閲覧前に必ずご確認ください
暴言・暴力・銃撃戦・拷問etc…
なんでもありますご注意を。
あと僕にしては珍しくドシリアスです。
コメディ?そんなモン死んだ。
あ、おそらくきっと色々描写がヤバくなるのでとりあえずPG-12です。
てなわけで、耐えられる者のみ通るが良い。
数分ののち、耳障りなブレーキ音と共に、窓の部分に分厚いカーテンが掛けられたフェラーリが急停車した。
中から外が見えないようにする為か、或いは……
外から、中を見られないようにする為か。
いずれにせよ、何かやましい事でもない限りはあり得ない程に厚いカーテンだ。
カーテンと言うよりは、どこか異界との境のような印象を受ける程に、黒色の「ソレ」は、内と外とを厳格に隔てている。
そのカーテンを開いた先、目の前に聳え立つのは、屈強なガードマンの立つ華美で大きな門。だが、不思議と悪趣味なデザインではない。
そして当たり前のように、その奥には豪奢な邸宅がある。維持にかかる金額を想像するだけで、つい身慄いするほどだ。
「さて、と。着いたぜ、お嬢さん?」
「…怖い、です。」
「いいから大人しく外に出ろって。」
そう言って、ルーカスは車内の金髪の女性に向けて手を差し出す。
「……」
「早くしねぇと撃つぞ!!!」
サマにならないどころか暴力的ですらあるが、構図だけ見ればエスコートのように見えなくもない。
それでいてこの手に優雅さや気遣いは無く、怯える様子を見せる彼女を容赦なく引っ張ると共に、広い車外へと連れ出した。
「あの…ココは一体?」
思わず彼女はそう聞くが、ルーカスは答えない。
ガードマンと一言二言会話した後、彼女の手に繋がる手錠を引いて、スタスタと大股で歩き出した。
その邸宅へ続く庭には、四季の花々が咲いている。一直線に歩いたとしても邸宅まで容易に十分以上はかかるだろう広い庭からは、なぜかときおり犬の鳴き声が聞き取れる。
今の彼女の両の手には手錠が掛かっているので、当たり前だが普通に歩くよりもよっぽど負担が大きいだろう。
だが生憎と、ルーカスには全くと言って良いほどに気にする様子が無い。
スピードも歩幅もいつも通りで、ただ普通の、買い物ですらない気軽な街歩きにさえ見える。
もっともそれは、手に掛かる手錠さえ見なければ、の話ではあるが。
背の高いルーカスに合わせる気がない以上、必然的に彼女は半ば引き摺られるような具合となる。
俯いたままに駆け足で着いていくが、早くも息が上がり始めた。
「あ、ルーカスの旦那。何してんですー?てか、ドコで拾ってきたんですかそんな別嬪さん。」
軽薄そうな声が聞こえて、彼女は思わず目を上げる。
そこには、オーバーサイズのパーカーに身を包んだ、銀髪の青年が立っていた。
細いサングラスではっきりとは分からないものの、顔立ちはかなり整っているように感じられる。
「るせぇ、こっちは任務中だ。」
「えぇ……んなコト言わずに教えて下さいよ。ほらほらぁ、アンタのお名前は?」
「教えねぇっつってんだろ。分かったら今スグ消えろ、俺の目の前から!!!」
ルーカスの殺意と怒声をまとめて浴びても気にもせずニヤニヤと笑う青年は、いつぞやの紫の猫を思わせる。
一体どのような人物なのだろう…そう彼女は不思議に思うが、当然彼らに質問などできる訳もない。
だが、彼女が持ったその疑問に関しては、数秒もしない内に、青年自らの言葉で解消した。
「いやいやぁ、僕ぁ情報屋ですんで?気になったコトは聞いとかないとっしょ。」
一旦言葉を切って、わざとらしく小首を傾げる青年。片耳だけについた大きめの水色のピアスが、風でかちゃりと揺れている。
「教えて貰えないならいっそ、『ルーカスの旦那が女の子連れ込んで来ましたぜ』ってウワサ、流してやりましょうかねぇ?」
「は?マジで相変わらずだなてめぇ。そのニヤケ面あと一秒でも晒してみやがれ、撃つぜ。」
「そう言う旦那も変わりませんねぇ。いやいやぁ、実に感服っすわぁ。」
ルーカスは今にも銃を抜きそうだが、銀髪の青年はヘラヘラとその怒りを躱している。
制止しようにも出来ず、さりとてルーカスと手錠で繋がれた側の腕も上下されるので、ギリギリと鉄が彼女の腕に食い込む。
どうすれば良いかも分からずに、彼女が戸惑っていると、突如として大きく十二回、鐘の音が響いた。
この街に住まう者なら誰もが知っている、正午の合図だ。
