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《参加型》怪物英雄

#2

アルとナイト



今日の日本の天気は全国的に雨で雷が降る予報。こういう時大体の人間は家に入って大人しく過ごすが。
 俺には家がない。唯一あんのは「アル」っつー名前だけ。
たけぇビルを見る度に反吐が出る。
お前らは良かったな「人権」があって。

「なぁテメェ。俺たち今金なくて困ってるんだわ。テメェあと一ヶ月で残りの借金全部返しに来い。無理なら内臓でも何でも売れ!怪物のくせに」
 
 鳩尾を殴られた。痛くて地面に伏せてしまう。
仮面が取れる。
水たまりに映る自分の顔を見てうんざりする。
人の顔ですらない。
俺は怪物の中でも忌み子だった。

 大昔人間で神様に呪われた人間がいた。それが今の怪物の大元。彼は愛する人と結婚し家庭を築いた。そして彼は幕府の偉い人に人でないからと殺害された。
しかし今日に至るまでその怪物の血が途絶えた事はない。

あーー寒い。12月の日の雨は一番冷たい。家に帰って風呂入って、暖かい布団で寝てーな。
 
 クソ親父は俺に3000万の借金を残して死んであった。俺はアパートの家賃が払えず追い出され、住む家もなく。大した学歴もない。だから職がない。強いていうなら「闇バイト」くらいだった。

 借金の残りはあと2000万円くらい。払えるわけねーだろクソが!

 俺は雨が凌げる裏路地のゴミ箱の近くでいつも寝ている。
そこを通るまでに人通りの多い商店街を通らなくちゃいけない。
ゴミを見る様な目で皆んな俺を見る。
だから俺はこの道を通るのが少しだけ憂鬱だった。

「おかーさんどこー!!うわぁぁあぁ!!!」

 泣いてる子供。
自分の過去と重なって放って置けなかった。
その子は丁度傘を持っていたから一緒に入って待っていた。
 しばらくして母親が来たが俺に礼も言わずに去っていった。

あーー。さっさと帰ろう。


「「若者の自殺率が去年よりも増加しています。」」

 不意に電気屋のテレビのニュースが俺の耳に入ってきた。
 自殺すんのか。人って。
まだ才能とか素晴らしい未来があんだから死んじゃいけねーだろうに。

 ん?未来あるやつが死んだらダメなんだろ。
才能あるやつも死んだらダメ。

「「自殺した子供の家族は深い傷を負いました。」」

家族が傷つく。

俺には全部ねぇ!!!!!!

 なら死んでもいいんじゃね?もう借金も返さなくていいし。もう殴られなくて済むし。
何で馬鹿正直に生きてたんだ!俺!
 クソ親父も借金苦しくて死んだ。なら俺だって死ぬ権利はあるはず!!

俺はワクワクしながら駅に走って向かった。
まだ終電じゃない。まだ間に合う。
 駅の改札口をジャンプで飛び越え、
向かってくる人全員を跳ね除け、罵詈雑言を喰らっても走った。
走って今電車がくる4番ホームに向かい。
階段を駆け下りて、俺は線路に向かって
走って、笑顔で飛んだ。

飛んだつもりだった。
と言うか、飛ぶ直前に腕を掴まれた。

(英雄?いや顔はバレてないし。)

電車がくる。
人は俺のことを不思議に見ながら電車に乗る。
電車が過ぎ去る。

ホームには俺と俺の腕を掴んだ男だけだった。

「おい、手ェ離せよ」
「君。怪物でしょ」

 は?何でバレた?….仮面はつけてる。
心臓が飛び跳ねそうだ。おそらく相手は英雄機関の人間。多分殺され….

「奢るからちょっと付き合ってよ」
「……は?」
 

 俺は連れられるがままにその男について行った。何だこいつ、怪物ってわかってるくせに殺さないなんて辺なやつ。

「さ、好きなの頼みなよ」
「っ………はぁっ……!!!」

 高けぇビルの中のすっげぇセレブそうな店。(※ファミレスです。)
何だここ!つかなんだよコイツ!

