一旦僕たちは、学校の外に出てみた。
この【リヴァース】とやらは、そんなに広くないらしい。
せいぜいこの岩代町くらいの広さ。
でも全部左右対称。
「本当によく分からないとこだね……」
そう言うのは雪希。ちなみに髪は下ろしている。
[リヴァースラボ]に、髪を結ぶとかあったから、変なところで【コトダマ】が発動してみても困る。
「ねえ、雪希、瑞紀。あの、一回その能力? 試してみない?」
綾斗が言うから、とりあえず校庭で試してみることにした。
[水平線]
校庭は、昼なのにどこか薄暗かった。
太陽の位置は表世界と同じはずなのに、光が濁っているというか……フィルター越しみたいに見える。
「とりあえず、誰からいく?」
僕が聞くと、綾斗が手を挙げた。
「じゃ、俺から。風刃ってやつ」
綾斗が深呼吸すると、周囲の空気がざわりと揺れた。
見えない風が巻き起こり、彼の指先に三本の細い線が集まっていく。
「……わ、これ、本当に出るんだ」
綾斗が軽く腕を振ると——
風が三本の刃になって地面をかすめ、砂が細かくえぐれた。
「ちょ、ちょっと! これ普通に危なくない!?」
雪希が思わず後ずさる。
「いや、でもこれ本当に現実になるんだな……。本物の力って感じ」と綾斗。
「次、瑞紀じゃない?」
雪希に言われて、僕は手を前に出した。
「えー……能力【夢鏡】。念じたら“反転する”って書いてあったけど……」
とりあえず、指先で空中に向けて軽く風刃の跡をなぞる。
地面に刻まれた浅い傷を、“治れ”とイメージしてみる。
すると、地面の溝がゆっくりと埋まっていった。
「……治った?」
「反転したんだよ、多分。攻撃→回復」
「え、すご……瑞紀、使い方次第でなんでもできるじゃん!」
雪希が目を輝かせる。
「いやいやいや、僕そんな万能じゃないと思う……」
そう言いかけた瞬間、雪希が「あ、じゃあ次私」と言って髪ゴムを取り出した。
「雪希、それ本当に大丈夫?」
「うん……一応、ひとつだけ試す。危なくないやつ」
雪希は髪を後ろでひとまとめにして、きゅっと結んだ。
すると——ほんの一瞬、空気が揺れる。
「じゃあ……“この校庭、ちょっと明るくなれ”?」
その言葉と同時に、曇り気味だった空がすっと澄み、光が強くなった。
「え……これ、雪希が?」
「……ほんとに、現実になるんだ」
雪希自身が一番驚いた顔で空を見上げていた。
「すご……でもこれ、言葉ひとつで何が起きるか分からないってことだよね」
綾斗が真顔になる。
僕も同じことを思った。
——だって、今の雪希がもし「暗くなれ」って言ってたら、
このフィールドは一瞬で真っ暗になっていたかもしれない。
「こわ……。なるべく髪下ろしとくわ」
「「そうしといて」」
綾斗と僕の声がハモった。
3人で笑い合っていた時に、スマホが震えた。
[中央寄せ][明朝体]着信:チームシロハネ[/明朝体][/中央寄せ]
この【リヴァース】とやらは、そんなに広くないらしい。
せいぜいこの岩代町くらいの広さ。
でも全部左右対称。
「本当によく分からないとこだね……」
そう言うのは雪希。ちなみに髪は下ろしている。
[リヴァースラボ]に、髪を結ぶとかあったから、変なところで【コトダマ】が発動してみても困る。
「ねえ、雪希、瑞紀。あの、一回その能力? 試してみない?」
綾斗が言うから、とりあえず校庭で試してみることにした。
[水平線]
校庭は、昼なのにどこか薄暗かった。
太陽の位置は表世界と同じはずなのに、光が濁っているというか……フィルター越しみたいに見える。
「とりあえず、誰からいく?」
僕が聞くと、綾斗が手を挙げた。
「じゃ、俺から。風刃ってやつ」
綾斗が深呼吸すると、周囲の空気がざわりと揺れた。
見えない風が巻き起こり、彼の指先に三本の細い線が集まっていく。
「……わ、これ、本当に出るんだ」
綾斗が軽く腕を振ると——
風が三本の刃になって地面をかすめ、砂が細かくえぐれた。
「ちょ、ちょっと! これ普通に危なくない!?」
雪希が思わず後ずさる。
「いや、でもこれ本当に現実になるんだな……。本物の力って感じ」と綾斗。
「次、瑞紀じゃない?」
雪希に言われて、僕は手を前に出した。
「えー……能力【夢鏡】。念じたら“反転する”って書いてあったけど……」
とりあえず、指先で空中に向けて軽く風刃の跡をなぞる。
地面に刻まれた浅い傷を、“治れ”とイメージしてみる。
すると、地面の溝がゆっくりと埋まっていった。
「……治った?」
「反転したんだよ、多分。攻撃→回復」
「え、すご……瑞紀、使い方次第でなんでもできるじゃん!」
雪希が目を輝かせる。
「いやいやいや、僕そんな万能じゃないと思う……」
そう言いかけた瞬間、雪希が「あ、じゃあ次私」と言って髪ゴムを取り出した。
「雪希、それ本当に大丈夫?」
「うん……一応、ひとつだけ試す。危なくないやつ」
雪希は髪を後ろでひとまとめにして、きゅっと結んだ。
すると——ほんの一瞬、空気が揺れる。
「じゃあ……“この校庭、ちょっと明るくなれ”?」
その言葉と同時に、曇り気味だった空がすっと澄み、光が強くなった。
「え……これ、雪希が?」
「……ほんとに、現実になるんだ」
雪希自身が一番驚いた顔で空を見上げていた。
「すご……でもこれ、言葉ひとつで何が起きるか分からないってことだよね」
綾斗が真顔になる。
僕も同じことを思った。
——だって、今の雪希がもし「暗くなれ」って言ってたら、
このフィールドは一瞬で真っ暗になっていたかもしれない。
「こわ……。なるべく髪下ろしとくわ」
「「そうしといて」」
綾斗と僕の声がハモった。
3人で笑い合っていた時に、スマホが震えた。
[中央寄せ][明朝体]着信:チームシロハネ[/明朝体][/中央寄せ]