「おっとと、時間切れか。そんじゃ、次の取引があるんで失礼しますですよっと。」
「オイコラてめぇ!!!逃げる気か!!!!」
「いやいやぁ、僕なんかが旦那と戦って勝てるワケもねぇんで?コレはそう、戦略的撤退ってヤツですよー。」
地団駄を踏むルーカスに、そんじゃ機会があったらまた会いましょうや、と軽やかに言い残し、青年は去って行った。
その背中に舌打ちをして、再度ルーカスは大股で歩き出す。
手錠を引っ張られた感覚で彼女が一瞬目を離した隙に、青年の姿は見えなくなっていた。
「あのヘラヘラ野郎…そういや、幹部連中はなんでわざわざあんなのから情報買ってやがんだ?」
そうルーカスはぼやきながら、相も変わらずの大股で歩いて行く。
気がつけば庭は終わりに差し掛かり、大きなドアが彼女の目に入る。
ルーカスが目の前に立った途端、ギィ、と重苦しい音と共にドアが開いていく。
中を見ると、執事服の青年がいた。センター分けでキッチリと整えられた金髪に、血よりもなお鮮烈な赤色の瞳。モノクルがきらりと反射して、表情は良く分からない。
「おっと…入る前に、こいつを付けとかねぇとな。」
そう言うと、ルーカスはどこからか目隠しを取り出した。そのまま彼女の目に当てようとするがふと手を止めて、「手錠が邪魔だな…」と小さく呟く。
そしてそのまま、素手で鎖を引きちぎった。
その光景に、思わず彼女の顔が引き攣る。その表情は間違いなく「恐怖」という一言を…それも、開く事のできない口よりも余程雄弁に語っている。
だが、ルーカスは気にも留めない。それどころか、彼女にはむしろ嬉しそうにさえ見えた。声を出す暇すらも与えず、ルーカスは彼女の視界を奪う。
「あぁそうだ。あの鎖みたくなりたくなきゃ、大人しく目隠しされといた方がいいぜ?」
満面の笑みが、彼女が目を塞がれる前の最後の光景になった。
それは勇気か、はたまた麻痺か、或いはどちらでもない何かなのだろうか。
神でさえも知らない、なんとも形容できないような感情がそこにはあった。
そのふわふわとした感覚に任せて、真っ暗闇の視覚の中で、彼女はルーカスに問う。
「あの…どうして、私をココに?」
「まぁ、平たく言やぁ…てめぇにちょっと聞きてぇコトがあるってだけさ。」
彼女には見えない獰猛な笑みと共に、ルーカスは手を引いて歩き出す。
鎖の先を反対の手で持って、ガチャガチャと愉しげに鳴らしながら。
中から外が見えないようにする為か、或いは……
外から、中を見られないようにする為か。
いずれにせよ、何かやましい事でもない限りはあり得ない程に厚いカーテンだ。
カーテンと言うよりは、どこか異界との境のような印象を受ける程に、黒色の「ソレ」は、内と外とを厳格に隔てている。
そのカーテンを開いた先、目の前に聳え立つのは、屈強なガードマンの立つ華美で大きな門。だが、不思議と悪趣味なデザインではない。
そして当たり前のように、その奥には豪奢な邸宅がある。維持にかかる金額を想像するだけで、つい身慄いするほどだ。
「さて、と。着いたぜ、お嬢さん?」
「…怖い、です。」
「いいから大人しく外に出ろって。」
そう言って、ルーカスは車内の金髪の女性に向けて手を差し出す。
「……」
「早くしねぇと撃つぞ!!!」
サマにならないどころか暴力的ですらあるが、構図だけ見ればエスコートのように見えなくもない。
それでいてこの手に優雅さや気遣いは無く、怯える様子を見せる彼女を容赦なく引っ張ると共に、広い車外へと連れ出した。
「あの…ココは一体?」
思わず彼女はそう聞くが、ルーカスは答えない。
ガードマンと一言二言会話した後、彼女の手に繋がる手錠を引いて、スタスタと大股で歩き出した。
その邸宅へ続く庭には、四季の花々が咲いている。一直線に歩いたとしても邸宅まで容易に十分以上はかかるだろう広い庭からは、なぜかときおり犬の鳴き声が聞き取れる。
今の彼女の両の手には手錠が掛かっているので、当たり前だが普通に歩くよりもよっぽど負担が大きいだろう。
だが生憎と、ルーカスには全くと言って良いほどに気にする様子が無い。
スピードも歩幅もいつも通りで、ただ普通の、買い物ですらない気軽な街歩きにさえ見える。
もっともそれは、手に掛かる手錠さえ見なければ、の話ではあるが。
背の高いルーカスに合わせる気がない以上、必然的に彼女は半ば引き摺られるような具合となる。
