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夜の桜は散る運命にある

#1

プロローグ

 紺色のスカートが、風に揺れた。
 私——[漢字][太字]夜桜[/太字][/漢字][ふりがな]よざくら[/ふりがな][漢字][太字]天音[/太字][/漢字][ふりがな]あまね[/ふりがな]は、部活を休んだ日の帰り道を一人で歩いていた。

 視線を落としたまま歩くのが、癖だった。
 だから気づかなかった。

 ――[太字]目の前の景色が、変わっていた[/太字]ことに。

 顔を上げた瞬間、息を呑む。

 並ぶ鳥居。
 足元を満たす、冷たい水。

 通学路のはずだった場所は、影も形もなかった。

「……どこ、ここ……」

 足を止めた、その時。

「きゃっ——!」
 水面が跳ねた。
 影のような何かが、こちらへ伸びてくる。
 
 逃げなきゃってわかっているのに。
 それなのに、足が動かない。

 ——なに、これ。
 こんなの、知らない。
 こんなの、聞いてない!

 「下がれ」

 低い声。

 次の瞬間、光が走った。
 地面に描かれた線が弾け、水と影を切り裂く。

 掴まれかけた足が、解放された。

 目の前に、制服姿の男子が立っていた。
 札を指に挟んだまま、影へ向けて放つ。

 真っ白い光。
 影は音もなく消えていった。

 一瞬で、耳鳴りがするくらい静かになる。

 「……な、え?」

 謎の声をあげた私に、男子は振り向いた。

 「名前は」
 「夜桜……天音」

 男子の目が大きく見開かれた。

 「やっぱりな」

 次の瞬間、手首を掴まれた。

 「え、ちょ——」
 「説明は後だ。ここにいれば死ぬ」

 抵抗する間もなく、視界が歪む。
 私は名前も知らない制服男子に引きずられるようにして、逃げ出した。
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2026/01/08 13:37

雨坂結侑
ID:≫ 0pdtWgWyzpc/U
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この小説につけられたタグ

和風ファンタジー陰陽師生贄

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