおっ!?」「なんだ!?」
そして、ルアートは戦闘領域を解除した。
「おーいなんだよルアート!今いいとこだったのに!」
「王からだ。城にこいだと。」
「なんだよもータイミングわりぃなぁ…」
それからアルタも呼び、5人は城に向かった。
「よく来てくれた。今日はそなたらに話がある。…月の力についてじゃ。」
「月の力ぁ?」
ロキが不思議そうに聞くと、フェイニは「左様。」と言って話し始めた。
「この国の人々にはそれぞれ魔力が備わっており、それと相性の良い魔法のコアが結び付くことで魔法を使えるようになる、というのは知っておるな?…じゃが、これは最近わかったことなのだが、「守護者」…つまりお主らのような飛び抜けた力を持つ者達には、とある特性が付与される。…「[大文字]月の光によって力が増える[/大文字]」という特性じゃ。お主ら、夜に戦いに行くときに力が強くなったような感覚はないか?それはどうやらお主らの特性のようなのじゃ。そして、その特性は、お主らが着けているそのマントによって、その者が守護者となったことを認識し、自動的にその特性を付与するらしいのじゃ。そして、月の光の力をうけたコアは、月の光属性の攻撃を繰り出せるようになる。さらに、既存の魔法と組み合わせることで、より強い攻撃を出せるようになるそうじゃ。不思議じゃろう?今日はその話をしたかったのじゃ。」
「「「「「………………」」」」」
「ちょ待て待て待て待て情報量が多い!なんだって?月の光によって力が増える?そんで既存の魔法と組み合わせて強くなれる?それがマントによって付与される?なんでそれもっと前に言ってくれなかったんだよ!」ロキが喚いた。
「しょうがないじゃろう。さっきも言った通り、最近わかったことなんじゃ。」
それからフェイニは咳払いをして、こう続けた。
「まあ、百聞は一見に如かずじゃ。儂がこうやって話すより、実際にやってみたほうがわかるかもしれんの。」
数時間後、夜ーーーーーーー
「…さて、お主ら、月が出てきたぞ。今日は上弦の月か。」
フェイニが空を見上げてそういった。
「じょうげんのつきぃ?」
ロキが不思議そうに言った。
「お主らに付与される月の力は、満月の時に最大の効力を発揮するそうじゃ。ということは、新月の時はほとんど力が変わらないということ。更に、上弦の月の時は攻撃が強化され、下弦の月の時は防御力が増す。…限られた時にしか付与されない「バフ」をどう使いこなすかが今後の鍵となりそうじゃのぉ。」
「へー…ってまた重要なこと出てきたなおい」
ロキが思わずつっこむ。
しかし、ルアートはそんなやりとりには目も向けず、ずっと前を見据えていた。「………」
「どうした?ルアート。さっきからずっと前を向いているが」
見かねたアルタがそう聞くと、ルアートは口を開いた。
「…なにか、強大な力がこちらに向かってきているのを感じる」

第12章 力試し
「…確かに」
ヘレンが少し表情を険しくする。
「言われてみれば…地面がちょっと揺れてるような…?」
ロキが確認しようと地面にしゃがみこもうとしたその時。
[大文字]グォォォォォォォォォォ!!![/大文字]

「「「!?」」」

「なっ、なんだこの咆哮!?」
「落ち着け!まずは状況を確認だ!」
「あっ、あれ!」
ヘレンが指を指したほうを見れば、巨大な人形の怪獣が歩いている。
「…なんだよあれ」
「…早速実践できる機会がきたようじゃな。思いっきり暴れてこい。」
「は!?おい待て!」
ロキが言いきる前に、フェイニはワープして城に戻ってしまった。
「おいどうすんだよ!」
「落ち着け。なるべく城から離れたところで迎撃するぞ。エル、お前は先にいって様子を見てこい。」
ルアートが指示すると、エルは「おう!」といって飛び去っていった。
「私たちもいくぞ。[漢字]氷の坂[/漢字][ふりがな]アイスシェーバー[/ふりがな]!」
ルアートが巨大な氷の坂を作り出す。
全員はそれにのって、目的地に急いだ。

「あーもう頭いてぇ…まじで情報量多すぎだろ王様よぉ…」
ロキが目を細めながら言った。
「…月の光によって力が増す、か…」
ルアートは、その言葉に既視感がある気がした。
しかし、それが頭の中で像を結びそうになったとき、怪獣はもう目の前にいた。

「やるぞ」
「「了解」」
言葉はそれだけで十分だった。

「エル!」
「おう!」
ルアートが呼ぶと、エルが呼応した。
「[漢字]風の刃[/漢字][ふりがな]エアスラッシュ[/ふりがな]!」
エルが風の刃を繰り出す。
普通の敵なら吹き飛ばすほどの強い斬撃。
だが、
「グォオオォォォォォォォォ!!!」
「!?」
「効かない!?寧ろ弾き飛ばしてるぞ!」
「うおぁぁぁぁぁあ!!何してんだお前ぇ!!」
「俺のせいじゃねぇよ!!」
「…通常攻撃の効かない個体か」
怪獣によって弾き飛ばされた斬撃を避けながら、ルアートは思考した。
…ならば、月の力を使う他ないか…
「エル」
「なんだ!」
「そのまま怪獣の気を引け。私が月の力で攻撃する」
そういって、ルアートは大きく飛んだ。
「…月神よ、私に月の力を分け与えたまえ」
フェイニから言われていた口上を述べると、ルアートの刀身が紫色の光を帯びた。
「…これは…」
そのまま怪獣に攻撃する。
皮膚の鎧が少し剥がれ落ちた。
「…やはり、この怪獣は月の力の攻撃しか効かないようだ。」
「[漢字]月氷の槍[/漢字][ふりがな]ルナ・アイスランス[/ふりがな]」
ルアートが手を掲げると、空中に巨大な氷の槍が出現した。そのどれもが紫色の光を帯びている。
「行け」
ルアートがそういうと、空中にあった槍が一斉に怪獣に向かって射出された。

[大文字]ドドドドドドドドドォン!!![/大文字]

凄まじい轟音とともに、怪獣の叫び声も聞こえてきたが、徐々にそれはなくなっていった。
「…勝った…か?」
「…そのようだ。」
「これが…月の力か。使い方を誤れば、大惨事になりそうだ。」
五人は城に戻った。
「どうじゃった?」
「通常の攻撃は効き目がありませんでしたが、月の力を使うと一瞬でした。」
「そうかそうか。それはなにより」
「んで?あのバケモンなんなんだよ?」
ロキが聞くと、フェイニは「実は...」「…わしもわからないんじゃ。」といった。
「「「…………は?」」」
「はぁー!?どういうことだよ!?なんかお前「分かってる」みたいな顔してたじゃねぇか!!」
「まぁ…お主らに月の力を説明したところで、「タイミングよく」現れたとしか言えんな。」
「んなわけあるかぁーーー!!!」
城にはロキの叫び声が響いた…。

守護者たちがもどったタイミングで、フェイニは呟いた。
「…「月の守護者と対なる存在」、「闇の守護者」アブロード…。なぜ、こんなにも早く…。」

目覚めてしまったのじゃ………。

作者メッセージ

はい。がっつり物語を進めました。
いろいろでてきて混乱するかもしれませんが、理解するのはゆっくりで大丈夫です。
アブロードとは一体何者なのか?続きを楽しみにしておいてください。

2026/05/25 07:46

りーか
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