——それからは、本当に訳のわからない2日間だった。
電車で一駅向こうに行ったかと思いきや、徒歩で反対側に行くし。
ガマガエルや人型の影は1日に2回くらい出てくるし。
早く一週間経って、全部終わってほしい。
そう何度も思った。
[右寄せ][太字][明朝体]誕生日まであと5日[/明朝体][/太字][/右寄せ]
[水平線]
私たちは、結局最初の日と同じ駅前の商店街に来ていた。
「悪い、ちょっとトイレ行ってくる。琴葉、夜桜を任せたぞ」
「オーケー。晴くん、体調崩さないようにねー」
歩き去っていく晴をずっと見つめていた琴葉を見て、私は少し気になっていたことを聞くことにした。
「ねえ」
晴がいなくなったところで私は聞く。
「琴葉は、晴のことが好きなの?」
琴葉の目が大きく見開かれた。
「晴くんが?」
それだけ言うと、琴葉は考えるような表情をする。
快活な彼女らしくない、迷っている雰囲気だった。
「……うーん」
唸るように言ってから、晴が歩いて行った方を見やる琴葉。
その時間が、なぜか長かった。
「……尊敬できる人って感じだったから、恋愛とかで考えたことなかったかも」
絞り出したようなその答えは、なんとなく間が長い。
どうしたんだろ。
「……そっか」
私が感じた違和感に気づかれないように、当たり障りのない返事をする。
そこで晴が戻ってきた。
「お待たせ。遅くなった」
「……い、いいよいいよー! え、と。で? 次はどうする?」
「? ……どうした、琴葉?」
「えぇっ⁉︎ なんでもないよ、うんうん!」
晴もなんだか違和感を覚えたらしい。
「……まあいいか」
結局それで話は終わった。
それどころじゃなくなったから。
「……琴葉。夜桜」
違和感に最初に気づいたのは、晴だった。
晴の声で、商店街を見る。
さっきまでいた人たちが、全員いない。話し声もない。
シャッターの奥から水が漏れ出ていた。
ぴちゃん、ぴちゃんという水音がやけに大きく響く。
水はみるみるうちに、私たちの足元を覆っていく。
——さっきまで乾いてた道なのに。
視線を感じて振り向くと、大量のガマガエルが私を見ていた。
「キャア!」
その瞬間、カエルが琴葉に向かって飛ぶ。
「危ない!」
「琴葉、避けろ!」
琴葉、お願い! 避けて!
だけど。
「……」
琴葉は、動かなかった。
まるで、避ける必要がないってわかっているみたいに。
「「琴葉‼︎」」
私と晴が叫ぶが、ガマガエルは琴葉を無視して、その後ろの私に向かってきた。
琴葉が顔をこわばらせた。
「夜桜⁉︎」
晴が駆け出し、すんでのところでガマガエルに札を押し当てる。
「無事か、夜桜!」
「う、うん」
腰が抜けそう。
怖い。
「ぅあっ」
急に頭痛がして、私はその場にうずくまる。
何かが見える。ぼんやりと……。
視界が歪むような錯覚。
「夜桜!」
「天音ちゃん⁉︎」
知らない景色が見えてくる。
2人の声を聞いたところで、私の意識は途絶えた。
電車で一駅向こうに行ったかと思いきや、徒歩で反対側に行くし。
ガマガエルや人型の影は1日に2回くらい出てくるし。
早く一週間経って、全部終わってほしい。
そう何度も思った。
[右寄せ][太字][明朝体]誕生日まであと5日[/明朝体][/太字][/右寄せ]
[水平線]
私たちは、結局最初の日と同じ駅前の商店街に来ていた。
「悪い、ちょっとトイレ行ってくる。琴葉、夜桜を任せたぞ」
「オーケー。晴くん、体調崩さないようにねー」
歩き去っていく晴をずっと見つめていた琴葉を見て、私は少し気になっていたことを聞くことにした。
「ねえ」
晴がいなくなったところで私は聞く。
「琴葉は、晴のことが好きなの?」
琴葉の目が大きく見開かれた。
「晴くんが?」
それだけ言うと、琴葉は考えるような表情をする。
快活な彼女らしくない、迷っている雰囲気だった。
「……うーん」
唸るように言ってから、晴が歩いて行った方を見やる琴葉。
その時間が、なぜか長かった。
「……尊敬できる人って感じだったから、恋愛とかで考えたことなかったかも」
絞り出したようなその答えは、なんとなく間が長い。
どうしたんだろ。
「……そっか」
私が感じた違和感に気づかれないように、当たり障りのない返事をする。
そこで晴が戻ってきた。
「お待たせ。遅くなった」
「……い、いいよいいよー! え、と。で? 次はどうする?」
「? ……どうした、琴葉?」
「えぇっ⁉︎ なんでもないよ、うんうん!」
晴もなんだか違和感を覚えたらしい。
「……まあいいか」
結局それで話は終わった。
それどころじゃなくなったから。
「……琴葉。夜桜」
違和感に最初に気づいたのは、晴だった。
晴の声で、商店街を見る。
さっきまでいた人たちが、全員いない。話し声もない。
シャッターの奥から水が漏れ出ていた。
ぴちゃん、ぴちゃんという水音がやけに大きく響く。
水はみるみるうちに、私たちの足元を覆っていく。
——さっきまで乾いてた道なのに。
視線を感じて振り向くと、大量のガマガエルが私を見ていた。
「キャア!」
その瞬間、カエルが琴葉に向かって飛ぶ。
「危ない!」
「琴葉、避けろ!」
琴葉、お願い! 避けて!
だけど。
「……」
琴葉は、動かなかった。
まるで、避ける必要がないってわかっているみたいに。
「「琴葉‼︎」」
私と晴が叫ぶが、ガマガエルは琴葉を無視して、その後ろの私に向かってきた。
琴葉が顔をこわばらせた。
「夜桜⁉︎」
晴が駆け出し、すんでのところでガマガエルに札を押し当てる。
「無事か、夜桜!」
「う、うん」
腰が抜けそう。
怖い。
「ぅあっ」
急に頭痛がして、私はその場にうずくまる。
何かが見える。ぼんやりと……。
視界が歪むような錯覚。
「夜桜!」
「天音ちゃん⁉︎」
知らない景色が見えてくる。
2人の声を聞いたところで、私の意識は途絶えた。