天文部の生存計画
#1
プロローグ
「いいけど……。えっと、ごめん、名前なんだっけ」
「あぁ、[太字][漢字]小鳥遊[/漢字][ふりがな]たかなし[/ふりがな][漢字]夏輝[/漢字][ふりがな]なつき[/ふりがな][/太字]。小鳥が遊ぶって書いて小鳥遊」
「マジか。高い梨って書くやつだと思った」
「だろ。夏輝って呼んで。俺も彼方って呼ぶから」
夏輝に頷いたところで予鈴が鳴った。席に戻って行く夏輝をなんとなく目で追う。
……異常なまでに距離近かったけど、面白いやつだったな。
先生が来て、俺は慌てて教科書を取り出した。
放課後。
俺は夏輝に連れられて、通ったことのない廊下を歩いている。
「そういえば、夏輝何部なの?」
「は⁉︎ お前何も知らずについてきたん⁉︎」
バッカじゃねーの、と夏輝は爆笑する。
「そんなに笑わなくてもいいだろ。で? 何部なの?」
「天文部」
「天文部。へー、いいじゃ……天文部⁉︎」
マジか。俺は夏輝の雰囲気から、運動部か何かと思っていただけに、衝撃が大きい。
「変なヤツ多いからまあ頑張ろーぜ。あ、お前も十分変なヤツだから大丈夫か」
失礼極まりないことを言われた気がする。
初対面の人間を変なヤツ認定するお前の方が変なヤツだ。
「ほれ、ついた」
夏輝が指さしたのは、小さい空き教室。
ガラララっと音を立てて扉を開ける。
「しつれーしまーす。パイセンいますかー?」
「いるよ、見たらわかるだろ。……って夏輝。そいつ誰?」
「[太字][漢字]柚木[/漢字][ふりがな]ゆき[/ふりがな][漢字]彼方[/漢字][ふりがな]かなた[/ふりがな][/太字]。今日転校してきたやつ。なんか『それっぽい』から連れてきたわけ」
「へぇ。じゃあ柚木くん。入部テストしていい?」
急に話をふられる。
「え、入部テスト? 俺まだ入部するって一言も……」
「入部テストしていい?」
先輩、笑顔なのに目が笑ってません。
「大丈夫。簡単だから。
……これ見える?」
先輩が指差した先には、浮いている地球儀があった。
「は⁉︎ 地球儀が浮いてる……?」
俺がそう言った瞬間、夏輝と先輩の顔色が変わる。
「え、彼方マジで見えんの? えぐ」
「はいじゃあ柚木くん入部確定〜」
「え! 俺まだ入るなんて」
「死ぬよ? このままだと」
死。
不穏な言葉に背筋が凍る。
「それが嫌ならおいでよ、楽しいから」
先輩にめちゃくちゃ満面の笑みで言われ、俺は気づけば「はい……」と小さく答えていた。
「OK、これで部員10人目。あ、そういえば名前言ってなかったよね? 部長の[太字][漢字]三ツ星[/漢字][ふりがな]みつぼし[/ふりがな][漢字]柊[/漢字][ふりがな]しゅう[/ふりがな][/太字]です。よろしく」
こうして俺は、訳の分からない部活にほぼ強制的に入れられた。
——この時、俺はまだ、「死ぬよ」の意味をわかっていなかった。
「あぁ、[太字][漢字]小鳥遊[/漢字][ふりがな]たかなし[/ふりがな][漢字]夏輝[/漢字][ふりがな]なつき[/ふりがな][/太字]。小鳥が遊ぶって書いて小鳥遊」
「マジか。高い梨って書くやつだと思った」
「だろ。夏輝って呼んで。俺も彼方って呼ぶから」
夏輝に頷いたところで予鈴が鳴った。席に戻って行く夏輝をなんとなく目で追う。
……異常なまでに距離近かったけど、面白いやつだったな。
先生が来て、俺は慌てて教科書を取り出した。
放課後。
俺は夏輝に連れられて、通ったことのない廊下を歩いている。
「そういえば、夏輝何部なの?」
「は⁉︎ お前何も知らずについてきたん⁉︎」
バッカじゃねーの、と夏輝は爆笑する。
「そんなに笑わなくてもいいだろ。で? 何部なの?」
「天文部」
「天文部。へー、いいじゃ……天文部⁉︎」
マジか。俺は夏輝の雰囲気から、運動部か何かと思っていただけに、衝撃が大きい。
「変なヤツ多いからまあ頑張ろーぜ。あ、お前も十分変なヤツだから大丈夫か」
失礼極まりないことを言われた気がする。
初対面の人間を変なヤツ認定するお前の方が変なヤツだ。
「ほれ、ついた」
夏輝が指さしたのは、小さい空き教室。
ガラララっと音を立てて扉を開ける。
「しつれーしまーす。パイセンいますかー?」
「いるよ、見たらわかるだろ。……って夏輝。そいつ誰?」
「[太字][漢字]柚木[/漢字][ふりがな]ゆき[/ふりがな][漢字]彼方[/漢字][ふりがな]かなた[/ふりがな][/太字]。今日転校してきたやつ。なんか『それっぽい』から連れてきたわけ」
「へぇ。じゃあ柚木くん。入部テストしていい?」
急に話をふられる。
「え、入部テスト? 俺まだ入部するって一言も……」
「入部テストしていい?」
先輩、笑顔なのに目が笑ってません。
「大丈夫。簡単だから。
……これ見える?」
先輩が指差した先には、浮いている地球儀があった。
「は⁉︎ 地球儀が浮いてる……?」
俺がそう言った瞬間、夏輝と先輩の顔色が変わる。
「え、彼方マジで見えんの? えぐ」
「はいじゃあ柚木くん入部確定〜」
「え! 俺まだ入るなんて」
「死ぬよ? このままだと」
死。
不穏な言葉に背筋が凍る。
「それが嫌ならおいでよ、楽しいから」
先輩にめちゃくちゃ満面の笑みで言われ、俺は気づけば「はい……」と小さく答えていた。
「OK、これで部員10人目。あ、そういえば名前言ってなかったよね? 部長の[太字][漢字]三ツ星[/漢字][ふりがな]みつぼし[/ふりがな][漢字]柊[/漢字][ふりがな]しゅう[/ふりがな][/太字]です。よろしく」
こうして俺は、訳の分からない部活にほぼ強制的に入れられた。
——この時、俺はまだ、「死ぬよ」の意味をわかっていなかった。