「じゃあ僕はハンバーグセットの….ミディアムで。君は?」
「えっ?あっ、あーーー。…ぉいつと!コイツとおんなじやつで!」
「ご注文の方繰り返しますね、ハンバーグ……」

 目の前の男は屈託のない柔らかな笑顔で俺の顔を見つめる。この後殺す気なのか?何なんだコイツ。

 注文したハンバーグが届く。今すぐ食いてぇ!!
目の前の肉汁たっぷりのハンバーグを目の前に食欲を我慢できず
仮面を外して食べようとした瞬間

「仮面は外すな。」
「……………じゃあどうやって食うんだよ。」
「僕が君の分も食べる」
「ざけんなテメー!俺のだぞ。」
「やだーあげない。」


 それからその男はハンバーグを食ったあと人の街を連れまわし
世が明けるまで、俗にいう「夜遊び」した後俺は
男の家で眠った

「眠った!!!!」
「わ、びっくりした。朝ごはんさ何がいい?」

 午前9時俺は初めてちゃんとした室内で寝た。
仮面は取れてるけど、もういい。どうせ正体なんざとっくにバレてる。
「お前、なんなんだよ。」
「僕はナイト。そこら辺の一般……」
「一般人にしては勲章の数多くね?」
「っはは。まぁ君は嫌いかもだけど、僕は元英雄機関の大将なんだ。君は…」

 ナイトはアルの姿を見たあと「怪物だろ?」と穏やかな顔でそう言った。
しかしアルの表情は曇っていた。

「君名前は」
「アル…………。ころすならさっさと殺せよ。」
「……ふぇ?殺す?殺すわけないじゃん。」
「はぁ!?じゃあなんで怪物なんかを家に連れてきてんだよアホか」
「は、怪物とか人とか。もうそういうの嫌だったんだ」
「は?」

 何言ってんだコイツ。お前らが俺らの自由を虐げていきたんだろ。
何がそういうの嫌だっただよ。腹立つ、超クソ腹立つ。

「俺の同族たちは皆んな!お前ら英雄に殺された!」
「それを言うならさ。僕の家族も怪物に殺されたんだ。全員」
「はぁ!?だからなんだよ!」

 思いっきりアルはナイトの胸ぐらを掴みベットに押しつけた。
怒りと混乱でいっぱいの目でアルはナイトを睨んだ。

「……もういいだろ。お互い様なんだ。殺し殺されて、互いを憎み合う。差別もする。迫害もする。どっちが先かももうわからない。そんな中どうでもいい正義を掲げて戦争をするのはアホらしい、そう思わないかい?」
「……何がいいてぇんだよ。」

ゆっくりと起き上がりナイトはアルの目の前で正座をした。

「世界の常識は変えられないけど僕はさ、種族関係なく君と仲良くしたいんだ。」

その目はとても真剣で嘘を語っているようには見えなかった。

 ナイトは優しかった。物事を多面的に見ることができて、冷静で感受性が豊かで謙虚で。聖人と同僚から呼ばれるほどの善人だった。
だが、ナイトはずっと怪物と友達になりたかった。と言うか、種族の境界線を無視して色んな人と仲良くなりたかった。

「………変なヤツ。」

 アルはずっとひとりぼっちだった。親はアルが産まれたあと英雄に殺され叔父に引き取られたがすぐ施設に送られた。
一人で生きていく。そのためには金が必要だった。騙し取ったりもした。けど彼は人を殺さなかった。自分が金のために人を殺すのは親を殺した英雄と同じになってしまうのが嫌だったから。だがアルは、人のように過ごしてみたかった。何度も自分が人間のように生活するのを夢見ていた。

「…….トモダチってことだろ?」
「そう!君は悪い奴じゃないだろ?どう?どうせ寝るとこも帰る場所もないでしょ?」
「……………英雄は大っ嫌いだ。嫌悪感は一生消えないぞ。」
「僕も怪物なんて嫌いだし怖いけど、仲良くしたいんだ。」
「……………少しだけな!少しだけなら仲良くしてやる」

 今世紀初めてこの瞬間怪物と英雄が友達になった瞬間だ。


「おい、ナイト。今日の飯は?」

「んー、トンカツ定食」

「朝から!?」

「ねぇアル見て!デカくない?この貝殻!」

「ナイト!海しょっぱいぞ!」

「ガ◯ダム乗りてぇー。おいナイト!ガ◯ダム乗りたい」

「いや無理でしょ」

「アル、見てあれが、夏の大三角」

「ほえー。すげーな。」


 あっと言うまに彼らは仲良くなり気がつけばもうあのであった日から十ヶ月が過ぎようとしていた。

10月の下旬。
アルは今日闇バイトを辞めようと、リーダーに辞職を宣言しに言った。
ナイトと過ごすうちに人としての過ごし方を身につけ、ある程度稼げるようになった。

昔のアルならそんなバカな真似はしなかった。
泥水啜ろうが、蹴られようが、罵られようが
権力のある奴に頭下げるクソ情けないことをしようが
生きてさえいればいい。黙って仕事を続ければいい。
それなのに

