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夜の桜は散る運命にある

#6

5. 20**.9.22

 ——それからは、本当に訳のわからない2日間だった。

 電車で一駅向こうに行ったかと思いきや、徒歩で反対側に行くし。
 ガマガエルや人型の影は1日に2回くらい出てくるし。

 早く一週間経って、全部終わってほしい。
 そう何度も思った。
[右寄せ][太字][明朝体]誕生日まであと5日[/明朝体][/太字][/右寄せ]

[水平線]
 私たちは、結局最初の日と同じ駅前の商店街に来ていた。
「悪い、ちょっとトイレ行ってくる。琴葉、夜桜を任せたぞ」
「オーケー。晴くん、体調崩さないようにねー」

 歩き去っていく晴をずっと見つめていた琴葉を見て、私は少し気になっていたことを聞くことにした。

「ねえ」
 晴がいなくなったところで私は聞く。

「琴葉は、晴のことが好きなの?」

 琴葉の目が大きく見開かれた。

「晴くんが?」

 それだけ言うと、琴葉は考えるような表情をする。
 快活な彼女らしくない、迷っている雰囲気だった。

「……うーん」

 唸るように言ってから、晴が歩いて行った方を見やる琴葉。
 その時間が、なぜか長かった。

「……尊敬できる人って感じだったから、恋愛とかで考えたことなかったかも」

 絞り出したようなその答えは、なんとなく間が長い。
 どうしたんだろ。

「……そっか」

 私が感じた違和感に気づかれないように、当たり障りのない返事をする。
 そこで晴が戻ってきた。

「お待たせ。遅くなった」
「……い、いいよいいよー! え、と。で? 次はどうする?」
「? ……どうした、琴葉?」
「えぇっ⁉︎ なんでもないよ、うんうん!」

 晴もなんだか違和感を覚えたらしい。

「……まあいいか」

 結局それで話は終わった。
 それどころじゃなくなったから。

「……琴葉。夜桜」

 違和感に最初に気づいたのは、晴だった。
 晴の声で、商店街を見る。
 さっきまでいた人たちが、全員いない。話し声もない。
 シャッターの奥から水が漏れ出ていた。
 ぴちゃん、ぴちゃんという水音がやけに大きく響く。

 水はみるみるうちに、私たちの足元を覆っていく。
 ——さっきまで乾いてた道なのに。

 視線を感じて振り向くと、大量のガマガエルが私を見ていた。

「キャア!」

 その瞬間、カエルが琴葉に向かって飛ぶ。

「危ない!」
「琴葉、避けろ!」

 琴葉、お願い! 避けて!
 だけど。

「……」

 琴葉は、動かなかった。
 まるで、避ける必要がないってわかっているみたいに。

「「琴葉‼︎」」

 私と晴が叫ぶが、ガマガエルは琴葉を無視して、その後ろの私に向かってきた。
 琴葉が顔をこわばらせた。

「夜桜⁉︎」

 晴が駆け出し、すんでのところでガマガエルに札を押し当てる。

「無事か、夜桜!」
「う、うん」

 腰が抜けそう。
 怖い。

「ぅあっ」

 急に頭痛がして、私はその場にうずくまる。
 何かが見える。ぼんやりと……。
 視界が歪むような錯覚。

「夜桜!」
「天音ちゃん⁉︎」

 知らない景色が見えてくる。
 2人の声を聞いたところで、私の意識は途絶えた。

2026/03/21 14:21

雨坂結侑
ID:≫ 0pdtWgWyzpc/U
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和風ファンタジー陰陽師生贄

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