放課後、鏡の中の俺が先に帰った
放課後の美術室で、鏡を拭いていた。
夕陽が差して、鏡の中の“俺”が少し眩しそうに目を細める。
雑巾を置いて、「帰るか」と呟いたその瞬間——鏡の中の俺が、先に動いた。
そいつは笑って手を振り、背を向けて歩き出す。
鏡の奥の夕陽の方へ、俺より先に。
次の日、机の中に小さな紙が入っていた。
「昨日は、楽しかった」
俺の字だった。でも、書いた覚えなんてない。
背筋が凍った。
「あ、そうだ[漢字]狭山[/漢字][ふりがな]さやま[/ふりがな]、昨日午後5時くらいにゲーセン行った?」
クラスの男子が聞いてくる。
「は? その時間塾行ってたけど」
「え? でもあれ狭山だったよ。どう見ても」
「見間違いだろ」
笑いながら流す。冷や汗が流れていた。
窓の外を見ると、鏡が運び出されていく。
ガラスの奥で、一瞬“俺”が笑った気がした。
放課後、美術室に行くとき、もう一度だけチャイムが鳴った。
——どちらが帰ったのか、今でも分からない。
夕陽が差して、鏡の中の“俺”が少し眩しそうに目を細める。
雑巾を置いて、「帰るか」と呟いたその瞬間——鏡の中の俺が、先に動いた。
そいつは笑って手を振り、背を向けて歩き出す。
鏡の奥の夕陽の方へ、俺より先に。
次の日、机の中に小さな紙が入っていた。
「昨日は、楽しかった」
俺の字だった。でも、書いた覚えなんてない。
背筋が凍った。
「あ、そうだ[漢字]狭山[/漢字][ふりがな]さやま[/ふりがな]、昨日午後5時くらいにゲーセン行った?」
クラスの男子が聞いてくる。
「は? その時間塾行ってたけど」
「え? でもあれ狭山だったよ。どう見ても」
「見間違いだろ」
笑いながら流す。冷や汗が流れていた。
窓の外を見ると、鏡が運び出されていく。
ガラスの奥で、一瞬“俺”が笑った気がした。
放課後、美術室に行くとき、もう一度だけチャイムが鳴った。
——どちらが帰ったのか、今でも分からない。
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