——それから、10分。
3人で歩いて向かったのは、小さなカフェだった。
1番奥の、話し声が聞こえなさそうな席に座る。
「天音ちゃん、スマホある?」
頷いて、ピンクのカバーのスマホを取り出す。
「天音ちゃんのお母さんに連絡しよう。んー、なんて言ったらいいかな。『友達の家に泊まる』じゃ重いか。『遅くなる』ってだけ打っといて」
言われた通りにメッセージを送信すると、すぐに既読がついた。『今どこにいる?』とだけ返信が来る。
「今どこにいる?って聞かれてるけど、カフェって言っていいの?」
私が聞くと、琴葉は少し逡巡したあとに頷いた。
カフェだと伝えると、『今から行く』と返ってきた。
「お母さん、今から来るの⁉︎」
嘘!
私は2人の方を振り向く。
「それでいいんだ。夜桜の親を待つ」
晴が言った。焦りなんて微塵もない、落ち着いた声だった。
[水平線]
向こうから走ってくる女の人がいる。
「お母さんっ!」
お母さんは、私を見るなり抱きついてきた。
その手は、少し震えていた。
「無事でよかった……」
「えっ、何⁉︎ 恥ずかしいからやめてよ」
混乱している私たちに、2人が近づいてくる。
「[漢字]茉白[/漢字][ふりがな]ましろ[/ふりがな]さん、来てよかったんですか?」
「ええ、いいの。いっそのこと、伝えるのがこの子のためだから」
琴葉とお母さんが話している。
どう言うこと? 2人は、いや、晴も含めて3人は知り合いだった?
「天音。あなたにとって、家はもう安全じゃない。だから、晴くんと琴葉ちゃんにお願いしたの」
え?
「ま、待って。話が読めない。うちが安全じゃない? なんで? そもそも晴と琴葉はなんなの?」
私が聞くけど、お母さんは悲しげに俯くだけ。
「天音、お願い。一週間、一週間だけ。あなたの誕生日まで、あいつらから2人と逃げて」
それだけ言うと、お母さんはカフェを出て行ってしまった。
一週間……? それまで逃げたとして、何があるの……?
晴が「行くぞ」と小さく言って、私たちもカフェを出た。
[水平線]
カフェを出ると、足元はもう水に覆われていた。
目の前には、人型の影と、巨大なガマガエル。
「琴葉、行けるか?」
「もち。晴くんこそ、足引っ張んないでよね!」
そう言うと、2人は私そっちのけで走り出す。
晴は最初に見たような札を、ガマガエルに押し当てる。
よくわからない呪文を唱えると、ガマガエルの体が泡立ち、蒸発するみたいに掻き消えた。
琴葉は……って!
「刀⁉︎ 銃刀法違反⁉︎」
琴葉が持ってるのは、小ぶりな日本刀だった。
人型の影に斬り込むと、割れた影は次々にくだけて消える。
「あっ!」
2人の上を飛び越えて、ガマガエルが私の方へ飛んでくる。
生理的な嫌悪感に思わず鳥肌が立つ。
「嫌っ!」
お願い、止まって——!
カチッと音が鳴る。
[水平線]
——その瞬間、時計の針が砕けた。
3人で歩いて向かったのは、小さなカフェだった。
1番奥の、話し声が聞こえなさそうな席に座る。
「天音ちゃん、スマホある?」
頷いて、ピンクのカバーのスマホを取り出す。
「天音ちゃんのお母さんに連絡しよう。んー、なんて言ったらいいかな。『友達の家に泊まる』じゃ重いか。『遅くなる』ってだけ打っといて」
言われた通りにメッセージを送信すると、すぐに既読がついた。『今どこにいる?』とだけ返信が来る。
「今どこにいる?って聞かれてるけど、カフェって言っていいの?」
私が聞くと、琴葉は少し逡巡したあとに頷いた。
カフェだと伝えると、『今から行く』と返ってきた。
「お母さん、今から来るの⁉︎」
嘘!
私は2人の方を振り向く。
「それでいいんだ。夜桜の親を待つ」
晴が言った。焦りなんて微塵もない、落ち着いた声だった。
[水平線]
向こうから走ってくる女の人がいる。
「お母さんっ!」
お母さんは、私を見るなり抱きついてきた。
その手は、少し震えていた。
「無事でよかった……」
「えっ、何⁉︎ 恥ずかしいからやめてよ」
混乱している私たちに、2人が近づいてくる。
「[漢字]茉白[/漢字][ふりがな]ましろ[/ふりがな]さん、来てよかったんですか?」
「ええ、いいの。いっそのこと、伝えるのがこの子のためだから」
琴葉とお母さんが話している。
どう言うこと? 2人は、いや、晴も含めて3人は知り合いだった?
「天音。あなたにとって、家はもう安全じゃない。だから、晴くんと琴葉ちゃんにお願いしたの」
え?
「ま、待って。話が読めない。うちが安全じゃない? なんで? そもそも晴と琴葉はなんなの?」
私が聞くけど、お母さんは悲しげに俯くだけ。
「天音、お願い。一週間、一週間だけ。あなたの誕生日まで、あいつらから2人と逃げて」
それだけ言うと、お母さんはカフェを出て行ってしまった。
一週間……? それまで逃げたとして、何があるの……?
晴が「行くぞ」と小さく言って、私たちもカフェを出た。
[水平線]
カフェを出ると、足元はもう水に覆われていた。
目の前には、人型の影と、巨大なガマガエル。
「琴葉、行けるか?」
「もち。晴くんこそ、足引っ張んないでよね!」
そう言うと、2人は私そっちのけで走り出す。
晴は最初に見たような札を、ガマガエルに押し当てる。
よくわからない呪文を唱えると、ガマガエルの体が泡立ち、蒸発するみたいに掻き消えた。
琴葉は……って!
「刀⁉︎ 銃刀法違反⁉︎」
琴葉が持ってるのは、小ぶりな日本刀だった。
人型の影に斬り込むと、割れた影は次々にくだけて消える。
「あっ!」
2人の上を飛び越えて、ガマガエルが私の方へ飛んでくる。
生理的な嫌悪感に思わず鳥肌が立つ。
「嫌っ!」
お願い、止まって——!
カチッと音が鳴る。
[水平線]
——その瞬間、時計の針が砕けた。