「やめます、はいそうですか。で終わるわけねぇだろ。バカか?」

この仕事を抜けようとして何人も痛い目に遭ったやつをアルは知っているのに

(あ、俺バカになっちまったな。)

 ベルトで何度も叩かれ仮面も壊され、ボロボロ。
そのまま痛みのせいで気絶し、目が覚めるとどこか知らない部屋に監禁されてた。

「今日は俺、いいよな」
「おー、テキトーにどうぞー」

 目の前の男が色んな痛そーなモノを身につけて俺をボロボロにしようとしてくる。
なんでこんな事に。

「怪物のくせにヨォ!息してんじゃねーよ!何仲間ずらしてたんだよ!気持ち悪りぃ!怪物なんざ、全員死ねばいいのによ!!!!!」

 うるせーよ。気持ち悪りぃのはテメーだろ。顔がお前らと違うからって、内臓が違うからって、種族が違うからって、

「テメーを基準にすんなよクソボケ!!!!!」
「っるせーんだよ!!」
「うるせーのはテメーだよ。」
「あ?」
 

 男はフードを被った謎の青年に顎を思いっきり殴られその場で気絶した。
助けてくれた?そう思いおれは一安心した。しかし本当に誰だ。バイトの奴か?誰だ

「ナイトだよ。ボロボロじゃん、マイフレンド」
「…登場の仕方が……腹立つんだよ、クソが」

 縄を解かれ、手当をしてもらって俺らは逃げる準備をしていた。
しかしナイトの顔は初めて見る表情でどこか焦っていた。小さな音にも敏感になりずっと警戒心MAXでいた。

「どうしたん」
「……………アル。簡単に説明する」
「あ?」

「君がやってたバイトさ、裏で英雄が暗躍してたんだよね。多分、僕が助けに来たこともすでにリークされてる。」
「なんでそんな事わかんだよ。」

「僕の元同僚に心当たりのあるやつが一人くらいいるんだ。」

 まさか想像もしたことない。英雄がチンピラどもを手下にしてただなんて。
英雄そこまで腐ったゴミカス野郎がいるだなんて思いもしなかった。

「いい?逃げるよアル!」
「あ!?どこに」
「どっか!!」

 その勢いで監禁せれてた廃墟ビルから脱出し、そこら辺にあった車に急いで乗り込む。
逃げる場所も多分ナイトは考えていないと思うけど今はただ逃げるしかない。

「んーーあーーーー。あーーー。あの車かぁ?」
廃墟ビルのいく場からヤンキーのようなヤクザのような人間がアルを乗せた車を目で追っている。
その背中には英雄と書かれた服を着ていた。

そして指で銃の形を作り
「じゃあな、ナイト」

発泡。
その瞬間金属の塊が光速で車にぶつかり
車はその場で爆発した。

「ケホっ、アル!アル生きてる!?」
「生きてるわ、怪物舐めんな。」
「金崎か、やっぱそうだよな。アル隠れてて」
「あ!?どうすんだよテメー!戦えんのかよ!」

「元英雄舐めんな。」

アルは急いでそこら辺の使われてない小屋に身を隠しその隙間からナイトの様子を見ていた。

「ナイトぉ、久しぶりじゃんッ。」
「………で?借りた金いつ返すわけ?」

 ないとは腕をまくり戦闘体制に入る。

「んー。あーーそうだなー。」

頭をボリボリ掻きながら銃の形を作る。

「テメー殺したらちゃらだよなぁ!!」
「借りたら返せよ、ゲボカス野郎が!」

 金属の弾丸が放たれる。光速で。ナイトの顔面に。

しかしナイトは笑顔のまま拳一つでその弾丸を弾き返す。
弾丸は金崎が発砲した時よりも威力が増し数百メートル先の廃墟にぶつかり轟音を立てた。
ラッキーな事にここら一帯は廃墟地区。
人もいないためナイトは全力を出そうとしていた。

