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【参加型〆】プチウィッチフォーチュンテーラー

#6

無気力ワットエバー・前編 担当占い師:ミゼ

分かんないな。

通ってる高校の修学旅行が、なんでよりにもよって、忙しい大学受験前の3年生のときなのか、とか。そもそも俺、ホントに大学行きたいのかな、とか。
目の前のアイツがさ、どう考えてるのか…考え始めるとキリがない。

あと俺が、なんでこんな所にいるのか、ってことも。いきなりこんな、だだっ広い空間に放り込まれても。さすがに…何が起きたのか、分かるはずもない。




森、だった。俺の知ってる世界と、ちょっとだけ違う肌感がある。

進級してすぐの修学旅行だった。正直今までの修学旅行にはいい思い出がなくて、“班分け”という単語を聞いただけで、喉にベタつく何かが詰まったように気分が憂鬱になる。ただ幸いなことに、今のクラスの人数は班人数ぴったり。週一のスクーリングで学校に来た時、ちょっとだけ話したことがある…程度のヤツらが誘ってくれたのはまったくの幸運だった。

最も平凡で安寧な過ごし方は、目立たなすぎてハブられ気味になることではなく、適度に馴染んで“いなくても誰も気づかない”程度の存在になることなのだから。


ちょくちょくテンション高く話しかけてくる、名前も知らないヤツ。観光先の名所をいくつか回って、そいつらに気を遣わせないようにしよう…と思ったので、俺は消えた。

消えた、といっても、何も言わずにはぐれたのではない。
「悪ぃ、ちょっと別行動するから。先行ってて。なんかあったら連絡して」
「出たよ夜坂、さすがのマイペース!オッケー、迷子になんなよ!」

その森の中は太陽が降り注いでいるのに、春特有の、浮かれた陽気な匂いを感じない不思議な場所だった。俺は現在見事に迷子状態。名前も知らないソイツの方が、案外俺のことを分かってたのかもしれない、なんて思いながらひたすらに歩いた。自分で勝手に旅行のどんちゃん騒ぎから離れたせいで、こんなところで彷徨っているのだ。…もう、どうでもいい。自分に対しての嘲笑が漏れてきたかもしれない。俺がここで餓死しようと、それはきっと今までの罰というか、報いだ。なんの報いだっけ。…人とうまく関わることができないヤツへの救済かな。俺は、コミュニケーション落第生だ。


「…なにコレ」

[明朝体][太字]命中率99.8%⁉️ 魔女たちの占いの館、営業中[/太字][/明朝体]
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森の中で拾ったチラシは、普通の紙とは若干材質の違う台紙に手書きで書かれた文言だった。どうやら風で飛ばされてきたらしい。
…この森にも、生きてる人間がいるらしい、ということは分かった。生きてるどころか、商売をしている。占いだか何だか知らないが、こんな辺鄙なところで儲かっているのだろうか。



…途端に、妙に興味が湧いてきた。今の俺は、コミュニケーション能力の欠如、という重大な悩みを抱えた立派な客。この“魔女”とか“報酬は思い出”とか、よくわからない文章については怪しいが、まあ金ならあるし。変な宗教勧誘とかされたとしても、霊感商法だったとしても、冥土の土産にちょうどいい体験かもしれない、と思う。こういうのがいわゆる“無敵の人思考”ってやつなのかな。
俺はパーカーのポッケに手を突っ込みながらゆっくりと、チラシが飛ばされてきた方角へと向かった。




「まあ…珍しいこと、占いをご希望されているお客様ですね。…シーラさんの悪徳チラシ、意外にも効果があるんですねえ」
「え、なんて?」
「ああ、いえいえ。お気になさらず…さ、お入りになってください」

たどり着いたのは、まるで廃墟みたいなボロボロの洋館。背の高い雑草が錆びた重々しい門扉からはみ出すほどに伸び放題になっており、だれも住んでいないのだろうか…と不安になりかけたところで、この少女が出てきた。
…かなり可愛い。ほっそりした白い手足、上品な顔立ち、鈴を転がすような声。この娘が詐欺まがいのことをしているとは思えないが…きっとバイアスだろう、ただ好奇心の赴くままに来たのだから、これもまたどうでもいいことだ。


「ええと…夜坂…岳人、さんですね。岳人さんとお呼びしてもよろしいでしょうか」
「はあ…」
にこやかに問われて、つい頷いてしまった。やばい、こういうのが1番苦手な人種かもしれない。…いや、俺の場合誰が出てきても“1番苦手”になってしまうんだろうか。
案内されたのは、深緑と焦げ茶のナチュラルカラーを基調とした、開放的な一面ガラス張りの部屋だった。板張りの艷やかな床にはラグのかわりに、柔らかそうな芝が円形に植えてある。この芝は本物なんすか、と聞くと、本物ですが造花に近いです、枯れないので…と答えられた。
促されるままにあめ色の揺り椅子に腰掛け、ミゼ、と名乗った彼女と対面した。
「それでは早速ですが岳人さん。こちらにいらしたということは、何かお悩みをお持ちなのですね。お話をお聞きしたいのですが、…その前にひとつ。“どこまで”理解していらっしゃいますか?」
「どこまで…ああ、あの“魔女”ってやつ?マジすか?」
「マジです。信じていただけますか?」

まっすぐに俺の方を見つめるミゼさんの瞳は、真剣そのもので。

「…えっ…へっ…ふぁい」

今までにないほどにこわばった身体の力が抜け、変な返事をしてしまった。
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作者メッセージ

コレ3人それぞれの占いの間のインテリア考えるの超楽しいです。
シーラさんはどんな感じにしようかな。

2025/01/18 23:52

団栗きんとん
ID:≫ soHtg8UkVbFiM
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