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放課後、鏡の中の俺が先に帰った

 放課後の美術室で、鏡を拭いていた。

 夕陽が差して、鏡の中の“俺”が少し眩しそうに目を細める。

 雑巾を置いて、「帰るか」と呟いたその瞬間——鏡の中の俺が、先に動いた。
 そいつは笑って手を振り、背を向けて歩き出す。
 鏡の奥の夕陽の方へ、俺より先に。

 次の日、机の中に小さな紙が入っていた。
「昨日は、楽しかった」
 俺の字だった。でも、書いた覚えなんてない。
 背筋が凍った。

「あ、そうだ[漢字]狭山[/漢字][ふりがな]さやま[/ふりがな]、昨日午後5時くらいにゲーセン行った?」
 クラスの男子が聞いてくる。
「は? その時間塾行ってたけど」
「え? でもあれ狭山だったよ。どう見ても」
「見間違いだろ」
 笑いながら流す。冷や汗が流れていた。

 窓の外を見ると、鏡が運び出されていく。
 ガラスの奥で、一瞬“俺”が笑った気がした。

 放課後、美術室に行くとき、もう一度だけチャイムが鳴った。
 ——どちらが帰ったのか、今でも分からない。

作者メッセージ

初投稿です。
よろしくお願いします

2025/12/02;リライト

2025/12/02 17:37

雨坂結侑
ID:≫ 0pdtWgWyzpc/U
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