俯いたままに駆け足で着いていくが、早くも息が上がり始めた。
「あ、ルーカスの旦那。何してんですー?てか、ドコで拾ってきたんですかそんな別嬪さん。」
軽薄そうな声が聞こえて、彼女は思わず目を上げる。
そこには、オーバーサイズのパーカーに身を包んだ、銀髪の青年が立っていた。
細いサングラスではっきりとは分からないものの、顔立ちはかなり整っているように感じられる。
「るせぇ、こっちは任務中だ。」
「えぇ……んなコト言わずに教えて下さいよ。ほらほらぁ、アンタのお名前は?」
「教えねぇっつってんだろ。分かったら今スグ消えろ、俺の目の前から!!!」
ルーカスの殺意と怒声をまとめて浴びても気にもせずニヤニヤと笑う青年は、いつぞやの紫の猫を思わせる。
一体どのような人物なのだろう…そう彼女は不思議に思うが、当然彼らに質問などできる訳もない。
だが、彼女が持ったその疑問に関しては、数秒もしない内に、青年自らの言葉で解消した。
「いやいやぁ、僕ぁ情報屋ですんで?気になったコトは聞いとかないとっしょ。」
一旦言葉を切って、わざとらしく小首を傾げる青年。片耳だけについた大きめの水色のピアスが、風でかちゃりと揺れている。
「教えて貰えないならいっそ、『ルーカスの旦那が女の子連れ込んで来ましたぜ』ってウワサ、流してやりましょうかねぇ?」
「は?マジで相変わらずだなてめぇ。そのニヤケ面あと一秒でも晒してみやがれ、撃つぜ。」
「そう言う旦那も変わりませんねぇ。いやいやぁ、実に感服っすわぁ。」
ルーカスは今にも銃を抜きそうだが、銀髪の青年はヘラヘラとその怒りを躱している。
制止しようにも出来ず、さりとてルーカスと手錠で繋がれた側の腕も上下されるので、ギリギリと鉄が彼女の腕に食い込む。
どうすれば良いかも分からずに、彼女が戸惑っていると、突如として大きく十二回、鐘の音が響いた。
この街に住まう者なら誰もが知っている、正午の合図だ。
「おっとと、時間切れか。そんじゃ、次の取引があるんで失礼しますですよっと。」
「オイコラてめぇ!!!逃げる気か!!!!」
「いやいやぁ、僕なんかが旦那と戦って勝てるワケもねぇんで?コレはそう、戦略的撤退ってヤツですよー。」
地団駄を踏むルーカスに、そんじゃ機会があったらまた会いましょうや、と軽やかに言い残し、青年は去って行った。
その背中に舌打ちをして、再度ルーカスは大股で歩き出す。
手錠を引っ張られた感覚で彼女が一瞬目を離した隙に、青年の姿は見えなくなっていた。
「あのヘラヘラ野郎…そういや、幹部連中はなんでわざわざあんなのから情報買ってやがんだ?」
そうルーカスはぼやきながら、相も変わらずの大股で歩いて行く。
気がつけば庭は終わりに差し掛かり、大きなドアが彼女の目に入る。
ルーカスが目の前に立った途端、ギィ、と重苦しい音と共にドアが開いていく。
中を見ると、執事服の青年がいた。センター分けでキッチリと整えられた金髪に、血よりもなお鮮烈な赤色の瞳。モノクルがきらりと反射して、表情は良く分からない。
「おっと…入る前に、こいつを付けとかねぇとな。」
そう言うと、ルーカスはどこからか目隠しを取り出した。そのまま彼女の目に当てようとするがふと手を止めて、「手錠が邪魔だな…」と小さく呟く。
そしてそのまま、素手で鎖を引きちぎった。
その光景に、思わず彼女の顔が引き攣る。その表情は間違いなく「恐怖」という一言を…それも、開く事のできない口よりも余程雄弁に語っている。
だが、ルーカスは気にも留めない。それどころか、彼女にはむしろ嬉しそうにさえ見えた。声を出す暇すらも与えず、ルーカスは彼女の視界を奪う。
「あぁそうだ。あの鎖みたくなりたくなきゃ、大人しく目隠しされといた方がいいぜ?」
満面の笑みが、彼女が目を塞がれる前の最後の光景になった。
それは勇気か、はたまた麻痺か、或いはどちらでもない何かなのだろうか。
神でさえも知らない、なんとも形容できないような感情がそこにはあった。
そのふわふわとした感覚に任せて、真っ暗闇の視覚の中で、彼女はルーカスに問う。
「あの…どうして、私をココに?」
「まぁ、平たく言やぁ…てめぇにちょっと聞きてぇコトがあるってだけさ。」
彼女には見えない獰猛な笑みと共に、ルーカスは手を引いて歩き出す。
鎖の先を反対の手で持って、ガチャガチャと愉しげに鳴らしながら。