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【参加型〆】プチウィッチフォーチュンテーラー

#21

幕間 the inside story of pure witch 〜リーエのひみつ〜

メリーエル・クレイシー、愛称メル。
魔法界での医学の名門、クレイシー[漢字]一族[/漢字][ふりがな]いちぞく[/ふりがな]本家の末女として生まれた。



業界最大手であるクレイシー系列の大病院。メルがよく出入りしていた総合病院には毎日、たくさんの「病める者たち」が訪れていた。

「すっかりよくなりました」
「信じられないほど身体が軽くなった」
「先生、本当にありがとう」

医者である父に母、それに兄や姉たちが、みんなを治している。みんな、ここに来た時とは別人のような幸せそうな顔をして、ここを出ていく。メルは、いつか自分も家族のような医者になることを誓って、毎日病院に入り浸っていた。入院患者のみんなは、メルを「クレイシーのちびメルちゃん」と呼んで、可愛がってくれていた。

特に親しかったのは、ハーフエルフのおじいちゃんであるヴィクティマさんだった。
「ちびメルちゃんは、将来はやっぱりお医者さんになるのかい?」
「うん!でもメル、なんのお医者さんになろうか決めてなくて…ヴィクティマさん、何が良いと思う?」
彼は少し考えて、言った。
「私もみんなも、この病院に長く入院している患者はみんな、メルちゃんとのお話をいつも楽しみにしているよ。メルちゃんとおしゃべりしていると、心が温まる、とみんな言ってる。だからちびメルちゃんは…“こころのお医者さん”になったら良いんじゃないかな?」

のちにその一言が、メルの人生に大きな影響を及ぼすことになる。
…ただ、今はそんなことはつゆ知らず、二人は和やかに笑い合っていた。






数年後、ヴィクティマさんは亡くなった。
遺族がベッドの周りで嗚咽を漏らし、メルもそこで静かに泣いていた。
「この度は、力及ばず大変申し訳ございませんでした。誠にご愁傷さまでございました」
父と母が、ならんで遺族に頭を下げる。ヴィクティマさんの娘さんは、泣きながらもこう言った。
「長年、父のために力を尽くしてくださってありがとうございました。父もここまで生きられるとは思ってもいなかったでしょう」
娘さんの肩を旦那さんが抱き、スカートの裾を息子さんが引っ張っていた。
「ねえ、おじいちゃん、死んじゃったの?ねえ、ねえ!」
泣き叫ぶ声が、白い病室に響いていた。



遺族のみんな、そして両親が一時退室したあとも、メルはヴィクティマさんの遺体を涙目で見つめていた。
そしてつい、その遺体を抱きしめ、…ふと、あることに気がついて動きを止めた。


「軽い…」
ヴィクティマさんの介助をする看護師さんを手伝っていたこともあるから、彼の重みやぬくもりはよく知っている。
今はもう、紙のように白いその皮膚は、ぬくもりを持ってはいなかった。
ただ、軽すぎる。まるで風船のようだ。

メルは、手早く確認したヴィクティマさんの身体に、不自然な傷の形跡があることに気がついた。







結果として、クレイシー一族は、末期症状の患者への説明を偽って手術を行い、臓器の摘出及び転売に手を染めていた、ということが分かった。
メルがそのことについて家族を問い詰めると、内情を知っていた父や母や親戚たち、そして見てみぬふりをしていた兄や姉たちは、メルを部屋に監禁した。あとで分かった話だが、周囲には「メルは、心不全で幼くして亡くなった」と説明していたらしい。メルは、一族の反乱分子である自分が、いずれ口止めのために殺されるであろうことに感づいた。

そしてある夜、メルは家族が鍵を掛け忘れた隙をついて、家を脱出した。

空きっ腹を抱えて逃げ出したは良いものの、どこに行くあてもなく、ただ夜の街を彷徨い歩いていた。
…これからどうしよう。逃げたけど、どうせ死んじゃう運命だったのかな。
そんな思考に澱んだため息をつくと、急に後ろから声をかけられた。

「キミ、どうした?こんな夜中に」
豊かな赤毛の、凛とした面持ちの少女。
「…逃げ出してきたの。それ以上は言えない。ただ…行く場所がなくて」
メルがそう言うと、少女は笑った。
「そうか、複雑な事情がありそうだな。とりあえず家に来るか?私はシーラ。キミの名前は?」

「メル…ううん、リーエ。わたしは、リーエ」
メルは、…リーエは、そう伝えた。


二人の姿は夜道の中、濃紺の霧の奥へと消えていった。
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作者メッセージ

典型的なプロットで失礼いたしました。
やたらと重い過去持たせたがる…というのが私の痛い特徴です。

2025/02/03 16:32

団栗きんとん
ID:≫ soHtg8UkVbFiM
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