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貴方に幸せを

真っ黒に染った夜の冷たい雨
私の瞳に映るのは、
鉄パイプに押しつぶされた少女だったものだった
周りには、泣き叫ぶもの、唖然として動けないの、助けを呼ぶもの、写真を撮るものと、様々であるが誰も少女には近ずかない
誰一人として近づけないでいた
恵?―――
名前を呼んでも届かない
返事がない
もう顔さえも分からない
それを認識して初めて
自分の愚かさに悔いたのだ



🍀


《枯れ葉の恋》

 私の身の上を語る前にこのゲームついて説明しておこうと思う
ある男女の幼なじみ
霧島蓮と桜木恵は、お互いの関係が進展しないままであったが、幸せと呼べる日々が続いていた
そんなある日、事件は起きた
ヒロインの姉が行方不明となってしまったのだ
恵は、蓮に心配をかけないよう独自で捜査を行い探し出した
行き着いた先は、《解放会》という毒島を長とする宗教団体だった
それを知った彼女は、その場から逃げようとする
しかし、宗教団体に見つかり捉えられレイプされてしまう

宗教団体長 毒島によって回し撮りさせられ、それをネタに
言うことを聞かざるを得ない状況となってしまったのだ。
そしてある夜
毒島の手により、幼なじみ蓮の前で無理やり犯され、
今までのことを暴露された。
それを受けた彼女は全てに絶望し、自殺を図る。

だが彼女は、ある寄生虫によって死ぬ事が出来なくなっていた―――



ここまでがそのゲームの全般内容である
ちなみにこのゲームは、選択肢方式ではあるものの物語のルートは一つだけであり、プレイヤー側がヒロインを助けることは絶対に出来ないのだ

🍀

このゲームは、友人からエイプリールフールに「絶対に泣けるよ」と言われおすすめされたゲームである。
涙脆いもの好きの私からしたら是非プレイしようと思い1週間かけてやり続けた
最後はハッピーエンドだろうと歯を食いしばって行い
嫌がらせなんだと気づいたのだ
無論、その友人をボコボコに殴り回したが今は置いておこう
私の身の上に起きたことはこの世界
《枯れ葉の恋》に理由も分からず転移した
しかも何故か幽霊として
恐らく、よくあるネット小説みたいにトラックに引かれたとかで死んでしまったからこんな形なんだろうが
そこは転生というか生身で来させて貰いたかったものだ
閑話休題
さて、幽霊として転移されてしまった私は、ネット小説の主人公のようにヒロインを助けるために奮闘した
《気合いで》ポルターガイストをおこし証拠を抑える
《気合いで》主人公と、警察に証拠を渡す
《気合いで》金縛りを使いヒロインを逃がすなどなど
《気合いで》なんとかし、宗教団体を潰すことが出来たのだった
自分も本気出せば運命は覆せると自信を持つことが出来た

🍀


だから私は、目の前の光景を信じたくない
つい先程まで笑顔でイチャイチャしてたヒロインが
最初のように 、いや、それ以上に幸せだった彼女達の物語が
こんな終わりなんて信じたくない
何とか否定して、幸せの続きを見たい
けれど、気持ちとは裏腹に現実がつきつける
彼女の死を
運命には抗えないと
お前では救えないのだと
唯ただ現実を突きつけた

あれからどれくらい時間が経っただろうか
私は、ただただ逃げた
行くあても目標もなくただ無我夢中に逃げ続けた
それは、まるで前世の情けない自分のようで
「お前は何も変われない」のだと言われているようで
その事実が私を苛立たせ私は逃げ続ける


けれど、それは終わりを告げる
急に手を掴まれたのだ
その手は、弱々しく今にも消えそうなのに
私の足は、何故か止まった


「あの子を助けて……」



 その手の主は、薄汚れた幼子のものであり
 転生した際に初めて会った少女であった

 🍀


 俺は、唖然としながらもその少女に溜まっていたものをぶつけた
転生したこと
霊体で頑張って結局無駄だったこと
今まで感じた辛みや苦みのこと
その全てをぶつけ続けた

筋違いと知りながら
言ったところで解決しないと分かりながらも
それでも一方的に彼女にぶつけ続けた

彼女は泣きそうな表情を浮かべながらも黙って聞いてるだけだった


♣️

全てを吐き終えた俺を少女は、抱きしめた
赤子をあやす様にただただ優しく包み込んだ

俺は、なされるまま涙を流すことしか出来なかった


「大丈夫だよ……まだ間に合うから」


「まだ戦えるから」
 

「だから……だから諦めないで!」

その言葉と同時に記憶が流れ込んできた
 

🍀

 
夕暮れ色に染まる馴染みの公園
気づけば私―――桜木恵は、如月公園に来ていた
どうしてここにいるのか、それは分からない
気づけば何故かここに来ていたのだから

「またお節介なあの子の仕業かな?……ってあの子ってなんだっけ?」

 口から出た言葉に首をかしげながらまあいいか考えるのをやめた
 それにしても目の前の景色はなんだか懐かしい
まるで、ここで忘れていた過去があったような、なかったようなそんな気が―――
「……っ!」
 その瞬間急な頭痛と私の知らない映像が流れ込んできた
 それは、私と姉が宗教団体に犯さたこと
 それは、私の醜態を暴露された
 それは、私が1度目に死ぬこと
 それは、私が彼に―――
「それ以上は、見なくていい」
 暗く重い男の言葉
 その言葉に、先程流れた映像が消えた
「見なくていい、忘れていい
 それは、起こらなかったことだからな」
 いつの間にか隣に座っている男はそう言った
 
「だからお前は、お前らしく幸せでいろよ」

 そう言った男は、不格好な笑顔を見せて私の背中を軽く押したのだ

🍀


男の言葉を合図に私は目を覚ます
目の前には、知らない天井と涙を流す両親の姿だった
どうやら私は、あの鉄パイプの事故で奇跡的に生きていたのだ
医者にもどうして生きているのか、損傷部位が元通りに回復しているのか分からないと首を傾げていた
まぁ、なんにせよ生きれていることには感謝感激である
しかし、不思議な夢だった
まるで現実にいるような感覚だったし
それにあの男は、どこかで見たような…………

「恵!!!」

 そこまで考えると、幼じみ霧島 蓮が扉を蹴破る勢いでこじ開けた

「もう大丈夫なのか?!痛いとこは!何か出来ることは!!!」
「心配しすぎだって
 私は、このとおり元気なんだからね!……ってえ!!!どうしたの?」
「良かった!!!……ほんとに良かったよ〜!!」
 急に来たと思えば
私を見て安心してわんわん泣き出してしまった
 全く困った幼なじみである
 そんなところも可愛いのだけどね
  本人には、調子に乗るから言わないけれど
 そんなことを思いながら私は今を見る―――
 蓮がいて、
 家族がいて、
 そんな幸せな光景を見て、
 
《私は幸せです》と思い出せない誰かに告げるのだ

 
 END
 
 
 
 
 
 








作者メッセージ

初作品です
良ければコメント頂けると幸いですm(_ _)m

2024/08/18 03:15

AKIRA
ID:≫ 6.BBA13mnEY26
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