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夜の桜は散る運命にある

#10

9.【side 晴】

「夜桜、お前……どうした?」
「え? どうしたって、どうもこうもないよ」

 ……昨日までは、こんなんじゃなかった。
 俺——[太字]晴[/太字]は困惑を隠せずにいた。

 初日から違和感はあった。

 その時は自覚がなかったらしい。
 俺も、気のせいだと思っていた。

 でも今の夜桜は違う。
 今までよりさらに透けて、向こうの景色が顔越しに見える。

「琴葉も……見えないのか?」
「何が?」
「それは……」

 俺は琴葉の方に寄って、小さく言う。

[小文字]「夜桜の体……透けてないか?」
「は? 晴くん、何言って……。ぇ!」[/小文字]

 琴葉が顔色を変えた。

[小文字]「晴くん、マジだよ。なんで⁉︎」
「知らねーよそんなの。これ、夜桜に訊くほうがいいのか?」
「……わからない。でも、事が深刻になる前に……」[/小文字]

「何話してるの?」

 振り向くと、夜桜が立っていた。

「2人ともさっきからコソコソ話してて……私に言いたい事があるんなら言って!」

 俺は琴葉と顔を見合わせる。

「言ってよ」

 夜桜の顔越しに、夕陽が透けて見えた。

「あー、夜桜。俺たちに会ってから起きた変な事ってあるか?」
「は? いや、まず2人が変な人じゃん。ガマガエルやら変な影やらもだし」

 質問が悪かった。

「いや、そうじゃなくて……。具体的には、初日とさっき共通して起こった出来事なんてあるか?」

 そう訊くと、夜桜の目が思案するように揺らぐ。
 いつしかそれは、何かを言うか迷っている揺らぎに変わった。

「頼む、言ってくれ。お前のためな——」
「わかんない。でも、琴葉ならわかる」
「へ⁉︎ あたしなんも知らないよ!」

 最初こそ間抜けな声を出した琴葉だが、その後思い出したように俺が来る前のことを説明してくれた。

「……多分、原因はそれだな。夜桜、今後できるだけ使うな」
「……うん」

 ——それから3日。
 俺たちの周りには、嘘みたいに何も起こらなかった。

2026/05/02 06:45

雨坂結侑
ID:≫ 0pdtWgWyzpc/U
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和風ファンタジー陰陽師生贄

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