コンクリートはひび割れ、鉄骨がむき出しになり、夜の風が不穏に鳴いていた。

「……テメーが英雄機関を抜けて、指名手配されてからはや2年。なまってねーな。安心したぜ俺ぁよ。」

低く響いた声と同時に、地面の鉄屑がざわりと震える。
金属を操る男――金崎。
指を鳴らすだけで、周囲の鉄が意思を持った蛇のように蠢いた。

「君のことは学生の頃から嫌いだったよ」

鋭い眼差しで金崎を睨み

「その薄汚くて小賢しい英雄の名に泥を塗るような行動。」
「るせーんだよォ!!ゴミカスがァ!!」

ナイトと金崎の距離は、十メートルもない。
背後には、瓦礫に座り込んだナイトの親友。
動けない。逃げられない。

金崎が一歩、前に出る。
それに合わせて、地面の鉄屑が浮いた。

「…」 

次の瞬間、金属が腕の形を取って突き出される。
速い。一直線。

ナイトは避けない。
踏み込んで、殴った。
殴った衝撃で突風が吹く。鉄屑が中を舞う。

拳が金属の腕の中心を打ち抜く。
鉄が弾け、破片が横に飛ぶ。

距離、五メートル。

「どうした」

金崎はすぐに後退しながら、今度は両腕を作る。
左右から挟み込む形で、同時に振り下ろす。

しかしとてつもない握力でその攻撃も防がれる。

ナイトーー
能力《THE HERO》
自身の強化条件は守るべき人がいる場合
武器 拳
どんな敵でも最後に勝つ
殴られても立つ
体が限界でも動く
絶対に勝つ
なぜなら彼は
英雄だから。

「どした早くこいよ」

近い。二メートル。

金崎は焦って、胸部に金属を集める。
即席の鎧。

ナイトは止まらない。
右、左、ボディ。
拳が当たるたび、鎧がへこむ。

「……っ!」

金崎が蹴りを放つ。
ナイトの腹に直撃。
吹き飛ばされ、地面を転がる。

一瞬、静止。

金崎が腕を上げる。
鉄骨が集まり、巨大なハンマーになる。

「クソが――!」

振り下ろされる。

ナイトは、真正面から受けた。

拳を突き上げる。
衝突。
金属のハンマーが止まり、軋み、割れる。

そのまま――
ナイトは一歩、前へ。

距離、ゼロ。

一発。

全体重、全意思。
全怒りを乗せたこの拳の一撃は

顔面に入った。

金属の鎧が砕け、金崎の体が後ろに吹き飛ぶ。

地面に叩きつけられ、金崎は動かなくなる。
操っていた鉄が、音を立てて落ちた。

「……やっぱ、拳だな」

 ナイトクソつえー!!スッゲー!やばい奴倒しちまった。

ただ何故彼は逃げるような行動を取ったのか。そこまで強いならどうして彼は逃げるように指示したのか。
そうアルが思った瞬間。その疑問の答えがすぐにわかった。

「コイツは弱すぎる。処分でも検討するか。」
「元帥……。アンタの出る幕じゃないでしょ」
 
 音もなく現れた老兵から漂う強者の気配。

「こっからが本丸っちゃろ」
「……………全力で行きます。」

 《オーバーロード》そう唱えた瞬間老兵は拳と拳をぶつけて、赤黒い雷を纏った。

光速でナイトに近づき老兵を目で捕らえた瞬間にはもう遠く吹っ飛ばされていた。

「痛ッ….. !!」

(あーー、肋骨イったなコレ。)

 老兵は深くしゃがみ、地面を蹴って

空高く舞い上がる。

「大地が恋しぃっちゃろ!」

 ソニックブームが起こるほどの音速を超えた攻撃でナイトは地面に叩きつけられた。

地面に叩きつけられたナイトめがけて落下の威力を加算した高威力の一撃をナイトの顔面に放った瞬間。
拳をを止められる。

動かない。

 老兵は急いで距離を取る。
ナイトは頭から血が噴き出ていて、体も何箇所か折れていて、瀕死の状態に近かったが
「いてーよ、爺さん。殺すじゃん。」

笑ってる。
男は笑っている。

屈託のない笑顔で笑っている。

違和感を察知した老兵はすぐさま距離を詰めて
また光速の一撃を入れようとした瞬間。



光速に合わせるなど不可能な人間離れした芸当を彼は魅せた。
そう。
光速を超える速さの攻撃にタイミングを合わせて
カウンターを狙った。

老兵の頭にカウンターの可能性は入っていなかった。
だからこの一撃は

確定で入る。


「ははっ、モロじゃん。」
「小僧ォ。」

 二人は、確かに笑っていた。

老兵の拳と、ナイトの拳が真正面から噛み合った。

赤黒い雷と、白銀の光が激突する。

 空気が砕けた。
衝撃波が円を描いて広がり、地面がめくれ上がる。
 遠くの建造物が、音もなく崩れ落ちていく。

 老兵は歯を食いしばった。
 腕が、軋む。
 骨が悲鳴を上げているのが、はっきりわかった。

(……クソ、重てぇ……!)

