「晴!」
「晴くん……?」
突然の晴の登場に、私と琴葉は唖然とする。
「……なんでここがわかったの?」
「茉白さんのお陰だ。
夜桜のスマホのGPSで居場所を特定できた」
お母さんのおかげだ……!
「それより琴葉、どういうつもりだ」
「どうもこうも、あたしは消える。それだけ」
「それだけなわけあるか。何か理由があるはずだ」
「それは……」
琴葉は言いづらそうに口ごもる。
その表情を見て私は確信した。
——琴葉は晴が好きなんだ。
あんな明るい顔してて、内心罪悪感に苛さいなまれている状態だったんだ。
「琴葉、一緒に帰ろ? ねえ?」
私は必死の願いで言葉に言う。
「だから、もう遅いんだって。あたしは消えるしかないの」
だめだ、振り出しに戻っちゃった。
私は泣きそうになりながら俯く。
「……けんな」
晴がボソっと低く呟く。
「ふざけんな‼︎」
空気が一瞬で張り詰めた。
「“消えるしかない”って何だよ。勝手に結論出してんじゃねえ」
「勝手じゃない! これしか方法がないんだよ!」
琴葉が言い返す。その声は強いのに、どこか揺れていた。
「だったら説明しろよ! 理由も言わずにいなくなろうとして、納得できるわけねえだろ!」
晴は一歩踏み出す。
琴葉は一歩、後ずさる。
「……言ったって意味ない。どうせ、誰にもどうにもできない」
「決めつけんな!」
「決めつけてるのはそっちでしょ! あたしがどんな気持ちで——」
言葉が途中で途切れる。
琴葉の拳が震えているのが見えた。
「……っ、もういい。やっぱりあたし——」
その瞬間。
胸の奥が、強く締め付けられた。
このままじゃ、本当に行っちゃう。
気づいたときには、体が動いていた。
琴葉に向かって踏み出す。
「待って!!」
手を伸ばす。
触れる、直前——
世界が、止まった。
できるかどうか不安だったけど、さっきでコツを掴んだっぽい。
容易に私と琴葉以外が止まった。
「なんで? もう止めらんないって言ったじゃん」
「そんなの関係ない」
琴葉が目を見開く。
私がいつもと雰囲気が違うからかもしれない。
「私たちが琴葉にいてほしいの! 戻ってきて、ここにいて!」
「嫌だ。あたしはもう耐えらんない」
「そんなの勝手だ! 琴葉が消えたくて消えていくようには私には見えない! そんな表情じゃない!」
無我夢中で叫ぶ。
「……当たり前じゃん。けど、でも、どうしていいかわかんないよ……!」
琴葉が消え入りそうな声で言う。
「自分で決めなよ。とにかく琴葉はここにいろ!」
そこでまた時が動き出す。
琴葉は呆然として動かない。
それを見た晴が駆け出し、琴葉に札を押し当てる。 すると、琴葉の体がみるみる元に戻って行った。
「……え? 晴くん、何で? 何したの?」
「封印の札。貼った相手の状態を止める」
「そうじゃなくて! いやそうだけだど。なんで?」 「……俺だって、お前がいないのは、嫌だ」
小さく、聞こえないくらい。
でも琴葉と私の耳には届いた。
「……わかったよ。あたしの負け」
琴葉がそう呟く。
私と晴は思わず顔を見合わせる。
「こうなったら吹っ切れるよ。本物の陰陽師よろしく、天音ちゃんを守る!」
「琴葉……!」
私は琴葉に飛びかかり、抱きつく。
晴も微笑んでいる。
晴が笑った⁉︎
そう思うままなく、また彼は口を真一文字に引き結ぶ。
まるで、重大な何かを思い出したように。
「夜桜、おまえ……」
「晴くん……?」
突然の晴の登場に、私と琴葉は唖然とする。
「……なんでここがわかったの?」
「茉白さんのお陰だ。
夜桜のスマホのGPSで居場所を特定できた」
お母さんのおかげだ……!
「それより琴葉、どういうつもりだ」
「どうもこうも、あたしは消える。それだけ」
「それだけなわけあるか。何か理由があるはずだ」
「それは……」
琴葉は言いづらそうに口ごもる。
その表情を見て私は確信した。
——琴葉は晴が好きなんだ。
あんな明るい顔してて、内心罪悪感に苛さいなまれている状態だったんだ。
「琴葉、一緒に帰ろ? ねえ?」
私は必死の願いで言葉に言う。
「だから、もう遅いんだって。あたしは消えるしかないの」
だめだ、振り出しに戻っちゃった。
私は泣きそうになりながら俯く。
「……けんな」
晴がボソっと低く呟く。
「ふざけんな‼︎」
空気が一瞬で張り詰めた。
「“消えるしかない”って何だよ。勝手に結論出してんじゃねえ」
「勝手じゃない! これしか方法がないんだよ!」
琴葉が言い返す。その声は強いのに、どこか揺れていた。
「だったら説明しろよ! 理由も言わずにいなくなろうとして、納得できるわけねえだろ!」
晴は一歩踏み出す。
琴葉は一歩、後ずさる。
「……言ったって意味ない。どうせ、誰にもどうにもできない」
「決めつけんな!」
「決めつけてるのはそっちでしょ! あたしがどんな気持ちで——」
言葉が途中で途切れる。
琴葉の拳が震えているのが見えた。
「……っ、もういい。やっぱりあたし——」
その瞬間。
胸の奥が、強く締め付けられた。
このままじゃ、本当に行っちゃう。
気づいたときには、体が動いていた。
琴葉に向かって踏み出す。
「待って!!」
手を伸ばす。
触れる、直前——
世界が、止まった。
できるかどうか不安だったけど、さっきでコツを掴んだっぽい。
容易に私と琴葉以外が止まった。
「なんで? もう止めらんないって言ったじゃん」
「そんなの関係ない」
琴葉が目を見開く。
私がいつもと雰囲気が違うからかもしれない。
「私たちが琴葉にいてほしいの! 戻ってきて、ここにいて!」
「嫌だ。あたしはもう耐えらんない」
「そんなの勝手だ! 琴葉が消えたくて消えていくようには私には見えない! そんな表情じゃない!」
無我夢中で叫ぶ。
「……当たり前じゃん。けど、でも、どうしていいかわかんないよ……!」
琴葉が消え入りそうな声で言う。
「自分で決めなよ。とにかく琴葉はここにいろ!」
そこでまた時が動き出す。
琴葉は呆然として動かない。
それを見た晴が駆け出し、琴葉に札を押し当てる。 すると、琴葉の体がみるみる元に戻って行った。
「……え? 晴くん、何で? 何したの?」
「封印の札。貼った相手の状態を止める」
「そうじゃなくて! いやそうだけだど。なんで?」 「……俺だって、お前がいないのは、嫌だ」
小さく、聞こえないくらい。
でも琴葉と私の耳には届いた。
「……わかったよ。あたしの負け」
琴葉がそう呟く。
私と晴は思わず顔を見合わせる。
「こうなったら吹っ切れるよ。本物の陰陽師よろしく、天音ちゃんを守る!」
「琴葉……!」
私は琴葉に飛びかかり、抱きつく。
晴も微笑んでいる。
晴が笑った⁉︎
そう思うままなく、また彼は口を真一文字に引き結ぶ。
まるで、重大な何かを思い出したように。
「夜桜、おまえ……」