「選ぶって……え、聞けるんじゃなくて?」
なんなんだこの人たち。説明後回しにし続けて、挙げ句の果てには聞くか逃げるか?
「ここで聞き逃したら、もう2度とわからないとかじゃないよね?」
「……それについて、あたしは保証しかねる。でも、逃げなかったら、向こう行き」
だから、その向こうがなんなのか教えてほしいのに!
でも。
怖いけど。
逃げなきゃ終わりなんだ。
「でもわかった! なら逃げる!」
私の判断が意外だったのか、2人は少し驚いたような顔を見せる。
「じゃあ走るぞ。遅れるなよ」
え、さっき思ったけど晴ってめちゃくちゃ足速いよね? 遅れると思うけどなぁ……。
こんなわけわかんない状況下で何考えてんだろ。
ちょっと笑えてきた。
「すごいね、天音ちゃん。こんな状況で笑えるんだ」
琴葉が言う。皮肉とかがない、シンプルに感心した時の言葉。
「なんでだろ! とにかく、2人足速い!」
——あれ?
2人とも、足速いはずなのに。
なんで私、[太字]2人に並べてるの?[/太字]
考えてるヒマはない。
角を曲がって、曲がって、曲がって……。
え?
「通学路……?」
でも、異常だ。
違う。
ここは通学路じゃない。
眼前に広がる住宅街。
買い物帰りのおばさん。
笑って歩く小学生。
一人一人の目に映っているのは、目の前の道じゃない。
話してる友達でもない。
晴でも、琴葉でもない。
全員が[太字]私を見ていた。[/太字]
その中に知っている顔を見つける。
近所のおしゃべり好きの佐藤おばさん。
そのおばさんが私を見たまま笑う。
「あら天音ちゃん。オカエリ」
すかさず琴葉が「返事しちゃダメ。目を合わせるのも」と囁く。
でも、遅かった。
佐藤さんと目が合う。
頭の中に霞がかかった感覚。
[右寄せ] あ。
佐藤さん、まばたきしてない。[/右寄せ]
あれ?
私なんでこんなとこにいるんだっけ。
もう帰んなきゃ。
そもそも、こんなのも夢なんだよ。
空だって夕焼けなのに夜みたい。
[右寄せ] 私はゆっくり頷いて、佐藤さんの方に歩いて行く。
うん。こっちが正解。[/右寄せ]
[中央寄せ]「ょ……[小文字]く[/小文字]……[大文字]夜桜![/大文字]」
低い声。
ものすごい力で腕を引かれる。[/中央寄せ]
何。
私はこっちに帰るの。
なんだったの、向こう側とかガマガエルとか。
「晴くん、これもう……」
「仕方ない。[太字]トホカミエミタメ[/太字]!」
その声が頭に響いた瞬間、頭の中の霞が晴れた。
「は、え? ……キャアアアアア!」
視界に映ったのは、佐藤さんでも小学生でもない。
人の形をした真っ黒い影だった。
「天音ちゃん、走って!」
琴葉に腕を引かれる。
私は彼女に引っ張られながら、呆然と考えていた、
さっき私が思ったのは、本心だった。本音だった。
でも、夢じゃないのかもしれない。
「[小文字]どうしたらいいの……[/小文字]」
私の呟きは誰の耳にも入ることなく、風の中に掻き消えた。
なんなんだこの人たち。説明後回しにし続けて、挙げ句の果てには聞くか逃げるか?
「ここで聞き逃したら、もう2度とわからないとかじゃないよね?」
「……それについて、あたしは保証しかねる。でも、逃げなかったら、向こう行き」
だから、その向こうがなんなのか教えてほしいのに!
でも。
怖いけど。
逃げなきゃ終わりなんだ。
「でもわかった! なら逃げる!」
私の判断が意外だったのか、2人は少し驚いたような顔を見せる。
「じゃあ走るぞ。遅れるなよ」
え、さっき思ったけど晴ってめちゃくちゃ足速いよね? 遅れると思うけどなぁ……。
こんなわけわかんない状況下で何考えてんだろ。
ちょっと笑えてきた。
「すごいね、天音ちゃん。こんな状況で笑えるんだ」
琴葉が言う。皮肉とかがない、シンプルに感心した時の言葉。
「なんでだろ! とにかく、2人足速い!」
——あれ?
2人とも、足速いはずなのに。
なんで私、[太字]2人に並べてるの?[/太字]
考えてるヒマはない。
角を曲がって、曲がって、曲がって……。
え?
「通学路……?」
でも、異常だ。
違う。
ここは通学路じゃない。
眼前に広がる住宅街。
買い物帰りのおばさん。
笑って歩く小学生。
一人一人の目に映っているのは、目の前の道じゃない。
話してる友達でもない。
晴でも、琴葉でもない。
全員が[太字]私を見ていた。[/太字]
その中に知っている顔を見つける。
近所のおしゃべり好きの佐藤おばさん。
そのおばさんが私を見たまま笑う。
「あら天音ちゃん。オカエリ」
すかさず琴葉が「返事しちゃダメ。目を合わせるのも」と囁く。
でも、遅かった。
佐藤さんと目が合う。
頭の中に霞がかかった感覚。
[右寄せ] あ。
佐藤さん、まばたきしてない。[/右寄せ]
あれ?
私なんでこんなとこにいるんだっけ。
もう帰んなきゃ。
そもそも、こんなのも夢なんだよ。
空だって夕焼けなのに夜みたい。
[右寄せ] 私はゆっくり頷いて、佐藤さんの方に歩いて行く。
うん。こっちが正解。[/右寄せ]
[中央寄せ]「ょ……[小文字]く[/小文字]……[大文字]夜桜![/大文字]」
低い声。
ものすごい力で腕を引かれる。[/中央寄せ]
何。
私はこっちに帰るの。
なんだったの、向こう側とかガマガエルとか。
「晴くん、これもう……」
「仕方ない。[太字]トホカミエミタメ[/太字]!」
その声が頭に響いた瞬間、頭の中の霞が晴れた。
「は、え? ……キャアアアアア!」
視界に映ったのは、佐藤さんでも小学生でもない。
人の形をした真っ黒い影だった。
「天音ちゃん、走って!」
琴葉に腕を引かれる。
私は彼女に引っ張られながら、呆然と考えていた、
さっき私が思ったのは、本心だった。本音だった。
でも、夢じゃないのかもしれない。
「[小文字]どうしたらいいの……[/小文字]」
私の呟きは誰の耳にも入ることなく、風の中に掻き消えた。