 老兵の拳は止まらない。
 鉄球のように重く筋肉が悲鳴をあげていた。
だがヒーローは絶望的な状況下でこそ。
本領を発揮する。

「まだまだ!!受け止めろよ!ナイトォ!。」

 次の瞬間、二度目のカウンター。
ナイトの膝が老兵の腹部に突き刺さる。
 空気が肺から叩き出され、老兵の身体が宙を舞う。

 だが老兵は、空中で体勢を立て直す。

「甘いっちゃろが!」

 回転。
 全体重と、落下と、意地のすべてを乗せた踵が振り下ろされる。

 ナイトはそれを――腕一本で受けた。

 地面が沈む。
 衝撃で周囲がクレーター状に抉れ、粉塵が舞い上がる。

 それでも、ナイトは立っていた。

 血を流しながら。
 息を荒くしながら。
 それでも、目は死んでいない。

「……しぶといのは、嫌いじゃない。」

「こっちの台詞じゃ」

 二人は同時に踏み込んだ。

光速。
音速。
理屈を置き去りにした速度で、拳が、蹴りが、叩き込まれる。

 衝突。
 衝突。
 衝突。

 世界が、殴り合いに巻き込まれていく。

 アルは、ただ立ち尽くしていた。
 目で追えない。
 耳で追えない。

 理解できるのは、
これは自分の届かない戦いだという事実だけ。

 そして――

渾身の一撃。

 老兵の渾身の拳と、
 ナイトの全力のカウンターが、

 同時に放たれた。

 白と赤が交錯し、
 まるで世界そのものが叩き割られたかのような衝撃が走る。

 ――――――――――――

 次の瞬間。

 音が、止んだ。

雨が降っている。
小屋から出ると廃墟地帯だった場所に大量のクレートができていた。

異次元のバトルだ。

何かを踏んだような気がした。
足元を見るとそれは
誰かの右腕だった。

そしてその血の先には

ナイトがいた。

おそらく、あの強い老兵は去った後だった。

「よぉ……無事か….アル。」
「っ………….」

ナイトの周りには血の水溜りができていた。
雨のせいで血が広がっていく。

「ごめん….なぁ、こりゃ…死ぬわぁ….」

 言葉が出ない。
友人が今目の前で三途の川を渡りかけている。
信じられない。ただ気が遠のく感覚しか出てこなかった。

「俺の…..分まで」

 彼は強くアルの頭を掴み自分の胸に押しやる。

「思ったけど….お前、人型じゃねんだろ?」

 フッといつもの笑顔を見せた後、彼は眠たくそうに二度三度瞬きをし。

「怪物な…..ら死体とか…..乗っ取れるよなぁ」
 
 苦しそうにしながらも彼は精一杯喋る。

「全部やるだから、」

「英雄も怪物も平和に暮らせる世界を見してくれないか?」

 アルの目から大粒の涙が溢れる。
「泣くなよ、…..俺も死にたくねー…..っつーの。」
 ナイトの目からも涙が溢れるが、雨で隠すことができた。


「お前…..ならできる。止まるんじゃねーぞ」

 それから青く、夏の青空のように澄んだ青色の目に光が入らなくなり、体が動かなくなった。

アルは泣いた。
雨音がさらに強くなり、アルの泣き声をかき消した。

 そこからアルはずっとその死体の側で泣いた。ないてないて、地面に八つ当たりした。

 ようやく、アルは落ち着き、涙は溢れ出るモノのもう泣きじゃくったりしなかった。

 そして決心した。


二人の夢を叶えようと。


ー2日後ー
 鏡の前で髪の毛をアルはセットしていた。
その容姿はクリーム色の優しい色で、瞳は真夏の青空のような澄んだ色をしていた。

「うっし、コレでいいかなぁ。」

 鏡の中にいる自分の姿はまるで生前のナイトのようだった。
そして鏡に向かって

「行ってきます」

彼は扉を開けて、一歩踏み出した。





 

作者メッセージ

書きすぎたかもしれません。
主人公はアルです。

現在参加なさってくださってる方は全員採用です。
年齢上限はありません。

2026/02/04 22:27

チョキチョキ
ID:≫ 9d3Tx6M8UnIkU
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暴力表現参加型

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