静寂の中、小さなカタカタいう音は、東から吹く風の音か、はたまた穀物を狙った子ねずみの足音か。
そびえ立つ木造の社務所の前に、黒尽くめの二人は降り立った。
「第二の関門はここだ」
リカが言った。
ここは、西門を抜けた先、中庭の池の[漢字]畔[/漢字][ふりがな]ほとり[/ふりがな]にある管理所。屋敷の中枢にあるほぼ全ての施設のマスターキーがここに、厳重に保管されている。
「いいかよく聞け、狙いはお前がろうそくの台車を運んだ第四倉庫の鍵だ。屋敷内の全ての鍵は2つずつあって、そのうち1セットがこの社務所に、もう1セットを専属管理人であるジマが持ち歩いている」
「ああ、なるほど…」
ククは管理人である[漢字]矍鑠[/漢字][ふりがな]かくしゃく[/ふりがな]とした老人、ジマのキリッとした面立ちを思い出す。
いつでもパリッとノリの効いたシワ1つない燕尾服に、一本の乱れもない白い鬢。その見た目通り潔癖で厳格な性格ではあるが、それに加え実直で温厚な人格者でもある。
当然リカの父、国王からの信頼も厚く、屋敷の筆頭管理主の名を預かっているのだ。使用人からの信頼も厚く、ククにはよく分からないが、国政における重要な役職も務めているらしい。
「そういえば以前、私が消灯時間を過ぎて帰宅したとき…使用人室に入れなくて困っていたら、たまたま通りかかったジマさんが「次からは気をつけなさい」と笑って、こっそり鍵を開けてくれました。あのときの鍵束が、屋敷内すべての鍵だったんですね」
「そうだ。…だが、ジマが肌身離さず持ち歩いてるそっちのセットはあまりにも狙いにくい。そこで、夜になれば無人になるこの小屋を狙いに来たというわけだ」
端正な顔立ちにニヤリと笑みを浮かべるリカを見遣って、ククが尋ねた。
「ジマさんって、この時間まだ屋敷内を巡回していますよね?鉢合わせたらどうしましょう」
「大丈夫だ。私は幼少期から、自室を抜け出してこっそり城下へ遊びに行くなどザラだったからな。もちろん夜も然り。ジマの巡回ルートくらい把握している」
また悪どい笑顔を見せるリカを一瞬哀れな目で見つめ、ククは呟いた。
「…ジマさん、苦労なさったでしょうね…」
「失礼だな」
そびえ立つ木造の社務所の前に、黒尽くめの二人は降り立った。
「第二の関門はここだ」
リカが言った。
ここは、西門を抜けた先、中庭の池の[漢字]畔[/漢字][ふりがな]ほとり[/ふりがな]にある管理所。屋敷の中枢にあるほぼ全ての施設のマスターキーがここに、厳重に保管されている。
「いいかよく聞け、狙いはお前がろうそくの台車を運んだ第四倉庫の鍵だ。屋敷内の全ての鍵は2つずつあって、そのうち1セットがこの社務所に、もう1セットを専属管理人であるジマが持ち歩いている」
「ああ、なるほど…」
ククは管理人である[漢字]矍鑠[/漢字][ふりがな]かくしゃく[/ふりがな]とした老人、ジマのキリッとした面立ちを思い出す。
いつでもパリッとノリの効いたシワ1つない燕尾服に、一本の乱れもない白い鬢。その見た目通り潔癖で厳格な性格ではあるが、それに加え実直で温厚な人格者でもある。
当然リカの父、国王からの信頼も厚く、屋敷の筆頭管理主の名を預かっているのだ。使用人からの信頼も厚く、ククにはよく分からないが、国政における重要な役職も務めているらしい。
「そういえば以前、私が消灯時間を過ぎて帰宅したとき…使用人室に入れなくて困っていたら、たまたま通りかかったジマさんが「次からは気をつけなさい」と笑って、こっそり鍵を開けてくれました。あのときの鍵束が、屋敷内すべての鍵だったんですね」
「そうだ。…だが、ジマが肌身離さず持ち歩いてるそっちのセットはあまりにも狙いにくい。そこで、夜になれば無人になるこの小屋を狙いに来たというわけだ」
端正な顔立ちにニヤリと笑みを浮かべるリカを見遣って、ククが尋ねた。
「ジマさんって、この時間まだ屋敷内を巡回していますよね?鉢合わせたらどうしましょう」
「大丈夫だ。私は幼少期から、自室を抜け出してこっそり城下へ遊びに行くなどザラだったからな。もちろん夜も然り。ジマの巡回ルートくらい把握している」
また悪どい笑顔を見せるリカを一瞬哀れな目で見つめ、ククは呟いた。
「…ジマさん、苦労なさったでしょうね…」
「失礼だな」