紺色のスカートが、風に揺れた。
私——[漢字][太字]夜桜[/太字][/漢字][ふりがな]よざくら[/ふりがな][漢字][太字]天音[/太字][/漢字][ふりがな]あまね[/ふりがな]は、部活を休んだ日の帰り道を一人で歩いていた。
視線を落としたまま歩くのが、癖だった。
だから気づかなかった。
――[太字]目の前の景色が、変わっていた[/太字]ことに。
顔を上げた瞬間、息を呑む。
並ぶ鳥居。
足元を満たす、冷たい水。
通学路のはずだった場所は、影も形もなかった。
「……どこ、ここ……」
足を止めた、その時。
「きゃっ——!」
水面が跳ねた。
影のような何かが、こちらへ伸びてくる。
逃げなきゃってわかっているのに。
それなのに、足が動かない。
——なに、これ。
こんなの、知らない。
こんなの、聞いてない!
「下がれ」
低い声。
次の瞬間、光が走った。
地面に描かれた線が弾け、水と影を切り裂く。
掴まれかけた足が、解放された。
目の前に、制服姿の男子が立っていた。
札を指に挟んだまま、影へ向けて放つ。
真っ白い光。
影は音もなく消えていった。
一瞬で、耳鳴りがするくらい静かになる。
「……な、え?」
謎の声をあげた私に、男子は振り向いた。
「名前は」
「夜桜……天音」
男子の目が大きく見開かれた。
「やっぱりな」
次の瞬間、手首を掴まれた。
「え、ちょ——」
「説明は後だ。ここにいれば死ぬ」
抵抗する間もなく、視界が歪む。
私は名前も知らない制服男子に引きずられるようにして、逃げ出した。
私——[漢字][太字]夜桜[/太字][/漢字][ふりがな]よざくら[/ふりがな][漢字][太字]天音[/太字][/漢字][ふりがな]あまね[/ふりがな]は、部活を休んだ日の帰り道を一人で歩いていた。
視線を落としたまま歩くのが、癖だった。
だから気づかなかった。
――[太字]目の前の景色が、変わっていた[/太字]ことに。
顔を上げた瞬間、息を呑む。
並ぶ鳥居。
足元を満たす、冷たい水。
通学路のはずだった場所は、影も形もなかった。
「……どこ、ここ……」
足を止めた、その時。
「きゃっ——!」
水面が跳ねた。
影のような何かが、こちらへ伸びてくる。
逃げなきゃってわかっているのに。
それなのに、足が動かない。
——なに、これ。
こんなの、知らない。
こんなの、聞いてない!
「下がれ」
低い声。
次の瞬間、光が走った。
地面に描かれた線が弾け、水と影を切り裂く。
掴まれかけた足が、解放された。
目の前に、制服姿の男子が立っていた。
札を指に挟んだまま、影へ向けて放つ。
真っ白い光。
影は音もなく消えていった。
一瞬で、耳鳴りがするくらい静かになる。
「……な、え?」
謎の声をあげた私に、男子は振り向いた。
「名前は」
「夜桜……天音」
男子の目が大きく見開かれた。
「やっぱりな」
次の瞬間、手首を掴まれた。
「え、ちょ——」
「説明は後だ。ここにいれば死ぬ」
抵抗する間もなく、視界が歪む。
私は名前も知らない制服男子に引きずられるようにして、逃げ出した。